器 用 貧 乏


 私はよく(器用貧乏)と言われたし、自分でもそう思っている。手先のことは概ね無難なくやってしまうのである。その上スピード&確実さ、出来栄えも合格となれば、私の長所ともなろうか。
OL時代のこと、中小企業の会社だった。当時はタイピストがいた頃。タイピストの彼女が辞めたとき、タイプライターなど触ったことのない私に、タイプの仕事がまわってきた。私は総括事務、初めてのタイプを仕込まれ、と言って事務の仕事が減るわけでもなし。給料が上がるわけでもなし。唯、私にとっては余計な仕事が増えただけ。今パソコンの時代、訂正追加がいくらでも簡単に出来ようが、昔は面倒なものだった。それでも、それなりにやっていたので重宝がられてしまう。 又、そろばんの時代だ。急ぎの計算、検算などはみな私の所に押し付けて来る。「××君じゃだめだ!○○君(私のこと)にやらせろ!」と上司のご指名。私の仕事が速いから急ぎの書類は私に廻ってくるのだ。
そしてすんなりこなして・・・・「ハイ、ご苦労さん!」
又、女子社員がお茶を入れている時代だ。「○○君忙しいから、△△君、お茶入れてくれ」と言う具合、今では考えられないことかも知れない。
お陰で私は、お茶当番をよく免れたが、女子仲間は面白くなかったのでは・・・
その代わり上司には可愛がられた?いや重宝されたのだろう。
時代は進んでいく。カーボン紙を入れ複写して書類を作っていた時代から、ワープロの時代に、我社にもワープロが入ってきた。下手に手を出せば又、私のところへ? 私はもう絶対に触れまいと思った。幸いにもワープロには男性群が興味津々。寄って集っていじっている。私はこれ幸い!(一寸やってみたいなぁ)と思うこともあったが、無視してきた。その後、退社するまで一回たりともさわらなかった。ワープロは未だにやったことがない。 
その私が、今パソコンだ。今では、パソコン無しの生活など考えられない現在だ。