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No risk

Date : 2001.01.09 00:17:20


今年の高校選手権は国見の優勝で幕を閉じた。前線から激しいプレスで 絡め取ったボールを素早く前線に供給し、クリアボールも素早い出足で 拾って波状攻撃を続けるという圧倒的な力を見せつけての優勝だった。

優勝候補だった市立船橋、清水市商、前橋商が早々と姿を消し、地域間のレベル の差がじょじょに縮まっていることは間違いない。さらに付け加えるならば 戦術面でも同じような戦術を取るチームが多かった。その戦術とは勝つサッカーでは なく負けないサッカーである。昨年の市立船橋がやっていた4バックのうち 両サイドバックはほとんど上がらず、中盤から2トップにひたすらDFの裏を 狙わせるパスを出すサッカーもリスクを避けることを目的にしていたのだと思うが、 今年、各高校のとった戦術はさらに徹底していた。

具体的にいうならば最終ラインの選手からボランチの選手へのパス および最終ラインでのサイドチェンジはほとんどなかった。 最終ラインからトップへ長いボールを入れ、そこを中盤の選手が拾って攻撃を 始めるチームが目立った。自陣ではあらゆるリスクを避け、横パスはおろか ショートパスすらも出さず、相手陣内に入るまでは縦パスを繰り返す。 たしかに最終ラインでボールを奪われたら即失点の可能性がある。 トーナメント形式である以上、負けたら終わってしまうので間違った戦術ではない。 だが高校選手権はサッカー選手の通過点であって、まだ先はある。この戦術では DFは激しいプレッシャーの中でも確実にボールを中盤につなぐということは ないし、中盤の選手は後ろからボールを受けて素早く反転するということがない。 それは技術の欠落であり、Jでサッカーをやるために絶対に必要な技術を 修得できないということである。

その点では国見より草津東の方が優れていたかもしれない。2トップが 共に170cm以下だったため、簡単に前線放り込むという戦術が 使えなかったが、意思の統一された素早いサイドチェンジを繰り返し、 フィールドを広く使ったサッカーが出来ていた。 決勝戦の結果は国立(ベスト4)を目指していた草津東と優勝を目指していた 国見のモチベーションの差が大きかったのではないか。

また若い1年生の活躍の目立った大会でもあった。数年前までは大会優秀選手と いえば3年生が当たり前で2年生でも選ばれることはほとんどなかった。 しかし今年は桐蔭学園の阿部、遠野の川崎と2人の1年生FWが選ばれ、さらに 各高校でも1年生が当然のように主力としてチームを引っ張っている。 日本のサッカー界の明るさをかいま見ることができた気がした。

個人のレベルアップと戦術の低下が目立った大会だと結んでおく。

蛇足ながら僕が国見と対する高校の監督だったらこう指示するだろう。
最終ラインを深めに取って後半半ばまで守り抜け。松橋は ラインを 下げてスペースを消せばスピードは活かせない。佐藤は競るのはうまいが ヘディングシュートはうまくない。大久保のシュートにこだわる性格を利用して 大久保にボールを集めさせろ。ペナルティエリアの近くまで来たらまず シュートを打ってくるからそこを囲んでしまえ。 激しいプレスは後半半ばで力尽きる。中盤が疲弊してDFラインと連動できなく なり、最終ラインの前にスペースができるからそこのスペースを使えば DFラインは絶対崩せる。