Back still growing up

 1999年9月4日(土)19:00キックオフ
於 新潟市陸上競技場
アルビレックス新潟 対 ベガルタ仙台
 
新潟は涼しくなったと聞いていたが、昼の日射しはまだまだ強く、最高気温は30度を越えていた。最近、ホームでの勝利を見ていない。数えてみると6月の鳥栖戦以来勝ってない。

競技場に着き、背番号0さんと話すことができた。オフサイドの歌のこと、スノードロップのこと、ブーイングのこと、色々と直接聞いてみた。ネット上での会話とは違って感情が入る分、より深く意見を聞けて良かった。そして今日の試合の重要性についてあらためて確認。僕が「今日負けたらブーイングするでしょ。」と聞くと、「そうならないためにも、今日は俺達で勝たせる。全力でサポートする。」との返事。
僕もできるだけ協力することを約束した。

ピッチで練習する選手を見ていると、あれ?サウロじゃない?リカルドと一緒に練習してるあの手足の長い選手。やった。今日はサウロいるんだ。ベンチだろうけど、絶対出番があるはず。頼むぞ。サウロ。

そしてスタメンが発表される。前節と同じく中野の代わりに藤田、セルジオがケガで代役は柴。この二人、大宮では全然ダメだったんだけど修正はされてると信じたい。いつもの中盤のあとにFWはなんとシンゴとサウロ。まさかスタメンとは。

サブは筒井、太一、鳴尾、河原塚と攻撃重視のメンバー。監督も分かって
るんだ。絶対、負けられない試合だってことが。

試合前、用事があってメインへ移動。そしてゴール裏へダッシュ。結構遠い。キックオフまで間に合わず。今季観戦21試合目で始めて最初の10秒を見逃す。

最初からどんどん早めにチェックにいくアルビ。大宮戦とは違う。戦う気持ちを見える。今日は絶対負けられないんだ。選手を少しでも後押しできるように、大声で応援する。いままでこんなデカい声だしたことがあっただろうか。それも試合始まってすぐから。でも声つぶえてもかまわない。1週間あれば治るんだから。今日は僕達で勝たせるんだ。

怒涛のチェックでボールを奪い、シュートをうちまくる。相手のクリアボールもちゃんと拾ってしっかりつないで攻撃にむすびつける。最終ラインからボランチにつなぎ、中盤でパスを回してからオーバーラップしてきたサイドバックをつかってのサイド攻撃。これこそアルビの攻撃の形。無謀なロングパスを蹴って走るサッカーは似合わない。

そしてペナルティエリアのすぐ外でファールを受ける。さあ、リカルド、仙スタのときのように素晴らしいFKを直接ゴールにたたきこんでくれ。新潟ゴール裏からリカルドコールが始まる。しかし、ボールはわずかに枠をそれ、ポストの脇を抜けていく。

20分たってようやく仙台の初シュート。エンリケのなかば強引なシュートはバーのはるか上を越える。仙台はエンリケ以外攻めにこない。それともこれないのか?これだけ攻められてると。ボール支配率はもちろん、試合のほとんどが仙台側のコートで行われてる。よし、早く先取点を取ろう。ここで点を取れないと後半ツラいぞ。

ペース配分を考えるより、とにかく点を取ろうとたたみかけるアルビ。藤田も柴もしっかりやってる、サウロの持ち過ぎもない。あとは早く1点取ってペースを握ろう。

気付くと木沢がボールを持つたびに仙台ゴール裏からブーイングが起こる。前回の仙スタでの木沢に怒ってるのかな。ん?ダメダメキャプテンとかコールしてる。ムカつく。言い返したい。でも仙台ってキャプテン誰だっけ?一応、仙台戦はこれで3試合目なのに。ジミジミキャプテンなのかな。とりあえず、点取ったらダメダメ仙台って叫ぶことを心に固く誓う。とにかく、木沢、あんなヤジにキレちゃダメだぞ。

一方的に攻め込みながら点が取れない。ここで前半が終了。いままでとは違う。選手達の戦う気持ちが見える。今日こそはやってくれる。ただこういうときこそカウンターと苦し紛れのミドルシュートに注意しないと。あまりに大声出し続けているからだろうか。ちょっと頭が痛い。でも声だすのはやめない。

後半が始まる。今度は新潟ゴール裏に向かって攻めてくる。頼むぞ。目の前でゴールを決めてくれ。後半に入ると仙台の動きがよくなってきた。前半はおさえめだったのか、それともアルビのオーバーペースか。五分五分の試合になってきた。

今日はサイド攻撃、特に木沢がマークされてる。木沢もボール受けるために水越とポジションチェンジして中盤で開いてるけど、パスカットされる場面が目立つ。そのために1度、サイドから中に動いたかと思えばゴール前に飛び出したり、サイドで引いてもらってスルーパスを狙ったり動きに工夫している。今日の木沢は仙台ゴール裏の野次にも全然気持ちがキレてない。でも右サイドバックでもない。ほとんど中盤の選手になっている。だって左サイドまでいっちゃってるし。たびたび疑問に思うことがある。木沢の急なポジションチェンジはチームの作戦なのかな。それとも木沢が勝手にポジション変えてるだけなのかな。

どっちにしろ、木沢は攻撃のセンスあるし、前線への飛び出しもある。あの仙台ゴール裏を黙らせるためにも木沢のゴールが見たい。野次にはプレーで反論したい。

仙台の選手が倒れているときにこっちがボールを外にだすのが少し遅れたら、「ニイガタヨゴレ」のコール。これには失笑がもれる。ヨゴレはどっちだって。

そして「木沢のレッドが見た〜い〜」と歌い出した。なんか可哀想になってきた。木沢を野次るために新潟に来たのかな。仙台の選手はどう思ってるんだろう。この日仙台ゴール裏から1番多く名前がでたのは木沢。仙台の選手のコールって1回も聞こえなかったんだけど。仙台サポのサポートの仕方って選手をサポートしてることになるんだろうか。

やはり、前半のオーバーペースだったのか、中盤のチェックが遅くなって中盤を支配されてきた。秋葉が必死に追うものの1人じゃどうしようもない。監督。交代はしなくていいのか。早く代えないとまた延長いっちゃうぞ。

そして仙台も疲れてきたのか、両チームともロングパスが増えてきた。前半はいいサッカーだっただけにちょっと残念。でも今日は勝たなきゃ意味がないんだ。だからこそ交代はまだか。

仙台の方はどんどん交代して、入ってきた選手がスピードあるドリブルで速攻を仕掛ける。アルビは疲労のためか、ラインが上げられない。ちょっと押し込まれる場面がでてくる。

残り10分を過ぎると相手コートでのアルビのFKはすべてゴール前に上げて得点を狙う。しかし、入らない。むしろカウンターを仕掛けられて戻るために運動量が増え、どんどんピンチが増えてくる。

結局交代しないまま、90分が終わった。またもや延長戦。アルビは延長までいかないチームだからって話しをしていたのが、遠い昔に感じる。

延長戦、最近はとくにイヤ思いでばかりだ。ここで払拭しよう。Vゴールで勝とう。「勝て勝て勝て勝てホームられ」の横断幕がかかげられる。頼む。勝ってくれ。

延長始まってすぐサウロに代わって河原塚が入る。なんで延長の始めからじゃなくてこんな中途半端な時間に交代するんだ。わざわざゲームに参加しづらい状況作る采配に怒る。

延長に入ってから新潟ゴール裏にも疲れがでてきたのだろうか。声が小さくなってきている。僕も頑張って声を出すものの、ダメだ。声がでない。

河原塚がスピードを生かした突破をみせるものの、なぜか5分たつとボールにまったくからまなくなってしまう。大宮のときも同じだった。

新潟ゴール裏に向かって攻める延長後半、瀬戸から右サイドの木沢にロングパスがでる。よし、通ればチャンスだ。でも少し長い。ダメだ。ラインを割る。でも木沢はあきらめない。最後まで全力疾走してスライディング。ボールはラインを割った。木沢の体は勢い余って、ピッチの外まででてしまった。そこで立ち上がった木沢の足元には相当な汗のあとが見える。
しかし、決定的なチャンスを作れないまま前半終了。交代も河原塚だけ。ホントに勝つ気があるのか。交代が遅すぎる。すぐに後半が始まる。

後半のことはあまり覚えていない。リカルドに代わって鳴尾が入り、木沢が負傷してスタンバイしていた太一ではなく筒井がでてきた。

あきらかに応援が薄くなってきている。引き分けになると思ってるのか。
まだ試合は終わってないのに。

速攻からフリーのエンリケにゴールまで3Mくらいのところからシュートをうたれる。しかし木寺がファインセーブ。それをDFがクリア。拾った仙台の選手にファール。1度プレーがきれた。

プレーがきれたと同時にピンチをしのいだという安心感がわいたのだろうか、ゴール裏にも選手たちにも集中力がきれてしまったような気がした。

千葉直のFKはスピードの遅いボールでニアにゆっくりとバウンドしながら入ってきた。これならクリアできると思った瞬間、クリアにいく選手はいなかった。足が完全に止まっていた。ボールは走り込んできたドゥパイッチのつまさきに軽くふれ、ゆっくりとゴールに入った。

オフサイドは?副審のフラッグはあがっていない。主審の長いホイッスルとともにアルビの選手が倒れ込む。目の前でのVゴール。負けた。

試合後、選手がゴール裏にゆっくり歩いてきた。負けた。下位チームに連敗、ホームでの連敗、決定力不足。試合前には負けたらブーイングしようと思っていた。でも僕にはできなかった。自分で試合前に背番号0さんに「ブーイングしよう。」と言った。でも自分の気持ちにウソはつけなかった。選手は精一杯やったと思った。結果はともあれ、内容はブーイングする内容だったとは思わなかった。

ブーイングと野次が聞こえた。「なんで最後まで集中切らさずにできないんだよっ!」というヤジが胸につきささる。なんで最後まで集中して応援できなかったんだろう。今日はあきらかに延長、特に後半は僕も含めて声がでていなかった。ピンチを防いでも試合が終わるまで集中を切らさないように応援できなかった。

最後までサポートできなかった。選手へのブーイングより、このことが悔しかった。

この悔しさは忘れない。忘れたら今日の負けの意味がなくなる。この悔しさを心に刻み込むため、試合が終わっても座らなかった。立ったままさっきまで熱戦がくりひろげられていたピッチを、狂喜乱舞する仙台ゴール裏をみつめていた。甲府、大宮、仙台の3試合で得た勝ち点が1だという現実をかみしめながら。

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