Back still growing up

 1999年10月11日(月)13:00キックオフ
於 小瀬スポーツ公園陸上競技場
ヴァンフォーレ甲府 対 アルビレックス新潟
 
小瀬スポーツ公園陸上競技場のアウエー入口は駐車場から遠い。ただでさえ暑いのに、10分くらい歩いただろうか、ようやくゲートへ到着。ウワサでは新潟からのツアーバスが来ないと聞いていたので、かなり新潟ゴール裏の人数は少ないのではないかと心配していたが、着いてみると30人強とそこそこの人数が来ていた。バスツアーも結局あったようだ。
先週も暑かったが、今日も暑い。後ろからの日射しでジーンズが熱くなっていくのが分かる。太陽が正面ではなく、後ろにあるということがせめてもの救い。もう、キックオフまで5分くらい、知り合いからスタメン、サブを教えてもらう。スタメンは木寺、木沢、柴、高橋、藤田、秋葉、筒井、瀬戸、水越、シンゴ、島田。サブは恒松、リカルド、式田、鳴尾、サウロ。サブにDFの控えをおかないというのは必勝体勢のようにも見えるが、DFの故障があいつぎ、DFが4人しかいないというのが実情。これで出場停止でもでたらどうするのだろう。シーズン終盤になって層の薄さが響いてきた。
小瀬へ来るのは2回目だが、あいかわらずのほのぼのした雰囲気にどうもリズムが狂う。これから戦うという気にならない。サッカースタジアムに向いてないような気がする。小瀬のゴール裏はスタンドではなく芝生。そして前の方は傾斜がなく、目線の高さは選手と同じである。
キックオフ。今日もフォーメーションは4ー5ー1。ワントップは島田。練習ではかなり好調だったというが、試合でもその好調ぶりをアピールしてほしい。しかし、見た感じ動きは重い。ケガの影響もあるのだろうか。
甲府の攻めは高さはほとんどつかわずに速さをつかって攻めてくる。アルビにとってもっともイヤなタイプ。
しかも今日は中野ではなく、あまりスピードのない藤田がスタメン。ますます不安がつのる。全体的に足が重いというか、運動量が少ない。球際にも弱く、こぼれ球をことごとく甲府の選手に拾われる。暑さ対策で前半はおさえめというより覇気が感じられない。
しかし、最初の決定機を作ったのはアルビ。左から攻め上がった藤田がうまくDFをかわし、低めのセンタリング。ニアサイドでシンゴが合わせる。GKの逆をついたが、GKがかろうして片手でボールをかきだす。惜しい。
ここからは甲府の一方的な攻撃。特に堀井に預けて徹底的に左サイドの藤田を突破にかかる。もともと高さは強いが、足元のプレーが得意ではない藤田。何回も突破される。しかしセンタリングは柴、高橋が落ち着いてヘッドでクリア。こぼれ球を拾われて、また堀井につなぐ。そして藤田がかわされ、センタリング。柴、高橋がクリアと同じことが何回も繰り返される。
それにしても小瀬のおそろしいところは周りに何もないのでコールが途切れるとまったくの静寂になってしまうところ。かといってずっと声を出してるわけにもいかない。
甲府のゴール裏は10数人だろうか。人数では勝っているがひとりひとりの声量では負けている。しかもメイン、バックにも何人かが陣どって3方向からの応援。しかし1番よく聞こえるのはアルビゴール裏より、甲府の3方向からの応援より、バックスタンドでヤジってるオヤジ。おそろしく声がでかく、何を言っているかもハッキリ聞き取れる。甲府に不利なジャッジがあると、審判に対してヤジり始める。そのオヤジのせいだろうかファールを取らずに流すことが多い今日の主審。
周りのフォローが少ないため、ボールを奪った選手がそのまま攻め上がることが多いが、そこを囲まれて奪われる場面が目立つ。秋葉や瀬戸がドリブルで周りをうかがいながら、攻め上がるが誰もフォローにいかない。せめて前線の島田。ここで働かなかったら、どこで働くんだよっ!今度は水越がボールを持って攻め上がる。水越ならドリブル突破があるから、ひょっとしてゴール前までひとりで持ち込むのか。切り返しを繰り返してDFをかわして、右足でシュート。惜しくもGKの左足でセーブされる。
ゴール裏というのは選手を盛り上げるものだと思っているが、ゴール裏を盛り上げるのは選手。今日はあきらかに覇気がない。見ていて声援を送るような気にならない。自然と声が小さくなる。選手とゴール裏、お互いが悪影響をおよぼしてしまっているのか。さしたる見せ場もないまま前半が終了。
ハーフタイム。バックスタンドに上がって周りの景色を見てみる。とても景色がいい。サッカーを見にきているというより観光に来てしまったかのような気持ちになってしまう。お昼に食べた甲府名物かぼちゃほうとうもおいしかったし。そして景色を見ながら考える。4ー5ー1ってアルビの良さを消してしまっているのではないか。中盤が込み過ぎてサイドバックが上がるスペースを消し、前線がひとりではプレスもかけにくいし、ポストのうまいFWがいないから水越、シンゴがなかなか前を向いてボールをもらえない。そろそろ4ー4ー2に戻してもいいんじゃないか。ピッチではあいかわらずサブの5人が練習。後半からの交代はない。
後半が始まる。今度はこっち側に攻めてくるアルビ。もう徹底的にあおるしかない。もうコールというより直接選手に叫んでいる。特に島田。体張ってポストプレーしてくれ。前線に起点を作らないことには全体的な押し上げができないんだから。しかし島田のポジショニングはポストになるわけでもなく、DFラインの裏を狙うわけでない。
前線でうまく島田がトラップ、中盤の選手がフォローに走る。島田、迷いに迷ってだしたパスがカットされる。一気にカウンター。頼むぞ。集中してくれ。
甲府の攻めはあいかわらず速さを生かしたドリブル突破。しかしセンタリングが雑なのとシュートの精度が低いおかげで助かる。藤田も前半ほど突破を許してはいない。
さっきと同じような位置で島田がトラップ。今度はちゃんとやれよー!と叫ぼうとした瞬間、すぐに島田が前線へ飛び出した水越へスルーパス。そのまま左サイドでパスをうけた水越がフリーでドリブル。しかしゴール前には誰もつめない。せっかくのチャンスなのに、どこ行ってるんだと思ったら、水越がマイナスのセンタリング。瀬戸がスルーしてシンゴが右足を振り抜く。ネットが揺れる。ゴール。
久々のファインゴールに思わず飛び上がってしまった。久々のゆきやこんこん、快晴の空の下、景色のいい山間で大声をだすのは気持ちいい。
しかし、まだ1点。H甲府戦では1点先制しながらおいつかれれてるわけだし、まだまだ油断はできない。それに押し込まれているのはアルビの方。
鳴尾だ!の声にベンチを見ると#11のユニを着た鳴尾がスタンバイしてるのが見える。交代は順当に考えれば島田だろうか。そう考えているとオーバーラップしてきた木沢からのセンタリングに合わせる島田。しかしワクをとらえきれず。こぼれ球を拾う筒井に甲府の選手が激しいチャージ。筒井は倒れるがファールはなし。カウンターに入る甲府。筒井は立ち上がれない。ちょうど僕らの目の前で倒れている筒井。もちろん、精一杯の筒井コール。ヒジをおさえているが、なんとか立ち上がる。
交代準備に入っていた鳴尾が一旦引っ込む。筒井のケガをみて、交代をやめるようだ。しかしまた鳴尾がでてきた。日光で交代する選手の背番号をしめすボードが見づらい。島田ではなく、筒井を下げて鳴尾投入。
鳴尾のジェスチャーとポジショニングを見ると鳴尾がひとまず中盤の筒井のポジションに入るようだ。そしてベンチでは式田がスタンバイしてるのが見える。そして今度は島田に代わって式田投入。鳴尾がトップに入る。
前半、バックで野次ってたオヤジはメインに移動したらしく今度はメインから野次が聞こえる。「審判、クルクルパー!!」思わず苦笑がもれる。
交代で入った2人の動きが良く、全体的に運動量が若干増え始めた。体を張ってしっかりポストプレーをこなし、そのままDFラインの裏へ走り込む鳴尾。そして中盤でチェックを続け、奪うとすぐにパスをだし、また前線へ走り込む式田。
これでスペースができ、つられるように他の選手も走り出す。シンゴの動きがだいぶよくなってきた。まさに中盤が活性化してきた状態。とくに鳴尾がうまくDFラインの裏へ飛び出してチャンスを作る。いままでだったらここでキープしてフォローを待っていたが、最近の鳴尾は自分から積極的に勝負をしかける。体のいれ方もうまく、突破しシュートまでもっていける。しかしシュートはワクを外れる。
甲府の攻めてる時間帯の方が長いのだが、いまいち決め手を欠く。しかし油断はできない。右からセンタリングにフリーの選手が頭で合わせる。ボールは木寺の頭の上を越えるが、バーに弾かれる。助かった。
今度は藤田が前線に鳴尾へDFとGKの間にセンタリング。鳴尾、懸命に足を伸ばすが届かない。しかしそのボールがGKが目測を誤り、こぼれる。そのボールにいちはやく反応した鳴尾。ゴールには誰もいない。鳴尾のシュートは正面ながらやや高いか。なんとバーを直撃。絶好の追加点のチャンスをつぶしてしまった。
今度は甲府が攻め込み、アルビゴール前で混戦となる。ファールになった瞬間、小競り合いになったらしく、両チームの選手が集まる。マズい、しかしすぐに収まった。助かったと思った瞬間、木沢にイエローカード。やられた。これで2試合出場停止のはず。1番おそれていたDFの出場停止。しかも、それが木沢。これは痛い。
これで次節の右SBは水越だろうか、田畑の負傷が大いに悔やまれる。ここで永井監督が3人目の交代。木沢を下げてリカルドを投入。水越が右SBに入る。リカルドの試合出場は久しぶり。試合勘はもどっているのだろうか。ポジションは攻撃的MFというより下がり目の中盤らしい。右へ左へボールを簡単にさばいていくのを見て、視野の広さを再確認。そしてスペースをみつけるとするするっと上がっていき、前線のシンゴにスルーパス。簡単にGKとの1対1の場面を作ってしまった。さすがリカルド。ここでシンゴ、余裕を持って右足でコースを狙おうとしたところ、なんとイレギュラーバウンドし、痛恨の空振り。またもや追加点を取れない。
残り時間が10分を切るが、なかなか追加点のとれないアルビ。もちろん甲府の方があせっているだろうが、こっちもあせる。ここで1点とれば勝ちを決定づけられるのに。そしてまたもや鳴尾がDFラインの裏へ走り込む。これはちょっと早いか?オフサイド?しかし、フラッグは上がらず、鳴尾がドリブルで持ち込む。戻ってきたDFをかわして右足でシュート。ゴール。よし、やっと追加点がとれた。満面の笑みの鳴尾。
ここであと気になるのはロスタイム。なんとロスタイムは4分。いつ、そんなに試合中断したんだ。でもここは守るしかない。最後の力を振り絞って攻めてくる甲府。しかし最後の最後で耐えるアルビ。GKと1対1になっても木寺がファインセーブ。さすがに楽には勝たせてくれない。
しかし、前がかりになってる分、カウンターをしやすいのも事実。右サイドの水越からロングパス、リカルドが受けシュート。DFに当たってコーナーキック。
ここでゴール裏からリカルドコール。ここはゆっくりボールをセットして少しでも時間をかせぐのが定石だが、このリカルドコールで甲府の選手が苛立っているのが見える。そしてコーナーキック。精度が悪くDFにクリアされるが、もう1度コーナーキック。今度はショートコーナー。そしてサイドでボールを回し、最後は詰められたところをあえてリカルドがオフサイドポジションでパスを受け、時間を稼ぐ。ここまでやられるともう時間も残っていない。試合終了。厚別にも大分にも行かなかったから、目の前での勝利は1ヵ月ぶり。久々の勝利に思わずつぶやく。これが新潟市営で見たい。
あと、ホーム新潟での試合は3試合。まだ遅くはない。ここで3連勝して新潟の人達にアルビの強いところを見てもらいたい。シーズン最初は連勝で始まり、最後も連勝で終わろうといのは虫がよすぎるかもしれないが。
家に帰り、東京、川崎Fが負け、札幌、大分が勝ち、アルビが4位になったことを知る。2位東京と3位大分との勝ち点差は6、残り6試合ならまだまだ分からない勝ち点差。そして大分、東京と対戦を残すアルビにはまだJ2を荒らすカギを持っている。
まだ、J2は終わらない。

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