Back still growing up

 1999年11月14日(日)14:00キックオフ
於 山形県総合運動公園陸上競技場
モンテディオ山形 対 アルビレックス新潟
 
紅葉した山々に囲まれた山形県スタジアム。まさに自然に囲まれたスタジアムといったところだろうか。雲ひとつない青空の下、これがアウエーでの最後の試合ということをあらためてかみしめる。
土曜に大分が90分勝ちしてしまったのでアルビの昇格の可能性はさらに小さくなってしまった。しかしどんなに小さくても可能性があるアルビ、まったくない山形。モチベーションにどう影響するのだろうか。
スタメン発表。吉原、木沢、柴、高橋、中野、秋葉、瀬戸、水越、リカルド、島田、鳴尾。サブが木寺、藤田、筒井、式田、サウロ。今回は2トップでいくらしい。
そして山形のスタメン発表後に審判団の発表。今日の主審はあまり評判がよくない人のようだ。今日、警告をもらうと最終戦が出場停止になる選手がいる。とにかく警告にだけは注意してほしい。最終戦もベストメンバーで臨みたい。
キックオフ。当然というかまだ昇格の夢が消えていない、アルビの方が出足が良い。しかしアルビがいつも以上にいいわけではなく、山形が悪い。最終ラインの押し上げがないのでアルビがことごとくこぼれ球を拾う。
山形は真下、ムタイルの頭めがけてセンタリングを上げ、そのこぼれ球を狙う作戦のようだが、中盤からの押し上げがなく、アルビにいいように攻められる。
山形は平間のスピード以外に恐さがない。ムタイルも俊足を活かしてというタイプではないし、バウテルはほとんどボールに絡めず、真下もなかなかシュートが打てない。
アルビは右サイドから木沢が積極的に上がる。スピードで相手をかわしセンタリングだけではなく、ライン際で切り返して左足でシュートなどのバリエーションも増えていた。
木沢の左足のセンタリングがゴール中央を抜け、ファーサイドの水越がフリーでボールを受ける。しかしシュートはバーのうえ。
16分、その木沢の攻め上がりからチャンスが生まれる。木沢が切り返して上げたボールがDFが体でブロック。そのこぼれ球を島田がダイレクトシュート。GKがこぼしたところを鳴尾がプッシュ。1ー0。
そしてこれで勢いがつとおもいきやなかなかリズムはかわらず、次第に山形に攻め込まれる。
24分、山形のCK、キッカーは平間。平間のキックはカーブをかけずにボールをインステップで叩く感じのキックなので速いボールがアルビゴール前に送り込まれる。しかし、そのままファーに流れる。ライン際でボールにおいついた。そして後ろの吉田へ戻す。ライン際なのでセンタリングを注意して、ポジション確認などをすると、吉田がなんとそのままシュート。完全にセンタリングを警戒していたため、シュートにはついていけず、失点。1ー1。
どうも主審がやたらとフェを吹いて試合を中断。そのために試合がところどころ中断させられ、どうも流れが作れない。主審に軽く抗議したバウテルに警告がでる。
そして前半が終了。ハーフタイム、ピッチでは3人しか練習してない。まさか2人同時に交代?たしかにここで90分で勝たないと昇格の可能性がなくなるのだ。早め早めに手を打つことが求められる。結局、水越に代えて式田、島田に代えてサウロが投入される。そして後半開始直後。リカルドからサウロにスルーパス。完全にGKと1対1になったサウロ。GKをかわそうとするが、GKに倒される。ここで主審がPKを宣告。そしてGKに警告がでる。
キッカーは木沢。冷静にGKの逆をつき、ゴール。2ー1。あらためてリードを奪う。
しかし、その5分後、今度はアルビDFがペナルティエリアで山形の選手を倒してしまい、PKを取られる。そして真下が冷静に決め、2ー2。なかなか突き放せない。
だが、このPKはあやしかった。どうも帳尻合わせのような気がしたのは僕だけだろうか。
山形が平間のスピード頼みの攻撃だが、アルビは木沢、中野を中心にコートを広くつかって攻めることができている。サウロも持ち過ぎず、早め早めにボールをはたいている。2度追い付かれているが決して動揺はしていない。むしろ自分達のペースを忠実に守って攻めることができている。ここ数試合でもっともアルビが成長した点だ。
しかし、目立つのはアルビの堅実な試合運びではなく、主審のジャッジ。ファールを流した後にあらためてファールをとったり、流すべきところを止めたりと評判通りの実力を見せる、あきらかに試合の流れを断ち切っていた。
倒された平間にダイブのファールにくわえ警告。副審の上げたフラッグに気付かず、オフサイドに気付くのが遅れ、真下がネットを揺らした後にフエを吹くなど、特に山形に厳しいジャッジが多い。敵ながら可哀想になってくる。
試合をコントロールできてないので自然とプレーが荒くなり、見ている方としてはあまりうれしくない状況。選手がじょじょに呆れているのが分かる。
後半終了が近付くにつれて木沢のオーバーラップが増えてきた。いままでと違うのは敵の攻撃になると、走ってポジションに戻ること。絶対に90分で勝ちたいという気持ちが伝わってくる。昇格にギリギリまでこだわる木沢には延長に入った時点で負けと決めているかのよう。
しかし、主審の悪ジャッジが伝染したのか、副審もジャッジミスをし始める。鳴尾が2回ほどDFの裏へ走り込むもオフサイドをとられる。非常に絶妙なタイミングなのだが、副審にはオフサイドに見えるらしい。
後半残り10分で選手交代。筒井がアップしてるのが見える。交代は#7?瀬戸?これにはおどろいた。空中戦、パス回し、ミドルシュートと完全に中盤のキーマンの瀬戸が交代。瀬戸が控室に戻る際、メインスタンドから自然と拍手が湧いた。
結局、後半がそのまま終了。これで昇格の望みが完全に消えた。選手も気付いているだろうけど、モチベーションはそのまま維持できるのだろうか。そこが心配。
そして、4時を過ぎ、照明塔に灯がともる。そして一気に寒くなってきた。
そして延長戦のキックオフ。瀬戸が交代してから、なかなか中盤でキープできず、空中戦にも不安が残る。そして何よりサイドチェンジがなくなったことで、お互いに狭いスペースでボールの奪い合いになる。とにかく警告だけはやめてくれ。
延長前半はお互いに様子見。そして後半で勝負をかけようという気配が感じられる。
3人枠をつかってしまったので、どうしようもないがサウロがかなり足をひきずっている。まさに満身創痍の状態。
延長戦はハーフタイムがなく、そのまま後半が開始される。なかなか点の入る気配がしない。かといって取られる気もしない。
引き分けになるのだろうか。電光掲示盤の時間を見るとあと1分で引き分けになってしまうようだ。
ここは昇格がダメでも勝つアルビが見たい。このまま連勝を続け、すこしでも高い順位でシーズンを終えたい。
その気持ちが伝わったのだろうか、リカルドが中盤をドリブルで上がり、ミドルシュートを放つ。GKがファンブルしたボールにサウロが詰める。ネットが揺れる。Vゴール。試合終了間際の劇的Vゴール、サウロはそのままテレビカメラの前へ直行。やっぱりサウロはサウロだ。
これで延長勝ちが多いものの4連勝。そして警告をもらったのがサウロだけなので、最終戦の出場停止はなし。まさにベストメンバーで最終戦に臨めるのだ。
ホーム最後の試合を間接的とはいえヒドいジャッジがあっての負けだったにもかかわらず、山形ゴール裏からはブーイングはあまり聞こえてこない。簡単なセレモニーの後、山形の選手がゴール裏へあいさつにくる。そこで山形サポーターがしたのは山形コールではなく、ブーイングでもなく「大分倒せ!」コールだった。たしかに監督や1部の選手の移籍などで大分には負けたくないだろうし、昇格決定を目の前で見せられるのも嫌だろう。しかし山形は引き分けをはさんで5連敗。もっと怒ってブーイングだっていいはず、でも違った。前向きなコールがでてきたことに僕は衝撃をうけた。これをアルビのゴール裏はできるのだろうか?
このVゴールで5位以上の順位が決定。最終戦の結果次第では3位浮上の可能性も少ないながらある。そして相手は東京。ここ7試合で1勝6敗。アルビ相手に1点も取れずに3連敗。そしてアルビは4連勝中。有利な条件ばかりがそろったがどうなるのだろう。長かったシーズンも残り1試合。そして昇格するのは大分か、東京か。アルビがカギを握る。最後まで消化試合を作らなかった選手に感謝したい。

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