Back still growing up

  2000年3月26日(日)13:00キックオフ
於 新潟市陸上競技場
アルビレックス新潟 対 ヴァンフォーレ甲府
 
「もうすぐ4月だろ・・・。」
若い男性が空を見上げ、うらめしそうにつぶやく。この日の新潟市陸の上空には、厚い雲がたちこめ、冷たい北風は寒さをよりいっそう強いものにする。キックオフの30分前には白い雪が紙吹雪のようにスタジアム中に舞っていた。
開幕戦をホームで開催する権利を持ちながらも、寒さと悪天候を考え、第3節からホームでの試合を開催することとしたフロントの思惑を裏切り、この日の天候は一言で言えば「冬」。吐く息は白く、手は手袋をしていないとかじかんで痛い。
今まで大宮、鳥栖に連敗し、今シーズンまだ勝ち星のないアルビはホーム、新潟市陸に同じくまだ勝ち星のないヴァンフォーレ甲府を迎える。2試合で4失点と不調のDF陣には神田をCBに、左SBは中野、ボランチに堂森と若干のメンバーチェンジを行われた。攻撃陣にも何人か前節と選手が入れ替えられており、メンバーがまだ固定できていない。
キックオフ。この頃にはほとんど雪はやんでいた。お互いに失点を意識し、守備重視の立ち上がり。甲府は金のスピードと個人技を生かし、少ない人数でシュートまでもってくる。アルビはゆっくり中盤で回し、時間をかけて攻める。
何回か甲府の選手に独走されかけるが、秋葉が良く追ってボールを奪う。しかし、中盤でパスミスが多く、なかなか攻撃のリズムが作れない。
左サイドから吉田がドリブルで攻め込んできたところへ中野がスライディングタックルを仕掛けるがかわされ、センタリングをあげられる。マイナスぎみのセンタリングをフリーの金子がワントラップしてシュート。セルジオが体を寄せ、吉原も体を投げ出すようにして飛び出すが、ボールはネットに突き刺さる。ゴール。0ー1。
これで3試合連続で先制される。ゴールを決めた金子はシュートを打った後にセルジオと接触したらしく、倒れ込み、そのまま負傷退場。交代で倉貫が入る。
アルビのキックオフで試合が再開される。前半20分とはいえ、嫌な雰囲気がスタジアム中に広がる。アルビは昨年リーグ36試合戦って逆転勝ちはたったの1試合。先制されるとそのまま負けるパターンが多い。
だが今までの2試合とは違い、前半から積極的に攻めるアルビ。中野がタイミングよくオーバーラップし、センタリングを上げるが、DFにクリアされる。
その後もゴールこそ奪えないもののサイドをうまくつかいチャンスを作る。甲府がファールで止めざるをえない場面がじょじょに増え始める。中央やや左からの堂森のFKはワクを外れる。何本かあったCKもなかなかシュートまでもっていけない。
右サイドでアルビの選手が倒され、直接FKを得る。高さのある神田、セルジオの両CBがゴール前に上がってくる。キッカーは式田。ファーサイドへのボールに飛び込んだのは神田。ヘディングシュートがネットに突き刺さる。1ー1。同点。前半残りわずかのところで同点においつく。
そのあともややアルビペースで前半を終える。ハーフタイムにサブの選手がピッチで練習をしている。ハーフタイムでの交代はないようだ。
後半のキックオフ。甲府の選手が右サイド奥を狙ったボールをラインを割り、ゴールキックとなる。吉原が中野にパス。中野はゆっくりドリブルしながら前線へロングパス。鳴尾が完全にDFラインの裏へ抜け出す。ワンバウンドしたボールを冷静にトラップし、シュート。ボールはGKの股間を抜ける。ゴール。2ー1。
飛行機ポーズで喜びを爆発させる鳴尾。後半始まってからまだ1分たってない時間での逆転ゴール。
そして喜びのさめやらぬうちに、またもや鳴尾がゴールを決める。中央でボールを受けるとDFのマークを振り切り、強引に左足でシュート。3ー1。
あまりにも早い時間での3点目に大量得点の予感を感じさせるが、そこからの攻めがなかなかフィニッシュまでもっていけない。
再三、木沢がオーバーラップしセンタリングをあげるが、ボールは直接ラインを割ってしまう。服部がサイドでフェイントでDFをかわし、センタリングをあげるも合わせる選手がいない。逆サイドでボールを拾う選手がいないので攻撃が単発で終わってしまう。
甲府は疲れのみえる金と土橋に代え、高さのあるルイスとアントニオを投入する。この選手交代でやや甲府がペースを握り始める。アルビも精彩を欠く服部に代え、ナシメントを投入。
しかしこれが裏目にでる。ナシメントがミスでボールを奪われる場面が多く、甲府が攻める時間が増える。中盤で倉貫からルイスへスルーパス。セルジオが手を上げ、オフサイドをアピールするが、左サイドの選手が1人残っている。オフサイドトラップの裏をつかれた形になり、ルイスが冷静にアウトサイドでボールを右スミに流し込む。
すぐにゴールからボールを拾い上げ、センターサークルまでボールを持って走る甲府の選手。残り時間は15分強。
昨年が1ー0の試合が思い出される。3ー2という昨年ではほとんど考えられないスコアながら、1点差というのは同じ。追いかけられる恐怖。いつか同点にされてしまうんじゃないかという不安。その感情は恐怖とともに快感でもある。
シンゴに代え、寺川が投入される。アルビは点をとることよりもボールをキープすることを念頭においたプレー。なかなかセンタリングをあげず、ボールをまわして時間をつかう。
ロスタイムに入り、ようやくナシメントが惜しいシュートを放つが、ボールはゴールポストのすぐ脇を抜ける。
試合終了。3ー2で今季初勝利を上げる。だが課題は山積みだ。中盤でのパスミスの多さ、木沢、服部の不調、3試合で6失点の守備陣、鳴尾頼みの攻撃。
次は30日(木)にアウエーで札幌との対戦。2試合で5ゴールのエメルソンを筆頭にした攻撃陣、同じく2試合で無失点の守備。間違いなく苦戦が予想されるだろう。

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