Back still growing up

  2000年4月9日(日)13:00キックオフ
於 新潟市陸上競技場
アルビレックス新潟 対 ベガルタ仙台
 
 降水確率0%の予報通り、雲ひとつない快晴の新潟市陸上競技場。メインスタンドのチケットの値上げの影響か、メインよりバックスタンドの方から観客が埋まっていく。アウエー側のバックスタンドに陣どる仙台サポーター。ゴール裏ではなくバックスタンドを選んだ彼らの目的はひとつ、木沢をヤジるため。昨年の仙スタでの一件をいまだに根にもっているらしい。ただ、開幕からの5連敗の影響か仙台サポーターの人数は少ない。
 対するアルビも1勝3敗となかなか結果がでない。特に失点が4試合で9点。新潟は守りが堅いといわれていた頃がなつかしい。監督の攻撃重視の戦術が裏目にでているのだろうか。4試合すべて先制されてしまっている。
 そして連携の悪さもなかなか解消されない。メンバーも固定できない。今日は寺川が右の攻撃的MFに入るようだ。先日のアローズとの練習試合ではほとんど機能しなかっただけに不安がつのる。
 最下位の仙台に勝てなかったら、どこに勝てるんだ?そんな声も聞こえてくるが、仙台は新潟市陸での試合に滅法強い。昨年も市陸では2敗している。負けたら最下位転落もありえる。
 選手が入場し、アルビのキックオフで試合が始まる。大きく左サイドに蹴り出したボールは中野が追いつけず、ラインを割る。
 最初はお互いに様子を見ながらのプレー。無理をせずに、失点しないことを優先しながら試合を進める。木沢がボールを持つと仙台のサポーターがブーイングしてるようだが、人数が少ないせいかほとんど聞こえない。
 昨年同様に荒れることを予想していたが、前半は意外にファールが少ない。だが好ゲームとはいえない。お互いに連携が悪く、ボールがなかなかつながらない。シュートまでもっていけない。無理に打っても崩し切れていないので、DFに簡単にブロックされ、点が入る予感がしない。
 ただ、仙台にあってアルビにないもの、それは速攻の意識。ボールを奪っても必ずといっていいほどスピードダウンしてしまうアルビに対し、仙台はときおりスピードにのったカウンターをしかけてくる。
 しかし秋葉が縦横無尽に走り回り、仙台のボールにチェックにいき、速攻をなかなか許さない。さらに最終ラインでは神田が読みの良いディフェンスでボールを奪う。
 しかし1点目はその仙台の速攻から生まれる。スピードにのったドリブルで中央を突破しようとする仙台の選手を秋葉と神田で両側からはさみこむように止めようとするが、ひっかけてしまい、ファールを取られてしまう。倒した秋葉に警告がでる。
 位置はペナルティエリアギリギリゴールやや左、キッカーは伊藤卓。ファーサイドに蹴ったボールに小林がマーカーの寺川に競り勝ち、頭で合わせて先制される。これで5試合連続で先制点を取られる。攻撃重視の戦術ながらなかなか得点を奪えない攻撃陣。早くも嫌な雰囲気がスタジアムを包む。
 だがまだ前半30分。残り時間は十分にある。おちついていけば大丈夫と頭を切り替えた途端に、追加点を奪われる。
 伊藤のFKに藤吉と神田が競り合う。こぼれたボールが神田の腕に当たる。「ハンドか?」一瞬DF陣の足が止まった。そこを後ろから走り込んでいた平間が右足で蹴り込む。吉原がコースに入るが、DFにあたってコースが変わり、逆を突かれる形となりボールはネットに突き刺さる。0ー2。不運なゴールだ。この2点目は大きい。
 俄然勢いにのる仙台。攻め込まれながらもかろうじて3点目を許さないアルビ。秋葉の奇跡的なブロックなどで追加点を許さず、なんとか0ー2で前半を終える。
 ハーフタイムにサブのメンバーがピッチでアップしている。5人ともアップをしているということはハーフタイムでの交代はないのだろうか。今年は監督の選手交代が早いのでかすかに期待していたのだが。
 選手がピッチにでてきて、後半が始まる。見ると式田が入っている。寺川に代わっての出場のようだ。徹底的に走り回ってリズムを変えてくれることを祈る。
 後半開始からアルビがリズムをつかむ。ボールをキープし、サイドから切り崩し、センタリングを上げるがなかなか中央で合わせることができない。ファーサイドに流れたボールをもう1度折り返すが、それもシュートまでもっていけない。
 いらだつ服部がDFに足の裏を見せたスライディングタックル。警告をもらう。じょじょにファールが多くなり、殺気だった雰囲気に変わりつつある。
 なかなか1点が取れないアルビはマルコ、ナシメントの2人を同時に投入。堂森と服部が下がる。
 後半25分、ラフプレーで伊藤が2枚目の警告をもらい、退場。さらに異議を唱えたリカルドが警告。直後にアルビの選手のヒジ打ちを食らわせ、もう1枚の警告、退場となる。
 警告3連発で一気に2人少なくなった仙台。すぐに小林に代えてDFの山路を投入する。数的優位にたったアルビは両サイドに木沢とシンゴを張らせて、サイドからセンタリングを上げ、ゴールを狙う。
 仙台は完全に逃げ切りの布陣に入る。前線に人をおかずに9人全員で2点のリードを守りきる作戦のようだ。
 残り時間は20分弱。2点取るには十分な時間だ。ボールを奪ったらすぐにサイドに蹴り出して時間を稼ぐ仙台。完全に仙台がひいているのでゴール前にスペースがない。必然的にサイドからゴール前にクロスをあげるが、中央で合わせる選手がいない。
 サイドに開く。クロスを上げる。ボールがファーサイドに流れる。サイドに開く。クロスを上げる。GKに取られる。
 この繰り返しが何回行われただろうか。高さのある選手がいないうえに、精度が低くシュートに結びつけられない。
 中央からの攻めはスペースがなくシュートが打てない。結局横パスをつないでサイドに開くことになる。
 ミドルシュートを打ってDFを引き出すとか、サイドからでもシュートを打つとか、ライン際まで切り込んでからクロスを上げるとか攻めの工夫がほしい。
 刻々と残り時間が少なくなっていく。待望の1点は思いもよらぬ形から生まれる。競り合いのこぼれ球が仙台DFの手に当たる。主審がペナルティスポットを指さす。PKだ。
キッカーは誰だろうか。昨年までは木沢が蹴っていたが、鳴尾も考えられる。しかしボールをおいたのは秋葉。かなり不安。だが冷静にGKの逆を突き、ゴール。2ー1。あと1点で同点だ。
 すぐにシンゴがネットからボールをかきだし、ボールを持って自陣に戻る。残り時間は15分弱。時間的には十分同点においつけるはずだ。しかも相手は9人。だがなんとなく点の取れる気がしない。
 連携が悪く、パスで相手を崩せない。足元でボールを回すだけになり、シュートがうてない。クロスから鳴尾が頭で合わせるが体勢が悪く威力なく石川にキャッチされる。
 ナシメントがドリブル突破を試みるが、なかなかシュートまでもっていけない。こぼれ球をシュートしようとしてもトラップしてからシュートまでが遅く簡単にブロックされる。じょじょに焦りがではじめる。
 CKも精度が低く、石川にキャッチされる。鳴尾のロングスローも競る選手がいないので簡単にクリアされる。シュートが打てない。打たなきゃ点は取れないのに。
 平間に独走されかけ、手をかけた神田に警告がでる。さらにファールをもらいに自ら倒れたマルコにも警告がでる。もう時計の針は45分を指している。
 ショートコーナーからマルコが切り込んでシュート。平間がブロックに入る。弾いたボールはマルコの背後に飛んでいく。しまった。全員があがっていて後ろには誰も残っていない。ボールを奪って独走する平間。DFがおいついたときには逆サイドにふられ、蓮見がシュートを放つ。ボールは無情にもネットに突き刺さる。1ー3。
 最悪だ。9人しかいない仙台に点を取られるなんて。倒れ込む選手達。まだ試合は終わっていないが、完全に集中が切れている。ロスタイムは4分。ここで仙台が選手交代。とことん時間を稼ぐ。
 結局、シュートを打つこともできずに試合終了。1ー3。完敗だ。
 攻撃重視の戦術から昨年のカウンターサッカーに戻してもいいじゃないだろうか。1点取るけど3点取られるサッカーより1ー0でも勝つサッカーを観客は望んでいるはず。とにかく守備を立て直さない限り、勝利は望めない。ナビスコカップをはさんで浦和、大分と強豪との対戦が続く。勝ち方を忘れてしまったアルビレックス、最下位は恐ろしいほどに近いところにある。

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