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  京都パープルサンガの傾向と対策

2000年4月3日
 
今年のナビスコカップ1回戦の相手となるのは京都パープルサンガ。調べていくうちにアルビと似ている点が多いことに気付く。

リーグで結果がでてないこと(共に1勝3敗)、メンバーが固定できていない、#11だけが孤軍奮闘している、ベンチの采配が遅い、ボールがつながらない、選手の覇気がみえない・・・。

サンガは開幕より一貫して3ー5ー2のフォーメーションを敷いており、今後も3ー5ー2でいくことが予想される。

GKはここまでリーグフル出場の松永(#1)。かつて日本代表の正GKだったこともあり、知名度は高い。だが若かりし頃、日産でなかば無謀に近いくらい前へ飛び出していた面影はない。現在は年齢からくる身体能力の衰えか、それとも判断の遅れだろうか、飛び出しは少ない。クロスに対して前に出てパンチングする姿はあまり見られない。実際、サンフ戦で上村のロングスローから何回か決定的な場面を作られ、伊藤にゴールを割られている。

つまりサイドからのクロス、FK、CK、鳴尾のロングスローなどはチャンスとなる。またハイクロスやアーリークロスも有効と思われる。

DFはややCBが下がる前近代的な3バック。だがいまだメンバーは固定できていない。CBはエジーニョ・バイアーノ(#5)、大嶽(#4)、手島(#17)の3人が持ち回りでやっているような状態。個別にみていくとまず手島は精神的に弱さが見られる。失点や突破などで気落ちすると気持ちを切り替えることができずに、ずるずるとDFラインを下げてしまいピンチを誘う。大嶽は手島のような精神的な弱さはないものの、ラインを下げがちになることに変わりはない。エジーニョ・バイアーノもラインを深くとることに変わりはないのだが、手島、大嶽と違い、機を見て前線へオーバーラップしていくことがある。これは結果的にラインを押し上げ、攻撃に厚みを持たせることにつながる。だが、CBのオーバーラップにはリスクがつきものである。基本的には中村忠(#3)がカバーに入るが、カバーに入る前にボールを奪うことができれば大きなチャンスとなる。

3バックの左右のDFには佐藤尽(#6)と手島、大嶽が起用されている。3人に共通していえることは元五輪代表、元ユース代表、元日本代表の肩書はもっているがそれほどの実力はないということ。4試合で11失点という結果が守備の脆さを物語っている。

そしてボランチには中村忠(#3)、遠藤(#14)の2人が入る。一見、相性がよさそうにみえながら実は連携がよくない。どちらかというとお互いにカバーするタイプであり、同タイプの2人はお互いにいいところを消し合ってしまっている。だが共に実力者であり、ときおり決定的な仕事をする。特に遠藤はスルーパス、ミドルシュートの能力が高く、注意が必要である。

左右のウイングバックには右は宮崎(#15)、左は野口(#2)で固定している。基本的には宮崎が攻撃重視、野口がバランスをとる役目を与えられているようだ。チーム戦術としてトップにあてたあとに宮崎が前線に飛び出しチャンスを作ろうとしている意図が感じられる。しかし大卒ルーキーの宮崎はこのポジションに慣れておらず(もともとFW)、持ち前のスピード、ドリブルを発揮できていない。野口は元々サイドバックだったことも関係しているのだろうか、攻め上がりのスピードが遅い。

アルビとして狙うならばこの左右のウイングバックであろう。上に書いたようにサイドからのクロスがチャンスに結びつく以上、これ以上の狙い目はない。

宮崎の場合、足は速いが守備はうまくない。中野が中盤の選手とうまくパス交換していくことができればサイドを突破することができるはず。野口はサイドバック出身ながらそれほど守備はうまくない。木沢のドリブルで突破できるはず。

そしてトップ下のポジションだが、ここも試行錯誤が続いている。松川(#9)、熱田(#13)、ファブリッシオ(#8)が起用されているが、結果を残せていない。サンガが点を取れない原因のひとつに中盤から2トップに良いボールが配給されないということがある。つまり、ここのポジションが機能していないということである。ここに遠藤が起用される可能性もある。

2トップは三浦(#11)を軸にしながらヘジス(#10)、黒部(#16)、吉田(#27)が起用されている。三浦は現在サンガで唯一攻撃の起点となっているので注意しなくてはいけない。かつてストライカーとして名を馳せていた三浦だが、今は違う。前線でキープし、中盤の上がりを引き出すポストプレイヤーである。ときおりドリブル突破をみせるが、シュートになると体勢が崩れワクをとらえきれない場面が多く見られる。スピード不足は深刻で、あらゆるプレーのスピードが遅い。そして三浦のパートナーとなるもう一人のFWは速さを活かすタイプとなる。だが中盤から効果的なボールがでてこないので効果的な攻めとはならない。

総括すると攻撃面では左右のサイドを突いて、クロスを上げること、守備面では三浦を徹底的にマークし、ときおり前線に上がってくるエジーニョ・バイアーノや遠藤をマークすることが重要となる。

最後に采配面で指摘しておきたい。加茂監督は選手交代が遅い。監督曰く「先発した選手を信じていきたい」とのことだが、リズムが悪くなっても選手交代はなかなか行わない。

つまり早い段階で先制点を奪い、こっちのペースにしてしまえば、選手交代をなかなか行わないので流れが相手にいってしまうことが少なくなるはずである。

勝つ可能性は十分にあるはずだ。昨年のフロンターレがナビスコカップを契機に調子を上げてきたことは記憶に新しい。ぜひともサンガ戦をきっかけにして調子を戻してもらいたいものである。

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