いい機会なのでトロイアネタで行きます。
別のところでも書きましたが、私はトロイア戦争をネタにした小説を書きました。もともとトロイア戦争の話って、イーリアスだけでなく、いろんな叙事詩が集まってひとつの物語を形作っています。小説を書くにあたってどんな風に物語が進むか整理しようと思い、簡単な年表をまず作ってみました。その結果、「おっとー」というような状況になってしまいました。
そもそもトロイア戦争は、テティスとペレウスの結婚の時に争いの女神エリスが最も「美しい女性に」と書かれたりんごを投げ込み、パリスの審判を経て始まったのです。テティスとペレウスは要するにアキレウスの両親です。ここで大きな疑問が生まれました。「アキレウスって、いつ生まれたんだ?」ということです。
本で読んでるときは流してしまっていましたが(私だけ?)、これらの出来事が連続して起こっているとしたら、アキレウスが生まれる時間がないことになります。まあ、半神だから成長が早いとも考えられますが、そうでなければ完全に時間の流れが混乱してしまいます。まさに、超時空要塞トロイア。
そこで考えた末、ひとつの考えが浮かびました。。「そうか、ペレウスとテティスは、出来ちゃった結婚だったんだ」ということです。子供を産んでからしばらくして結婚式を挙げたからこういうことになったのかと結論付けたところ、またある事実を思い出しました。ネオプトレモス(アキレウスの息子)はいつ生まれたんだろう。説によると、アキレウスがトロイア戦争に従軍直前匿われていたところで子をもうけていたというが、トロイア戦争が10年、ネオプトレモスも最終的にはトロイアへ行ったはずだから、大きくとも10歳くらいで従軍したはず。なんという早熟なことだろう。さらに逆算してみますと、テティスとペレウスの結婚のほんのすぐ後には孫が嫁のお腹の中にいた可能性もでてくるので、「孫出来ちゃった結婚だったのか」と結論付けました。
上記のことは冗談ですが、さしあたって小説を書くのにこの辺りの矛盾をどう解決したかというと、テティスとペレウスの結婚からパリスの審判までを長く設定しました。神話を漫然と読むのではなく、きちんと流れを追うとまた新たな発見があると無理やり教訓にこじつけたところで、この話題は終わります。