橋本千晶研究| 内田作品にはたくさんの探偵が登場しますが、私の好きなひとつに「多摩湖畔殺人事件」に登場する「橋本千晶」が挙げられます。登場する作品は少ないですが、印象的な存在だと思います。 橋本千晶は「車椅子の少女」です。病気で下半身が不随になり、12歳くらいのときに母親が病気で亡くなっています。原因は肺癌で、これを境に父親は禁煙したとなっています。Niftyの丸裕さんからの情報で、この個所がわかりました。ありがとうございました。 20歳のときに「多摩湖畔殺人事件」で父、圭一(当時50歳)を何者かに殺されるという設定になっています。その後は、ばあやの金井公江と二人暮らしです。 各作品からプロフィールを挙げると次のようになります。 「多摩湖畔殺人事件」から 19か20歳くらいという記述です。「透き通るような白い貌の唇と頬にはほのかな紅色が差している。大きな眼はアンティックのフランス人形を連想させた」と表現されています。「越天楽がきこえる」では「優しい目」と書かれており、冷たい感じではなさそうです。病気が原因で少し発育が遅く、「普通の娘より稚い感じ」とも記されています。また普段から病気がちであまり外出できないようです。髪は一つに束ねられ、左肩の前の方に垂らしています。全体的には「清純そのもののような、天使のような美しい娘さん」と河内刑事が言っています。 着るものは公江が選んで買ってくるようです。また公江の手編みのピンクのセーターもあります。 趣味は、読書、編み物、音楽鑑賞、長電話。特に読書は純文学、推理小説、旅行関係の本をたくさん読んでいるようです。編み物は公江から教えてもらっているようです。 自宅 渋谷区大山町の閑静な住宅街 白い壁にオレンジ色に瓦屋根を載せた、かなり少女趣味がかった洋館 父 橋本圭一(50歳)は何者かに殺害される。 ばあや 金井公江 半白の髪をした上品な老婦人。 千晶の部屋 「ごく淡いオレンジ色の壁に囲まれたおよそ16畳ぐらいはありそうな洋間」 「越天楽がきこえる」から 「多摩湖畔殺人事件」の翌年、11月中旬の事件ということになっています。 「ドクターブライダル」から 「越天楽がきこえる」の次の年、つまり「多摩湖畔殺人事件」の2年後の事件。 中学2年で転送した友人と8年ぶりに会うということになっているので、千晶は22歳であることになります(誕生日が来ているかどうかは別です)。母親が亡くなったのはそれより10年前なので、12歳のときという計算になります。中学校までは車椅子で通い、それ以降は家庭教師に来てもらっています。また、この作品中で、金井公江は50歳を越えているということになっていて、住所は杉並区になっています。 また、千晶の家は、この作品では渋谷区大山二丁目となっていますが、現在の地図によると大山町には二丁目はありません(内田先生の揚げ足とりではありませんので、お許しくださいm(__)m)。 「踏まれたすみれ」から 公江は50歳になったばかりになっています。千晶のお気に入りは父親譲りのモーツァルトです。 「少女像は泣かなかった」から この中でははっきりと22歳だと言っています。 車椅子であるため、それほど動き回れませんが、そのかわり東大和署の河内警部補(「多摩湖畔殺人事件」では部長刑事)が胃潰瘍の体と戦いながら、調査を行います。この二人の掛け合いや千晶の可憐さと推理力の対比がとても際立っていると思います。なお、「多摩湖畔殺人事件」では河内部長刑事は「こうち」とふりがなされています。 作品情報 次の作品に橋本千晶は登場します。 「多摩湖畔殺人事件」 光文社:文庫、愛蔵版 「少女像は泣かなかった」(短編) 中央公論社:新書判、愛蔵版、文庫 「越天楽がきこえる」 「ドクターブライダル」 「踏まれたすみれ」 「少女像は泣かなかった」 映像化作品 182566の死者・多摩湖畔殺人事件 1987.5.19 日本テレビ(火曜サスペンス劇場) 監督:藤井克彦 脚本:岡本克己/国弘珠緒 出演:千晶:伊藤つかさ 河内:芦田伸介 岸部一徳、結城美栄子、平野稔 内田康夫ミステリー・多摩湖畔殺人事件 1995.9.15 フジテレビ(金曜エンタテイメント) 演出:福本義人 脚本:大久保昌一良 出演:河内:山崎努 千晶:中谷美紀 岡部警部:渡辺いっけい 岡本健一、浜田光夫、赤座美代子、津嘉山正種、本田博太郎 |