アクアチェック 3 使用報告 |
<目 的> 水泳プールの水質管理には、現在 o−トリジン、BTB を用いて発色させ、それを検定器で比較測定する方法がとられてる。この方法は、試薬の量などその取り扱いに注意を要することから、維持管理にもう少し簡便で誰でも出来る方法がないかという発想から米国ETS社の アクアチェック 3 を使用しその精度・信頼性・使用感を実際に比較検討してみる。 <方 法> 学校プール検査に同行した時、同時にアクアチェック3でも検査を行いその検査値を比較する。 |
<使用方法> |
1. 試験紙を水に浸し、直ちに 取り出して下さい。 |
2. 試験紙を水平にして、15秒 間待って下さい。 |
3. 遊離残留塩素、pH、総ア ルカリ度の試験部分を各々 の色調表で判定して下さい 。 |
1. 遊離残留塩素 (0 , 0.4
, 0.7 , 1.0 , 2.0 , 3.0 ppm) 遊離残留塩素は水中の有機物と反応していない活性化された殺菌力の高い塩素の状態です。アクアチェック3はシリンガルダジン法の採用により特異的に遊離残留塩素とだけ反応し、結合残留塩素とは反応しません。従来のオルトトリジン法では総残留塩素(結合+遊離)が表示され、遊離残留塩素の測定が困難です。結合残留塩素は塩素が水中のアンモニア化合物と反応して生じる状態で殺菌力は殆どありません。 従って、アクアチェック3による測定で塩素管理がより正確に簡単に行えます。厚生省通達では遊離残留塩素は0.4ppm以上で1.0ppm以下であることが望ましいとされています。 |
2. PH (6.4 , 6.8 , 7.2
, 7.5 , 7.8 , 8.4) 水がアルカリ性か酸性かを示します。PHが6.5以下の酸性サイドの状態が続けばパイプ、ろ過装置が腐食し易い状態になります。人間にやさしいPHは7.5前後です。厚生省通達ではPHは5.8〜8.6とされています。 |
3. 総アルカリ度 (0 ,20,40,80,120,180
ppm) 水中のアルカリ性物質の総量を示し急激なPH変化を吸収するバッファーの役目をはたして水のバランスを保つ重要なファクターです。アルカリ度が減少し20ppm以下になると水は酸性になり易く要注意です。 |
<調査結果> |
★ 平成10年 6月29日(月) |
<アクアチェック 3> <検査結果> |
調査校 | 遊離残留塩素 | PH | 総アルカリ度 | 遊離残留塩素 | PH | |
@ | 0 | 7.2 | 20 | 0.2 | 7.3 | |
A | 0.1(?) | 7.0 | 30 | 0.05 | 7.3 | |
B | 0.1(?) 0.4 |
7.0 7.2 |
40 40 |
0.1 0.6(小プール) |
8.0 | |
C | 1.0 | 7.2 | 40 | 1.0 | 8.0 | |
D | 2.0 | 6.8 | 20 | 2.0 | 7.0 | |
E | 0.1(?) | 7.0 | 20 | 0.1 | 7.4 | |
F | 0.1(?) 0.4 |
7.0 7.0 |
20 20 |
0.2 0.6(小プール) |
7.4 | |
G | 0.5(?) 0.4 |
7.2 7.0 |
20 40 |
0.8(低学年) 0.3(高学年) |
7.2 7.4 | |
H | 0 0.1(?) |
7.0 | 40 40 |
0.05 0.1(小プール) |
7.2 |
★ 平成10年 6月30日(火) |
調査校 | 遊離残留塩素 | PH | 総アルカリ度 | 遊離残留塩素 | PH | |
I | 0.2(?) 2.0 |
7.0 | 20 | 0.4 2.0(小プール) |
7.2 | |
J | 0.4 | 7.2 | 40 | 0.6 | 8.6 | |
K | 0.3 0 |
6.8 | 40 | 0.2 0.1(小プール) |
7.3 | |
L | 0 | 7.2 | 20 | 0.05 | 7.2 | |
M | 0.7 3.0 |
7.2 | 40 | 0.6 3.0(小プール) |
7.4 | |
N | 0.2(?) 0.5(?) |
7.0 | 20 | 0.5 0.3(小プール) |
7.2 | |
O | 0.1(?) | 6.8 | 40 | 0.2 | 7.2 | |
P | 0.4 0.2(?) |
7.0 | 40 | 0.2 0.3(小プール) |
7.3 | |
Q | 0.5(?) 2.0 |
7.0 | 40 | 1.0 2.0(小プール) |
7.6 |
<考察> |
今回、小牧市以外の愛知県内3カ所で同様の調査がなされているので結論はそのまとめを待って報告したいと思いますが、2,3気付いた点を書いておきます。 1.学校環境衛生の基準で遊離残留塩素は0.4〜1.0 r/l とされているが、晴天の日など0.4以下に落ちやすいことを考えると0.2の指標があっても良いのではと思われる。調査値の0.1(?)0.2(?)などは調査員の主観によって異なってくると思われる。 2.遊離残留塩素の色調にもっと変化を付けてほしい。 3.PHは少し? 4.総アルカリ度? 5.全体ではプールの維持管理には使えるのでは・・・。検査に使用するにはもう少し精度が・・・。と感じています。 |