4.ダイオキシンの毒性

☆指針値の設定方法
@ まずKocibaのデータに基づいて、10pg/kg体重/日を算出。
  • NOAEL  1000pg/kg体重/日(肝過形成結節)  10000pg/kg体重/日(肝ガン)
  • 不確実係数                 100                  1000      
      内訳    ラットと人の種差      10                    10       
             人の個体差         10                    10       
            影響の重大性         1                    10       
 
  • 計算式  NOAEL/不確実係数
            肝過形成結節     1000/(10*10* 1)= 10
            肝ガン         10000/(10*10*10)= 10             
A Rierの実験を健康リスク評価指針値の設定にあたって一定の評価を与えるべき実験であるとの判断に立ち、Kocibaの実験データで得られた値 (10pg/kg体重/日) に、更に2倍の安全を見込み、健康リスク評価指針値として 5pg/kg体重/日 を設定。
☆毒性等価換算

 毒性についての情報が得られているダイオキシン類としては、2,3,7,8−TCDDが主たる物であり、他の異性体や同族体については、限られた情報しか得られていない。ダイオキシン様物質の毒性は、その分子骨格についた塩素の置換数と置換位置によって支配されており、その毒性のかなりの部分は、受容体との結合アリルヒドロカーボン水酸化酵素(AHH)の誘導と密接に関連していると考えられている。受容体との結合能、誘導能及び毒性影響を勘案して、2,3,7,8−TCDD以外の塩化ダイオキシン異性体、塩化ジベンゾフランの異性体の毒性を2,3,7,8−TCDDの毒性として力価換算する案が提案されている。
 塩素数    化合物名    TEF    化合物名    TEF 
  4 Tetra CDD
2,3,7,8-
1,3,6,8-
1,3,7,9-
その他
 
  1
  0
  0
  0
Tetra CDF
2,3,7,8-
1,3,6,8-
その他
 
 
0.1
 0
 0
 
  5 Penta CDD
1,2,3,7,8-
その他
 
 
0.5
 0
 
Penta CDF
1,2,3,7,8-
2,3,4,7,8-
その他
 
0.05
0.5
 0
  6 Hexa CDD
1,2,3,4,7,8-
1,2,3,6,7,8-
1,2,3,7,8,9-
その他
 
0.1
0.1
0.1
 0
Hexa CDF
1,2,3,4,7,8-
1,2,3,6,7,8-
1,2,3,7,8,9-
2,3,4,6,7,8-
その他
 
0.1
0.1
0.1
0.1
 0
  7 Hepta CDD
1,2,3,4,6,7,8-
その他
 
 
0.01
 0
 
Hepta CDF
1,2,3,4,6,7,8-
1,2,3,4,7,8,9-
その他
 
0.01
0.01
 0
  8 Octa CDD 0.001 Octa CDF 0.001
< ダイオキシン類に対する2,3,7,8-TCDD毒性等価ファクター(TEF) >
☆ 2,3,7,8-四塩化ダイオキシンの動物に対する致死毒性                           
  動物種     性     投与ルート     半数致死量  
  (μg/kg)
  マウス       経 口    283.7
  ラット   ♂     経 口     22
  〃   ♀     経 口     45
 モルモット   ♂     経 口     0.6
  〃   ♀     経 口     2.1
  ウサギ  ♂ ♀     経 口     115
  〃  ♂ ♀     経 皮     272
  〃  ♂ ♀     腹腔内   > 252
  サ ル       経 口   50― 70