7.最近の問題

海底堆積物及び魚類に含有するダイオキシン                                

          生物(魚類)(ng/g) 生物(貝類) (ng/g) 底質(参考)(ng/g)
河川  最大値 
 最小値 
 中央値 
(検体数)
   0.0020
   0
   0
   (12)
  
   0.016
   0
   0.00087
  (12)
湖沼  最大値 
 最小値 
 中央値 
(検体数)
   0.00050
   0
   0
   (4)
  
   0.039
   0.016
   0.028
  (5)
海域  最大値 
 最小値 
 中央値 
(検体数)
   0.0059
   0
   0.00055
   (18)
 
 
     0
    (1)
   0.062
   0.00001
   0.0095
  (19)
全体  最大値 
 最小値 
 中央値 
(検体数)
   0.0059
   0
   0
   (34)
 
 
     0
    (1)
   0.062
   0
   0.0085
  (36)

☆ ゴミ焼却によって発生するダイオキシン類

日本におけるダイオキシン類の発生源としてとして一般廃棄物(都市ゴミ)焼却炉からの発生が大きいことが発表された。
1997年1月 厚生省はゴミ焼却施設の排出ダイオキシン類濃度の基準値を設定
  80ng/TEQ立方m以上の施設    施設の改善又は休廃止
  既設炉の目標値              0.5〜5ng/立方m
  新設炉                    0.1ng/立方m以下
1997年8月 環境庁は大気汚染防止法の一部改正(施行1997年12月)
  既設炉                    1〜10ng/立方m
  新設炉                    0.1〜5ng/立方m
1998年12月 厚生省は廃棄物処理法政省令の一部改正
  都市ゴミ焼却施設 ・ 産業廃棄物焼却施設の設置許可の細目化(既存施設を除く)及び罰則の強化(1年以下の懲役又は300万円以下の罰金)など
  • 現在問題になっている野焼きは改正以前から禁止されている。
  • 多くの産業廃棄物焼却施設のダイオキシン類排出濃度は、都市ゴミ焼却施設と比較して特に高いとはいえないが一部に非常に高い物がある。
  • 都市部及びゴミ焼却炉周辺の大気・土壌中のダイオキシン類の濃度はバックグランド地域に比べて若干高いが、私たちのダイオキシン類摂取量の大部分(95% 以上)は食品からであり、食品からのダイオキシン類摂取量は地域とは関係ないと思われる。
  大気降下量
(ngTEQ/u ・y)
   大気濃度
(pgTEQ/立方m)
 土壌濃度
(pgTEQ/g)
     100      3〜4    150
ゴミ焼却施設周辺の環境濃度の設定
        摂取量
 (pg/kg/day) 
   食 物      
   大 気
    水
   土 壌
  0.26〜3.26 
  0.9〜1.2
   0.001
   0.63
     計   1.79〜5.09
ゴミ焼却施設周辺における摂取量

<ダイオキシン規制>
  • 大気汚染防止法の排出濃度基準
    
        新 設   既 設 
廃棄物焼却炉
  処理能力200kg/H 以上 2t/H 未満 
  処理能力2t/H 以上 4t/H 未満
  処理能力4t/H以上
 
  5ng
  1ng
 0.1ng
 
 10ng
  5ng
  1ng
製鋼用電気炉  0.5ng   5ng
※ この基準の違反にたいしては、知事に勧告する事はできますが、罰則規定はない。
  • 廃棄物処理法における焼却炉の構造、維持管理基準
    1. 構造基準
    @ 必要な空気を供給できる設備を設けた燃焼室
    A 燃焼ガスの温度を200℃ 以下にする冷却装置
    B 煤塵を焼却灰と分離して排出・貯留できる設備
      2.維持管理基準
@ 不完全燃焼を防ぐための燃焼温度を800℃ 以上に保つ
A 排ガス中のダイオキシン濃度を年1回以上測定・記録する
※ この構造・維持管理基準に違反した場合は、使用停止命令、改善命令を受ける
こととなり、命令に従わない場合には、1年以下の懲役又は300万円以下の罰金と
いう罰則が規定されています。

8.おわりに

近年、科学の進歩に伴って微量の化学物質の分析法もめざましい進歩を遂げ、各種の有害物質も微量であれば身近に存在することが分かってきた。ダイオキシンはその典型的な例であろう。
ダイオキシン類は極めて微量でも問題になる物質であるだけに、その取り扱いは困難を極めこれから解明しなければならない問題が多く残されています。ただ、人類は昔から微量のダイオキシン類を摂取してきたことは確かであるし、現在私たちが摂取しているダイオキシンの95% 以上は食物を通して摂取していることも確かであります。物が燃えればダイオキシンが生成する可能性がある中では、都市ゴミの焼却炉だけが発生源ともいえず、その周辺の住民が特に危険ということはいえない。(他の煤煙の影響の方が大きい・・・??)  環境問題や物質の毒性の問題を考える時には、その数値を基に科学的に判断する必要があり、そうした判断ができる目を持つことがこれからとても重要になると思われます。
<参考資料>
    「最近のダイオキシン問題」    名古屋大学名誉教授  鍬塚昭三  
    厚生省   http://www.mhw.go.jp/   
    http://www.asahi-net.or.jp/~xj6t-tkd/env/welcome.html
    http://www3.osk.3web.ne.jp/~dins/