毒物劇物取締法(抜粋)


第1条(目的)

 この法律は、毒物および劇物について、保健衛生上の見地から必要な取り締まりを行うことを目的とする。

第2条

  1. この法律で「毒物」とは、別表第1に掲げる物であって、医薬品および医薬部外品以外の物をいう。
  2. この法律で「劇物」とは、別表第2に掲げる物であって、医薬品および医薬部外品以外の物をいう。
  3. この法律で「特定毒物」とは、毒物であって、別表第3に掲げる物をいう。

第3条 (禁止規定)

  1. 毒物または劇物の製造業の登録を受けた者でなければ、毒物または劇物を販売または授与の目的で製造してはならない。
  2. 毒物または劇物の輸入業の登録を受けた者でなければ、毒物または劇物を販売または授与の目的で輸入してはならない。
  3. 毒物または劇物の販売業の登録を受けた者でなければ、毒物または劇物を販売し、授与し、または販売若しくは授与の目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列してはならない。但し、毒物または劇物の製造業者または輸入業者が、その製造し、または輸入した毒物または劇物を、他の毒物または劇物の製造業者、輸入業者または販売業者(以下「毒物劇物営業者」という。)に販売し、授与し、またはこれらの目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列するときは、この限りではない。

第3条の2

  1. 毒物若しくは劇物の製造業者または学術研究のため特定毒物を製造し、若しくは使用することができる者として都道府県知事の許可を受けた者(以下「特定毒物研究者」という)でなければ、特定毒物を製造してはならない。
  2. 毒物若しくは劇物の輸入業者または特定毒物研究者でなければ、特定毒物を輸入してはならない。
  3. 特定毒物研究者または特定毒物を使用することができる者として品目ごとに政令で指定する者(以下「特定毒物使用者」という)でなければ、特定毒物を使用してはならない。ただし、毒物または劇物の製造業者が毒物または劇物の製造のために特定毒物を使用するときは、この限りではない。
  4. 特定毒物研究者は、特定毒物を学術研究以外の用途に供してはならない。
  5. 特定毒物使用者は、特定毒物を品目ごとに政令で定める用途以外の用途に供してはならない。
  6. 毒物劇物営業者、特定毒物研究者または特定毒物使用者でなければ、特定毒物を譲り渡し、または譲り受けてはならない。
  7. 前項に規定する者は、同項に規定する者以外の者に特定毒物を譲り渡し、または同項に規定する者以外の者から特定毒物を譲り受けてはならない。
  8. 毒物劇物営業者または特定毒物研究者は、特定毒物使用者に対し、その者が使用することができる特定毒物以外の特定毒物を譲り渡してはならない。
  9. 毒物劇物営業者または特定毒物研究者は、保健衛生上の危害を防止するため政令で特定毒物について品質、着色または表示の基準が定められたときは、当該特定毒物については、その基準に適合する者でなければ、これを特定毒物使用者に譲り渡してはならない。
  10. 毒物営業者、特定毒物研究者または特定毒物使用者でなければ、特定毒物を所持してはならない。
  11. 特定毒物使用者は、その使用することができる特定毒物以外の特定毒物を譲り受けまたは所持してはならない。

第3条の3

興奮、幻覚または麻酔の作用を有する毒物または劇物(これらを含有する者を含む)であって政令で定めるものは、みだりに摂取し、若しくは吸入し、またはこれらの目的で所持してはならない。

第3条の4

引火性、発火性または爆発性のある毒物または劇物であって政令で定めるものは、業務その他正当な理由による場合をのぞいては、所持してはならない。

第4条 (営業の登録)

  1. 毒物または劇物の製造業または輸入業の登録は、製造所または営業所ごとに厚生大臣が、販売業の登録は、店舗ごとにその店舗の所在地の都道府県知事が行う。
  2. 毒物または劇物の製造業または輸入の登録を受けようとする者は、製造業者にあっては製造所、輸入業者にあっては営業所ごとに、その製造所または営業所の所在地の都道府県知事を経て、厚生大臣に申請書を出さなければならない。
  3. 毒物または劇物の販売業の登録を受けようとする者は、店舗ごとに、その店舗の所在地の都道府県知事に申請書を出さなければならない。
  4. 製造業または輸入業の登録は、5年ごとに、販売業の登録は、3年ごとに、更新を受けなければ、その効力を失う。

第4条の2(販売業の登録の種類)

毒物または劇物の販売業の登録を分けて、次のとおりとする。
  1. 一般販売業の登録
  2. 農業用品目販売業の登録
  3. 特定品目販売業の登録

第4条の3 (販売品目の制限)

  1. 農業用品目販売業の登録を受けた者は、農業上必要な毒物または劇物であって厚生省令で定めるもの以外の毒物または劇物を販売し、授与し、または販売若しくは授与の目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列してはならない。
  2. 特定品目販売業の登録を受けた者は、厚生省令で定める毒物または劇物以外の毒物または劇物を販売し、授与し、または販売若しくは授与の目的で貯蔵し、運搬し、若しくは陳列してはならない。

第5条 (登録基準)

厚生大臣または都道府県知事は、毒物または劇物の製造業、輸入業または販売業の登録を受けようとする者の設備が、厚生省令で定める基準に適合しないと認めるとき、またはその者が第19条第2項若しくは第4項の規定により登録を取り消され、取り消しの日から起算して2年を経過していないものであるときは、第4条の登録をしてはならない。

第6条 (登録事項)

第4条の登録は、次の各号に掲げる事項について行う者とする。
  1. 申請者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称および主たる事務所の所在地)
  2. 製造業または輸入業の登録にあっては、製造し、または輸入しようとする毒物または劇物の品目
  3. 製造所、営業所または店舗の所在地

第6条の2 (特定毒物研究者の許可)

  1. 特定毒物研究者の許可を受けようとする者は、都道府県知事に申請書を出さなければならない。
  2. 都道府県知事は、毒物に関し相当の知識を持ち、かつ、学術研究上特定毒物を製造し、または使用することを必要とする者でなければ、特定毒物研究者の許可を与えてはならない。
  3. 都道府県知事は、次に掲げる物には、特定毒物の許可を与えないことができる。
    1. 精神病者または麻薬、大麻、あへん若しくは覚醒剤の中毒者
    2. 目が見えない者、耳が聞こえない者、口がきけない者または色盲の者
    3. 毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
  4. 第19条第4項の規定により許可を取り消され、取り消しの日から起算して2年を経過していない者

第7条 (毒物劇物取扱責任者)

  1. 毒物劇物営業者は、毒物または劇物を直接に取り扱う製造所、営業所または店舗ごとに、専任の毒物劇物取扱責任者を置き、毒物または劇物による保健衛生上の危害の防止に当たらせなければならない。ただし、自ら毒物劇物取扱責任者として毒物または劇物による保健衛生上の危害の防止に当たる製造所、営業所または店舗については、この限りではない。
  2. 毒物劇物営業者が毒物または劇物の製造業、輸入業または販売業のうち2以上を併せ営む場合において、その製造所、営業所または店舗が互いに隣接しているとき、または同一店舗において毒物または劇物の販売業を2以上営む場合には、毒物劇物取扱責任者は、前項の規定に関わらず、これらの施設を通じて一人で足りる。
  3. 毒物劇物営業者は、毒物劇物取扱責任者を置いたときは、30日以内に、製造業または輸入業の登録を受けている者にあっては厚生大臣に、販売業の登録を受けている者にあっては都道府県知事に、その毒物劇物取扱責任者の氏名を届け出なければならない。毒物劇物取扱責任者を変更したときも、同様とする。

第8条 (毒物劇物取扱責任者の資格)

  1. 次の各号に掲げる物でなければ、前条の毒物劇物取扱責任者となることができない。
    1. 薬剤師
    2. 厚生省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者
    3. 都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者
  2. 次に掲げる者は、前条の毒物劇物取扱責任者となることができない。
    1. 年齢18年に満たない者
    2. 精神病者または麻薬、大麻、あへん若しくは覚醒剤の中毒者
    3. 目が見えない者、耳が聞こえない者、口がきけない者または色盲の者
    4. 毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者
  3. 第1項第3号の毒物劇物取扱者試験を分けて、一般毒物劇物取扱者試験、農業用品目毒物劇物取扱者試験および特定品目毒物劇物取扱者試験とする。
  4. 農業用品目毒物劇物取扱者試験または特定品目毒物劇物取扱者試験に合格した者は、それぞれ第4条の3第1項の厚生省令で定める毒物若しくは劇物のみを取り扱う輸入業の営業所若しくは農業用品目販売業の店舗または同条第2項の厚生省令で定める毒物若しくは劇物のみを取り扱う輸入業の営業所若しくは特定品目販売業の店舗においてのみ、毒物劇物取扱責任者となることができる。
  5. この法律に定めるもののほか、試験科目その他の毒物劇物取扱者試験に関し必要な事項は、厚生省令で定める。

第9条 (登録の変更)

  1. 毒物または劇物の製造業者または輸入業者は、登録を受けた毒物または劇物以外の毒物または劇物を製造し、または輸入しようとするときは、あらかじめ、第6条第2項に掲げる事項につき登録の変更を受けなければならない。
  2. 第4条第2項および第5条の規定は、登録の変更について準用する。

第10条 (届出)

  1. 毒物劇物営業者は、次の各号の1に該当する場合には、30日以内に、製造業または輸入業の登録を受けている者にあっては厚生大臣に、販売業の登録を受けている者にあっては都道府県知事に、その旨を届け出なければならない。
    1. 氏名または住所(法人にあっては、その名称または主たる事務所の所在地)を変更したとき
    2. 毒物または劇物を製造し、貯蔵し、または運搬する設備の重要な部分を変更したとき
    3. その他厚生省令で定める事項を変更したとき
    4. 当該製造所、営業所または店舗における営業を廃止したとき
  2. 特定毒物研究者は、次の各号の1に該当する場合には、30日以内に、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
    1. 氏名または住所を変更したとき
    2. その他厚生省令で定める事項を変更したとき
    3. 当該研究所を廃止したとき

    (省略)

第11条 (毒物または劇物の取扱)

  1. 毒物劇物営業者および特定毒物研究者は、毒物または劇物が盗難にあい、または紛失することを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
  2. 毒物劇物営業者および特定毒物研究者は、毒物若しくは劇物を含有するものであって政令で定めるものがその製造所、営業所若しくは店舗または研究所の外に飛散し、漏れ、流れ出、若しくはしみ出、またはこれらの施設の地下にしみこむことを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
  3. 毒物劇物営業者および特定毒物研究者は、その製造所、営業所若しくは店舗または研究所の外において毒物若しくは劇物又は前項の政令で定めるものを運搬する場合には、これらの物が飛散し、漏れ、流れ出、またはしみ出ることを防ぐのに必要な措置を講じなければならない。
  4. 毒物劇物営業者および特定毒物研究者は、毒物または厚生省令で定める劇物については、その容器として、飲食物の容器として通常使用されている物を使用してはならない。

第12条 (毒物または劇物の表示)

  1. 毒物劇物営業者および特定毒物研究者は、毒物または劇物の容器および被包に「医薬用外」の文字および毒物については赤地に白色をもって「毒物」の文字、劇物については白地に赤色をもって「劇物」の文字を表示しなければならない。
  2. 毒物劇物営業者は、その容器および被包に、次に掲げる事項を表示しなければ、毒物または劇物を販売し、または授与してはならない。
    1. 毒物または劇物の名称
    2. 毒物または劇物の成分およびその含量
    3. 厚生省令で定める毒物または劇物については、それぞれ厚生省令で定めるその解毒剤の名称
    4. 毒物または劇物の取扱および使用上特に必要と認めて、厚生省令で定める事項
  3. 毒物劇物営業者および特定毒物研究者は、毒物または劇物を貯蔵し、または陳列する場所に「医薬用外」の文字および毒物については「毒物」、劇物については「劇物」の文字を表示しなければならない。

第13条 (特定の用途に使われる毒物または劇物の販売等)

毒物劇物営業者は、政令で定める毒物または劇物については、厚生省令で定める方法により着色した物でなければ、これを農業用として販売し、または授与してはならない。

第13条の2

毒物劇物営業者は、毒物または劇物のうち主として一般消費者の生活の用に供されると認められる物であって、政令で定めるものについては、その成分の含量または容器若しくは被包について政令で定める基準に適合する物でなければ、これを販売し、または授与してはならない。

第14条 (毒物または劇物の譲渡手段)

  1. 毒物劇物営業者は、毒物または劇物を他の毒物劇物営業者に販売し、または授与したときは、その都度、次に掲げる事項を書面に記載しておかなければならない。
    1. 毒物または劇物の名称および数量
    2. 販売または授与の年月日
    3. 譲受人の氏名、職業および住所(法人にあっては、その名称および主たる事務所の所在地)
  2. 毒物劇物営業者は、譲受人から前項各号に掲げる事項を記載し、印を押した書面の提出を受けなければ、毒物または劇物を毒物劇物営業者以外の物に販売し、または授与してはならない。
  3. 毒物劇物営業者は、販売または授与の日から5年間、前2項の書面を保存しなければならない。

第15条 (毒物または劇物の交付の制限等)

  1. 毒物劇物営業者は、毒物または劇物を次に掲げる者に交付してはならない。
    1. 年齢一八年に満たない者
    2. 精神病または麻薬、大麻、あへん若しくは覚醒剤の中毒者
  2. 毒物劇物営業者は、厚生省令の定めるところにより、その交付を受ける者の氏名及び住所を確認した後でなければ、第3条の4に規定する政令で定めるものを交付してはならない。
  3. 毒物劇物営業者は、帳簿を備え、前項の確認をしたときには、厚生省令の定めるところにより、その確認に関する事項を記載しなければならない。
  4. 毒物劇物営業者は、前項の帳簿を、最終の記載をした日から5年間、保存しなければならない。

第15条の2(廃棄)

毒物若しくは劇物又は第11条第2項に規定する政令で定めるものは、廃棄の方法について政令で定める技術上の基準に従わなければ、廃棄してはならない。

第15条の3(回収等の命令)

都道府県知事は、毒物劇物営業者または特定毒物研究者の行う毒物若しくは劇物又は第11条2項に規定する政令で定めるものの廃棄の方法が前条の政令で定める基準に適合せず、これを放置して不特定または多数の者についての保健衛生上の危害が生ずるおそれがあると認められるときは、そのものに対し、当該廃棄物の回収または毒性の除去その他保健衛生上の危害を防止するために必要な措置を講ずるべきことを命ずることができる。

第16条(運搬についての技術上の基準)

  1. 保健衛生上の危害を防止するため必要があるときは、政令で、毒物または劇物の運搬、貯蔵その他の取扱については、技術上の基準を定めることができる。
  2. 保健衛生上の危害を防止するため特に必要があるときは、政令で、次に掲げる事項を定めることができる。
    1. 特定毒物が付着している物または特定毒物を含有するものの取扱に関する技術上の基準
    2. 特定毒物を含有するものの製造または輸入業者が一定の品質または着色の基準に適合する物でなければ、特定毒物を含有するのものを販売し、または授与してはならない旨
  3. 特定毒物を含有するものの製造業者、輸入業者または販売業者が特定毒物を含有するものを販売し、または授与する場合には、一定の表示をしなければならない旨

第16条の2 (事故の際の措置)

  1. 毒物劇物営業者および特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物または第11条2項に規定する政令で定める物が飛散し、漏れ、流れ出、しみ出または地下にしみこんだ場合において、不特定または多数の者について保健衛生上の危害が生ずるおそれがあるときには、直ちに、その旨を保健所、警察署または消防機関に届け出るとともに、保健衛生上の危害を防止するために必要な応急の措置を講じなければならない。
  2. 毒物劇物営業者および特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物または劇物が盗難にあい、または紛失したときは、直ちに、その旨を警察署に届け出なければならない。

第17条 (立入検査等)

  1. 厚生大臣または都道府県知事は、保健衛生上必要があると認めるときは、毒物劇物営業者または特定毒物研究者から必要な報告を徴し、または薬事監視員のうちあらかじめ指定する者に、これらの製造所、営業所、店舗、研究所その他の業務上毒物若しくは劇物を取り扱う場所に立ち入り、帳簿その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、試験のために必要な最小限度の分量に限り、毒物、劇物、第11条第2項に規定する政令で定める物若しくはその疑いのある物を収去させることができる。
  2. 前項の規定により指定された者は、毒物劇物監視員とする。
  3. 毒物劇物監視員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
  4. 第1項の規定は、犯罪捜査のために認められるものと解してはならない。

第18条 (毒物劇物監視員)

前条第1項に規定する当該職員の職務を行わせるために、国および都道府県に毒物劇物監視員をおく。

第19条 (登録の取り消し等)

  1. 厚生大臣は、毒物または劇物の製造業または輸入業の登録を受けている者について、都道府県知事は販売業の登録を受けている者について、これらの者の有する設備が第5条の規定に基づく厚生省令で定める基準に適合しなくなったと認めるときは、相当の期間を定めて、その設備を同条の規定に基づく厚生省令で定める基準に適合させるために必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
  2. 前項の命令を受けた者が、その指定された期間内に必要な措置をとらないときは、厚生大臣または都道府県知事は、その者の登録を取り消さなければならない。
  3. 厚生大臣は、毒物または劇物の製造業または輸入業の毒物劇物取扱責任者について、その者にこの法律に違反する行為があったとき、またはその者が毒物劇物取扱責任者として不適当であると認めるときは、その毒物または劇物の製造業者、輸入業者または販売業者に対して、その変更を命ずることができる。
  4. 厚生大臣は、毒物または劇物の製造業または輸入業の登録を受けている者について、都道府県知事は販売業の登録を受けている者または特定毒物研究者について、これらの者に法律またはこれに基づく処分に違反する行為があったときは、その登録若しくは特定毒物研究者の許可を取り消し、または期間を定めて、業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
  5. 都道府県知事は、毒物または劇物の製造業者または輸入業者について前各項の規定による処分をすることを必要と認めるときは、その旨を厚生大臣に具申しなければならない。

第20条 (聴聞等の方法の特例)

  1. 前条第2項から第4項までの規定による処分に係る行政手続き法(平成5年法律第89号)第15条第1項または第30条の通知は、聴聞の期日または弁明を記載した書面の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)の1週間前までにしなければならない。
  2. 厚生大臣または都道府県知事は、前条2項の規定による登録の取り消し、同条第3項の規定による毒物劇物取扱責任者の変更命令または同条第4項の規定による、許可の取り消し(次項において「登録の取消処分」という)に係る行政手続法第15条第1項の通知をしたときは、聴聞の期日および場所を公示しなければならない。
  3. 登録の取消処分に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。

第21条(登録が失効した場合等の措置)

  1. 毒物劇物営業者、特定毒物研究者または特定毒物使用者は、その営業の登録若しくは特定毒物研究者の許可が効力を失い、または特定毒物使用者でなくなったときは、15日以内に、毒物または劇物の製造業者または輸入業者にあっては厚生大臣に、毒物若しくは劇物の販売業者、特定毒物研究者または特定毒物使用者にあっては都道府県知事に、現に所有する特定毒物の品名および数量を届け出なければならない。
  2. 前項の規定により届け出をしなければならない者については、これらの者がその届け出をしなければならないこととなった日から起算して50日以内に同項の特定毒物を毒物劇物営業者、特定毒物研究者または特定毒物使用者に譲り渡す場合に限り、その譲渡および譲り受けについては、第3条の2第6項および第7項の規定を適用せず、また、その者の前項の特定毒物の所持については、同期間に限り、第3条の2第10項の規定を適用しない。
  3. 毒物劇物営業者または特定毒物研究者であった者が前項の期間内に第1項の特定毒物を譲り渡す場合においては、第3条の2第8項および第9項の規定の適用については、その者は、毒物劇物営業者または特定毒物研究者である者と見なす。
  4. 前3項の規定は、毒物劇物営業者、特定毒物研究者または特定毒物使用者が死亡しまたは法人たるこれらの者が合併によって消滅した場合に、その相続人若しくは相続人に代わって相続財産を管理する物または合併後存続し、若しくは合併により設立された法人の代表者について準用する。

第22条 (業務上取扱者の届け出等)

  1. 政令で定める事業を行う者であって、その業務上シアン化ナトリウムまたは政令で定めるその他の毒物若しくは劇物を取り扱う者は、事業場ごとに、その業務上これらの毒物または劇物を取り扱うことになった日から30日以内に、厚生省令の定めるところにより、次の各号に掲げる次項を、その事業場の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。
    1. 氏名及び住所(法人にあっては、その名称および主たる事業所の所在地)
    2. シアン化ナトリウムまたは政令で定めるその他の毒物若しくは劇物のうち取り扱う毒物または劇物の品目
    3. 事業場の所在地
    4. その他厚生省令で定める事項
  2. 前項の規定に基づく政令が制定された場合においてその政令の施行により同項に規定する者に該当することとなった者は、その政令の施行の日から30日以内に、同項の例により同項各号に掲げる事項を届け出なければならない。
  3. 前2項の規定により届け出をした者は、当該事業場におけるその事業を廃止したとき、当該事業場において第1項の毒物もしくは劇物を業務上取り扱わないこととなったとき、また同項各号に掲げる事項を変更したときは、その旨を当該事業場の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。
  4. 第7条、第8条、第11条、第12条第1項および第3項、第15条の3、第16条の2、第17条並びに第19条第3項の規定は、第1項に規定する者(第2項に規定する者を含む。以下この条において同じ)について準用する。
  5. 第11条、第12条第1項および第3項、第16条の2並びに第17条の規定は、毒物劇物営業者、特定毒物研究者および第1項に規定する者以外の者であって厚生省令で定める毒物または劇物を業務上取り扱う者について準用する。
  6. 厚生大臣または都道府県知事は、第1項に規定する者が第4項で準用する第7条若しくは第11条の規定若しくは同項で準用する第19条第3項の処分に違反していると認めるときは、その者に対し、相当の期間を定めて、必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
  7. 第20条の規定は、厚生大臣または都道府県知事が第4条で準用する第19条第3項の処分または前項の処分をしようとする場合に準用する。

第23条 (手数料)

  1. 次の各号に掲げる物は、それぞれ当該各号の申請に対する審査または毒物劇物取扱試験の実施に要する実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
    1. 毒物または劇物の製造業または輸入業の登録を申請する者
    2. 毒物または劇物の販売業の申請をする者
    3. 第1号の登録の更新を申請する者
    4. 第2号の登録の更新を申請する者
    5. 毒物劇物取扱者試験を受けようとする者
    6. 第1号の登録の変更を申請する者
  2. 厚生大臣の行う毒物または劇物の製造業または輸入業の登録、登録の更新または登録の変更を申請する者が納める手数料のうちの半額は、国庫の収入とし、その残額およびその他の者が納める手数料は、都道府県の収入とする。

第23条の2 (権限の委任)

この法律に規定する厚生大臣の権限は、政令の定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができる。

第23条の3(政令への委任)

この法律に規定する者の他、毒物または劇物の製造業、輸入業または販売業の登録および登録の更新に関し必要な事項並びに特定毒物研究者の許可および届出並びに特定毒物研究者についての第19条第4項の処分に関し必要な事項は、政令で定める。

第23条の4 (経過措置)

この規定に基づき政令または厚生省令を制定し、または改廃する場合においては、それぞれ、政令または厚生省令で、その制定または改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。

第24条

次の各号の1に該当する者は、3年以下の懲役若しくは5万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。
  1. 第3条、第3条の2、第4条の3または第9条の規定に違反した者
  2. 第12条(第22条第4項および第5項で準用する場合を含む)の表示をせず、または虚偽の表示をした者
  3. 第13条、第13条の2または第15条第1項の規定に違反した者
  4. 第14条第1項または第2項の規定に違反した者
  5. 第15条の2の規定に違反した者
  6. 第19条第4項の規定による業務の停止命令に違反した者

第24条の2

次の各号の1に該当する者は、2年以下の懲役若しくは5万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。
  1. みだりに摂取し、若しくは吸入し、またはこれらの目的で所持することの情を知って第3条の3に規定する政令で定める物を販売し、または授与した者
  2. 業務その他正当な理由によることなく所持することの情を知って第3条の4に規定する政令で定める物を販売し、または授与した者
  3. 第22条第6項の規定による命令に違反した者

第24条の3

第3条の3の規定に違反した者は、1年以下の懲役若しくは3万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。

第24条の4

第3条の4の規定に違反した者は、6ヶ月以下の懲役若しくは3万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。

第25条

次の各号の1に該当する者は、1万円以下の罰金に処する。
  1. 第10条第1項第4号または第2項第3号に規定する事項につき、その届出を怠りまたは虚偽の届出をした者
  2. 第14条第3項の規定に違反した者
     2.2第15条の規定に違反した者
  3. 第16条の2(第22条第4項および第5項で準用する場合も含む)の規定に違反した者
  4. 第17条第1項(第22条第4項および第5項で準用する場合を含む)の規定による厚生大臣または都道府県知事の要求があった場合に、報告をせず、または虚偽の報告をした者
  5. 第17条第1項(第22条第4項および第5項で準用する場合を含む)の規定による立ち入り、検査、質問または収去を拒み、妨げ、または忌避した者
  6. 第21条第1項(同条第4項で準用する場合を含む)の規定に違反した者
  7. 第22条第1項から第3項までに規定する届出を怠り、または虚偽の届出をした者
  8. 第26条 法人の代表者または法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人または人の業務に関して、第24条、第24条の2、第24条の4、または前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人または人に対しても、各本条の罰金を科する。但し、法人または人の代理人、使用人その他の従業員の当該違反行為を防止するため、その業務について相当の注意および監督が尽くされたことの証明があったときは、その法人または人については、この限りではない。

第27条

第16条の規定に基づく政令には、その政令に違反した者を2年以下の懲役若しくは5万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する旨の規定および法人の代表者または法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人または人の業務に関してその政令の違反行為をしたときはその行為者を罰するほか、その法人または人に対して各本条の罰金を科する旨の規定を受けることができる。