2. 薬物問題への対策 


Q. 薬物問題への対策として、警察はどのようなことをしているのですか。 
A.
   最近の厳しい薬物情勢にかんがみ、我が国では、内閣総理大臣を長とする「薬物乱用対策推進本部」を中心に、関係省庁の協力の下、政府を上げて薬物対策に取り組んでいます。 警察では、その中枢を担う機関として、「供給の遮断」と「需要の根絶」の両面から、総合的な対策を行っています。
供給の遮断 
我が国で乱用されている薬物のほとんどが海外から密輸入されたものであることから、薬物の供給の遮断のためには、薬物の流入を水際で阻止し、また、密輸・密売を行っている薬物犯罪組織を壊滅することが必要です。
そこで、海上保安庁、入国管理局、税関等の関係機関や海外の取り締まり当局等との連携を強化し、密輸情報の入手や薬物の供給ルートの解明に努めているほか、組織の解明のため、コントロール・デリバリー等の効果的な捜査手法を積極的に活用した取り締まりを行っています。
不法収益対策
薬物犯罪組織は、薬物の密輸・密売がもたらす莫大な不法収益を目的に不正取引を行い、また、これにより組織を維持、拡大しています。 そこで、これらの組織の壊滅のためには、不法収益を剥奪することによって、資金面からの打撃を与えるとともに、薬物犯罪の動機を失わせることが必要です。平成4年に施行された麻薬特例法は、薬物の密輸・密売を「業として」行った者を重く処罰するだけでなく、業とした期間に得た不法収益を没収・追徴する事としています。また、不法収益の隠匿・仮装(「マネー・ローンダリング」)及び収受の犯罪化等、薬物犯罪組織を効果的に取り締まるものとなっています。 そこで、この麻薬特例法を積極的に活用して、不法収益の剥奪等の不法収益対策を推進しています。
麻薬特例法の活用状況 H.4 H.5 H.6 H.7 H.8 H.9
8条違反(業として行う不法輸入等)  1  3  2  4  23  24
9条違反(不法収益等隠匿)    1    2  2  
10条違反(不法収益等収受)      1      1
需要の根絶
薬物の需要の根絶のためには、一人一人が「薬物乱用は許されない」という強い意識を持ち、薬物乱用を拒絶する規範意識が社会全体に保たれていることが必要です。そこで、末端乱用者の検挙を徹底するとともに、関係機関・団体との協力による広報啓発活動を活発に展開して、薬物の危険性、有害性についての正しい知識の醸成、維持に努め、薬物乱用を拒絶する社会環境づくりを推進しています。
少年の薬物乱用防止対策
特に、急増する少年の薬物乱用に対しては、少年に薬物を供給しているイラン人密売人等に対する取り締まりを徹底するとともに、薬物乱用少年の早期発見・補導の強化、警察職員を派遣しての薬物乱用防止教室の開催など学校等との連携の強化、家庭・地域に対する各種広報啓発活動の強化をすいしんしています。