★ ギョウ虫症について



  • 蟯虫は、古くから日本にいる寄生虫の一つで、ヒトからヒトへと感染し、衛生環境が良くなったのにもかかわらず、幼稚園児、小学校低学年児童及びその母親を中心に5〜15% の割合で現在もヒトに寄生しています。これは、感染の場が主として保育園、幼稚園、小学校といった集団生活の中にあり、感染した子供が家庭で両親などに感染させるためです。

<成虫と虫卵>
  • 蟯虫の成虫は、オス2〜5mm (左写真下)、メス8〜13mm(左写真上)の細長い白い虫で、盲腸やその周辺の粘膜に頭部を付着させて寄生しています。メスは、子宮内の虫卵が成熟すると、夜中にヒトが寝ている間に肛門から這い出して肛門周囲の皮膚に一度に約1万個もの卵を産卵し、そのままそこで死にます。(腸管内では産卵しない)産卵された虫卵は、肛門周囲の適当な湿度と温度により3〜7時間で感染性を持った幼虫包蔵卵となって、手指、下着などに付着して簡単に口から感染するとともに、下着やシーツに付着してまき散らされチリとともにヒトの鼻や口に入って感染を引き起こすこともあります。飲み込まれた虫卵は十二指腸で幼虫になり、腸管を下りながら成熟し盲腸周辺で成虫になります。
  • 蟯虫は虫卵を飲み込んでから約3週間で成虫になり、50日で卵を産み始めます。
  • ぎょう虫卵(右写真)は150倍ぐらいでこれくらい見えます。なお、検査では100倍前後が見やすい倍率です。

<症 状>
  • 肛門周囲の激しいかゆみ(メスの産卵時に引き起こされる)
  • 睡眠不足、神経質、夜泣き、など
  • 湿疹(肛門周囲のかきすぎ)
  • 虫垂炎

<検査方法>
  • ウスイ法(セロファンテープ)によって、肛門周囲に産み付けられた虫卵をテープののりの面に付着させスライドグラスに貼り付けて顕微鏡で検査する。
※ 卵の取り方
 蟯虫は夜中に肛門から這い出し、その周囲に卵を産み付けるため、朝起きたとき(用便前)
に卵を取ること。又、毎日産卵するとは限らないので、日を変えて2〜3回検査することが必
要です。

<治 療>


  • 駆虫にはパモ酸ピランテル (市販薬 : コンバントリン錠、 〃 ドライシロップ) がききます。1回の服用で90% 以上が虫卵陰性となり副作用も少ない薬剤です。ピランテルとして「10mg/kg体重」経口投与しますが、検査で家族の誰かがぎょう虫卵陽性と分かったら、家族全員で駆虫する必要があります。

<予防方法>

  1. 食事前の手洗い、爪を清潔に保つこと。(O−157が騒がれた年は、感染者がずいぶん減った様子でした。)
  2. 室内の掃除
  3. 寝具などの天日干し
  4. 衣類、特に下着はいつも清潔に

<参考資料>    「虫がおこす病気」  藤田紘一郎  東京医科歯科大学教授