熱風消毒保管庫の検査について

 熱風消毒保管庫は、学校給食において使用された食器を、洗剤等で洗い、消毒した食器を清潔に保持するために用いられるものです。庫内の温度が本当にセットした温度まで上がっているのか疑問があるとの問い合わせがあり、私自身残念ながらこうした調査を実施したことがなかったため今回、サーモラベルを使った簡便法による調査を試みることにしました。本来であれば併用してサーミスターを使用したかったのですが、手元にないこともあり、スクリーニングテストとしてサーモラベルを用いて調査し、結果、問題があればメーカー等で確定検査をしてもらおうということで行うことにしました。

<今回調査した熱風消毒保管庫>

<サーモラベルとは> 
 
サーモラベルは一定の温度になると変色する塗料のスポット数個から出来ており、ある温度に達すると変色し、その後温度が下がっても退色・変色しない性質を持っています。こうした性質を利用して熱風消毒保管庫の温度が適正に上昇しているのかを判定するものです。 なお、変色しないサーモラベルは変色するまでは何回も使用することが出来ます。

左写真は今回使用したサーモラベル(5S−70)で70℃〜90℃まで5℃ごとに5段階測定できます。(10枚使用)
これと同時にサーモラベル(5E 100) 100℃〜120℃を1枚使用しました。




< 検 査 方 法 >
  1.
 
今回調査した熱風消毒保管庫の棚が5段のためサーモラベル(5S−70)を10枚、最高何度まで温度上昇しているかを見るためにサーモラベル(5E−100)を1枚用意した。
2. 5p×15pのアルミホイルを11枚用意し、アルミホイルの中央にサーモラベルを貼り、ラベルをアルミホイルで包み込む。
  3. 洗浄した食器をかごに詰めアルミホイルで包んだラベルをかごの中央の食器にはさみこむ。
 
4. かごに入れた食器を空気が対流できるように保管庫にならべる。(保管庫の写真を参照)
5. サーモスタットの設定温度・設定時間を確認してから電源を入れる。
6. 翌日取り出して、検査表にラベルを貼付し、結果の判定をおこなう。

< 結 果 >


<変色したサーモラベル>

< 判 定 及び 考 察 >
サーモスタットの設定温度等の条件によって結果の判定は難しいと思われるが、

 1.1回目で全段75℃が変色していた。
 2.5段中2段が90℃が変色していた。また、10カ所中6カ所で90℃が変色していた。
 3.最上段で温度が115℃まで上がっていたこと

以上の結果より今回の調査結果から、判定については 「適」 とした。
ただ、一部温度が75℃以上に上がらない場所が見られたのでかごの置き方に注意するように指導した。
また、設定温度が少し高く食器等に変化がおきていないか確認したが今のところそうしたことは起こっていないとのことであった。


 サーモラベルでの調査は到達温度の確認は出来るが、何分でその温度に達したか、また、何分その温度が保持できたのかまでは不明なためあくまでスクリーニングテストとして使用するのが本来の使用法であり、正確な判定にはサーミスタによる温度調査を平行して行う必要があります。