愛知県プール条例運営要綱

第1 目 的
 この要綱は、愛知県プール条例(昭和36年愛知県条例第1号。以下「条例」という。)及び同条
例施行規則(昭和36年愛知県規則第11号。以下「規則」という。)の適正な運営を図るため定め
るものである。
第2 適用対象
 条例の適用は、多数人に遊泳させる営業用のプール、学校、保育所用のプール及び法人、団体等の
厚生施設用のプールを対象とし、社会性のない家庭用のプール、単独に設置され、かつ、遊泳に供し
ないもっぱら潜水用及び医療用等のプール並びに水遊び場(水深の平均がおおむね70
cm以下で最深
部にあってもおおむね80
cm以下の水槽で、かつ、遊泳を目的とせず、もっぱら遊戯用に保育所等に
おいて単独に設置される水槽)等は対象としない。

 なお、プールと同一施設内に、幼児等を対象としたもっぱら遊戯用の水槽等を設置する場合にあっ
ては、全体をプールとして取り扱うこと。
第3 設置等の届出
プールの設置等については、条例及び規則に定めるもののほか、次のとおりとする。

 
 
条例第3条第・1項の規定による届出及び同条第2項の規定のうち、同条第1項第5号に掲げる
事項の変更に係る届出は、原則として当該届出に係る工事の着工前に届け出るものであること。
また、当該届出後、届出内容を変更しようとするときも同様に届け出るものであること。

 
規則第1条第2項第5号に定める水質検査成績書は、規則別表第2第2号
(1) イからホまでの項目について水質検査したものであること。
第4 プールの構造設備
プールの構造設備及び付帯設備については、条例及び規則に定めるもののほか、次のとおりとする。
プールの構造設備
(1)水深の明示か所は、プール本体の大きさ、水深等を考慮し、適当な数を設けること。
(2)プールサイド及び通路の広さは、プール本体の大きさ、遊泳者数、休憩所の大きさ等を考
   慮すること。また、プールサイド及び通路は、溜り水のできないよう勾配をつけ排水しや
   すいようにすること。
(3)同一プールで水深の異なる場合は、遊泳者の事故防止のためプール内を柵等で区画する等
   の措置を講ずること。
(4)水深の異なる複数のプールが設置される場合は、遊泳者の事故防止のためプールサイドの
   一部を柵等で区分することが望ましいこと。
(5)給水管の吐水口空間等は、給水装置の構造及び材質の基準に関する省令(平成9年厚生省
   令第14号)に基づき設けること。
(6) 新規補給水量を常に把握できる専用の量水器等とは、プール本体への給水量を把握できるもので、
   プールの施設内又はプールに隣接する場所の見やすい位置に設けること。
(7)二酸化塩素をプールの水の消毒に用いる場合は、プールの施設内に装置を設け、発
   生した二酸化塩素を連続注入する方式であること。
(8)規則別表第1第1号(6)及び(7)並びに第2号(6)ロ及び(7)ロに規定する「公
   衆衛生上支障がないものとして知事が定める場合」とは、海水又は温泉水を原水として使
   用する設備であって常時清浄な用水が流入し、清浄度を保つことができる場合をいう。
(9)時間当たりの循環水量を常に把握できる専用の量水器等とは、浄化設備毎のろ過流量及び
   ろ過水量を把握できるものであること。
(10)浄化設備の循環水の吐水口及び取入口は、プールの水が効率的に浄化できるよう適切に配
   置すること。
(11)オゾン処理設備又は紫外線処理設備は、浄化設備及び消毒設備に併せて設けること。また
   、オゾン処理設備は、オゾン注入点が浄化設備又は活性炭吸着装置の前にある方式が望ま
   しいこと
    。
(12)オーバーフロー水をプールの水として再利用する場合においては、規則別表第1第1号
   (7)二の設備をオーバーフロー水専用の循環系統として設けることが望ましいこと。た
   だし、規則別表第1第1号(7)の設備の能力がプール本体及び循環系統(オーバーフロ
   ー水の循環系統を含む。)内の水の全容量を一日の運転期間当たり4回以上循環させる能
   力を有する場合は、規則別表第1第1号(6)及び(7)の設備を規則別表第1第1号
   (8)ニの設備とみなして差し支えないこと。また、オーバーフロー水のみをプールの水
   として循環させる方式の場合は、規則別表第1第1号(6)及び(7)の設備を規則別表
   第1第1号(8)ニの設備とみなすこと
    。
プールの附帯設備
(1)シャワーは、温水等の適温の洗浄水を供給できる設備を有し、かつ、更衣室及び便所から
   プール本体に至る途中に設け、強制使用させる通過式であること。
   なお、温水等の適温とは、遊泳時の気温等を考慮し、利用者が快適性を感じる水温とする
   こと
    。
(2)利用者が使用しやすいように、洗面所及び水飲場はプールサイドに、また、シャワー及び
   洗眼所は、プールサイド又は更衣室に設け、利用者数に見合った数の洗面器、水飲器、洗
   眼器等を設けること。
(3)シャワー等に用いた水は、再利用する構造(腰洗い槽の水を循環ろ過して再利用する場合
   を除く。)とはしないこと。ただし、雑用水として利用する場合は、この限りでないこと。
(4)更衣室には、衣類等を安全に保管するため、利用者数に見合った数のロッカー等を設ける
   こと。また、当該設備は、施錠できる構造が望ましいこと。
(5)更衣室及び便所は、利用者の使用しやすい位置に設けることが望ましいこと。
(6)採暖室又は採暖槽は、利用者が使用しやすい位置に設けること。
(7)採暖槽及び気泡槽は、周囲から汚水が流入しない構造であること。
(8)採暖室の内部に軋採暖槽のみを設けるものを除き、見やすい場所に温度計を備えることが
   望ましいこと。
(9)屋内プールの換気設備は、炭酸ガスの含有率を01%以下に維持できる能力を有すること
   が望ましいこと。
その他の設備
(1)屋外プールの休憩所には、直射日光を避けることができる場所を設けること。
(2)プールサイド以外で利用者が休憩等に使用する施設を設ける場合・は、プールサイド及び
   通路とは柵等で区画し、プールサイドへの入口にはシャワー等の洗浄設備を設けること
第5 プールの維持管理
プールの維持管理については、条例及び規則に定めるものほか、次のとおりとする。
管理責任者及び衛生管理者
(1)管理責任者及び衛生管理者を設置又は変更したときは、速やかに所轄保健所長に別紙様式
   1
の管理責任者・衛生管理者設置(変更)届を提出すること。また、管理責任者と衛生管
   理者は、同一の者が兼ねても差し支えないこと。
(2)衛生管理者は、プールの衛生及び施設の運用について全般的な知識を有する者とし、保健
   所等が開催する講習会の受講等により、その知識及び技能の向上に努めること。
プールの水
(1)水道水以外の水を原水として使用するプールにおいては、プール原水の水質検査を、原水
   の性状に応じて水道法(昭和32年法律第177号)第4条第2項の規定に基づく水質基
   準に関する省令(平成4年厚生省令第69号。以下「水道法水質基準」という。)の上欄
   に掲げる項目のうち別表に掲げる健康に関連する項目について実施することが望ましいこ
   と。
(2)水道水以外の水を原水として使用するプールにおいてはプール原水の水質検査を、
   規則別表第2第2号(1)イからホまでに掲げる項目について、期間を定めて使
   用するプール(以下「季節使用プール」という。)にあっては毎年開場前に、年間
   を通じて使用するプール(以下「通年使用プール」という。)にあっては6ヶ月に
   1回以上実施することが望ましいこと。
(3)プールの水の総トリハロメタンは、0.2mgL以下であることが望ましいこと
(4)同一施設内に複数のプールが設置されている場合にあっては、プール毎にプールの水の水
   質検査を行うこと。ただし、浄化設備の循環系統が同一の場合は、この限りでないこと。
(5)プールの水の遊離残留塩素濃度(二酸化塩素による消毒を行う場合は、残留二酸化塩素濃
   度及び残留亜塩素酸濃度)の検査は、プールの対角線上におけるはば等間隔の位置3か所
   を原則とするが、プールの形状に応じて適切な地点を加え、プールの水面下20
cmの各部
   において行うこと。また、その他の検査は、おおむねプールの中央の水面下20
cmにおい
   て行うこと。なお、プールの水の遊離残留塩素濃度(二酸化塩素による消毒を行う場合は
   、残留二酸化塩素濃度及び残留亜塩素酸濃度)の測定について、1日3回の測定のうち1
   回は遊泳者数の最も多い時に実施することが望ましいこと。
(6)pH調整剤、凝集剤等を使用している場合は、これらの薬品の使用量について十分配慮す
   ること。また、pH調整剤又はプールの水の消毒薬として塩素化イソシアヌル酸を使用し
   ているプールは、毎日1回以上、プールの水の水素イオン濃度の検査を行うことが望まし
   いこと。
(7)プールの水の水質検査は、水道法水質基準に定める検査方法又は上水試験方法(日本水道
   協会編)によること。ただし、大腸菌群の検査は、水道法水質基準に定める検査方法によ
   ることとし、遊離残留塩素濃度(二酸化塩素による消毒を行う場合は、残留二酸化塩素濃
   度及び残留亜塩素酸濃度)の検査は、ジエチルー
P−フェニレンジアミン法又はこれと同
   等以上の精度を有する検査方法によること。
(8)総トリハロメタンの検査は夏期の季節使用プール及び通年使用プールにあっては6月から
   9月までの時期、それ以外の時期に使用するプールにあっては水温が高めの時期に実施す
   ること。
(9)遊泳者が多数である等汚染負荷量が大きい場合には、プールの水の水質倹査の回数を必要
   に応じて増加させること。
(10)プールの水の水質検査の結果、規則別表第2第2号(1)に定める水質基準に不適合
   の場合は、補給水量の増加、プールの水の入換え、浄化設備の改善、消毒薬の注入量
   の調整等の措置を速やかに講ずるとともに、再検査を実施すること。
(11)プールの水の温度は、22℃以上とすることが望ましいこと。
(12)規則別表第2第2号(1)に規定する「公衆衛生上支障がないものとして知事が定めると
   き」とは、海水又は温泉水を原水として使用するプールであって、常時清浄な用水が流入
   し、清浄度を保つことができるときをいう。
(13)前(12)に該当しプールの水の水質基準(大腸菌群を除く。)を適用しな.い場合であっ
   ても、水質基準程度の水質に維持すること。ただし、使用する原水の性状により水質基準
   に適合させることが困難な項目については、原水程度の水質に維持することが望ましいこ
   と。
(14)規則別表第2第3号(2)に規定する「公衆衛生上支障がないものとして知事が定める場
   合」とは、海水又は温泉水を原水として使用するプールであって、常時清浄な用水が流入
   し、清浄度を保つことができる場合をいう。
(15)前(14)に該当しプールの水の水質基準(大腸菌群を除く。)を適用しない場合であって
   も、水質検査を実施することが望ましいこと。
プールの構造設備及び付帯設備
() 通年使用プールにおいては、年2回以上プールの水を抜き、かつ、清掃、点検及び整備を
   行うことが望ましいこと。
() 消毒設備は、プール使用前に運転し、遊泳開始前にはプール全体の遊離残留塩素濃度が
   0.4
mgL以上(二酸化塩素による消毒を行う場合は、残留二酸化塩素濃度が0.1
   
mgL以上0.4mgL以下)になっていることを確認すること。なお、遊離残留塩素濃
   度は、1.0
mgL以下が望ましいこと。また、プールに用いる薬品は、成分規格を確認
   し、医薬品、食品添加物、日本工業規格に定める水道用のもの等を使用すること。
(3)浄化設備は、プールの開場期間中は一日中運転することを原則とするが、周辺地域への騒
   音問題等で夜間やむを得ず停止せざるを得ない場合は、この限りでないこと。なお、この
   場合は、規則別表第2第4号(3)ロに基づき浄化設備を運転すること。ただし、規則
   (平成4年規則第73号)附則の経過措置の適用を受けるプール(規則別表第1第1号
   (7)ロの能力を有するプールを除く。)にあっては、浄化設備は、プールの開場期間中
   は一日中運転すること。
(4)浄化設備の処理水量は遊泳者数、用途に応じて決定し、浄化後の循環水の濁度が0.1度
   以下が望ましいこと。

   また、利用者のピーク時においても浄化の目的が達せられるように浄化後の循環水の濁度
   を検査する等、浄化を 確認すること。
(5)オゾン処理又は紫外線処理は、常に適正に運転を行うこと。また、オゾン処理を行う場合
   にあっては、プールの水にオゾンが残留しないようにすること。
(6)足洗い.場を用いる場合は、水を随時入れ換えて清浄に保ち、塩素系消毒薬(薬事法(昭
   和35年法律第145号)第2条に規定する医薬品に限る。)を用いてプールの水と同等
   の遊離残留塩素濃度に保つこと。また、腰洗い槽を用いる場合は、水を随時入れ換えて清
   浄に保ち、塩素系消毒薬(薬事法(昭和35年法律第145号)第2粂に規定する医薬品
   に限る。)を用いて遊離残留塩素濃度を50
mgL以上100mgL以下に保つこと。なお、
   高濃度の塩素に対して過敏症などの傾向のある利用者には使用させず、シャワーを使用さ
   せること。
(7)飲用に適する水とは、水道法水質基準に適合し、かつ、遊離残留塩素濃度が0.1mgL
   (結合残留塩素濃度の場合は0.4
mgL)以上に保持されている水であること。
() 更衣室、便所その他利用者が使用する設備は、必要に応じて消毒及び昆虫の駆除を行う
   こと。
(9)プールに用いる薬品は、適切に管理し、その効力についても十分注意すること。
(10)採暖槽及び気泡槽は、水量は常に満ちているようにし、浄化、消毒に負荷を与える浴用剤
   等を用いないこと。また、毎月1回以上清掃及び換水を行う場合にあっては、規則別表第
   2第4号(8)に定める水質検査は実施しなくても差し支えないこと。ただし、規則(採
   暖槽にあっては平成
4年規則第73号、気泡槽にあっては平成14年規則第59号)附則
   の経過措置の適用を受けるプール(浄化設備を有するプールを除く。)にあっては、規則
   別表第2第4号(8)に定める水質検査を実施すること。なお、清掃及び換水は、随時行
   うこと。
(11)循環式の採暖槽及び気泡槽については、水槽内の水からレジオネラ属菌が検出されないよ
   う、循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル(平成13年9月11日健衛発
   第95号)に従い、維持管理を行うこと。 
(12)採暖室の室内轟度は、おおむね35℃から40℃とすることが望ましいこと。
(13)空気中の二酸化炭素の含有率の測定方法は、プールサイドの適切な場所の床上75cm以上
   120
cm以下の位置において検知管方式による炭酸ガス検定器又はこれと同等以上の性能
   を有する測定器を用いて行うこと。なお、基準に適合しているか否かの判定は、測定日に
   おける使用開始から中間時、中間時から使用終了時の適切な2時点において測定し、その
   平均値と基準値とを比較して行うこと。
(14)利用者以外の者(監視員等は除く。)はプールサイド及び通路へは立ち入らせないこと。
   また、単独で遊泳が困難な遊泳者には、介添者の付添いを求めること。
(15)休憩所内で飲食を行う場合は、ガラス等破損すれば他の利用者に危害を生じさせるおそれ
   のある材質の容器等を使用させないこと。また、プールで飲食物を販売する場合にあって
   は、休憩所の側壁に販売窓口等を設けるなどの構造とし、調理場から休憩所までプールサ
   イドを通らず飲食物の配膳を行うことが望ましいこと。
(16)利用者の注意事項、利用時間、見取図等を掲示する設備は、プールの出入口、プールサイ
   ド、更衣室等の利用者の見やすい場所に適当な数を設置すること。また、プールサイドに
   は、プールの水温のほか、屋内プールにあっては室温を表示すること。
(17)水着その他直接肌に接する物で、利用者に貸与するものの消毒は、クリーニング所におけ
   る衛生管理要領(昭和57年3月31日環指第48号)第4消毒に規定される方法による
   こと。
(18)遊戯設備等は、常に清潔に保ち、随時点検を行うこと。
(19)利用時間前及び利用時間終了後は、プールの構造設備及び付帯設備等を点検し、異常の有
   無を確認すること。また、利用時間終了後は、人畜がみだりに立ち
入らないよう措置する
   こと。
(20)規則別表第2第4号(2)及び(3)に規定する「公衆衛生上支障がないものとして知事
   が定める場合」とは、海水又は温泉水を原水として使用する設備であって常時清浄な用水
   が流入し、清浄度を保つことができる場合をいう。
(21)規則別表第2第4号(8)に規定する「公衆衛生上支障がないものとして知事が定める場
   合」とは、海水又は温
泉水を原水として使用する設備であって、常時清浄な用水が流入し
   、清浄度を保つことができる場合をいう。
(22)前(21)に該当し採暖槽及び気泡槽の水の水質基準(大腸菌群を除く。)を適用しない場
   合であっても、水質
基準程度の水質に維持すること。ただし、使用する原水の性状により
   水質基準に適合させることが困難な項目に
ついては、原水程度の水質に維持することが望
   ましいこと。
(23)前(21)に該当し採暖槽及び気泡槽の水の水質基準(大腸菌群を除く。)を適用しない場
   合であっても、水質
検査を実施することが望ましいこと。
第6 その他

 
プールに起因する健康被害、事故等が発生したときは、直ちに所轄の保健所長に別紙様式2によ
り報告すること。また、その状況によっては、プールを閉鎖する等適切に措置すること。

 
事故等の発生に備えて、緊急時の連絡先、対応方法等を定めた維持管理マニュアルを作成するこ
と。また、応急救護等の訓練を受けた監視員を配置すること。
規則別表第2第6号(5)に規定する管理日誌は、別紙様式3を参考に記載すること。

 
 
規則(平成4年規則第73号及び平成14年規則第59号)附則の改築又は大規模の修繕とは、
規則別表第1に掲げる事項のうち、プールの本体又はプールの本体に直接付帯する建造物の改築
、増築、増設及び過半の修繕並びにろ過機本体又は循環系統の更新等以上の工事をいう。
この要綱は、平成1461日から施行する。
別 表

硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、カドミウム、水銀、セレン、鉛、ヒ素、

六価クロム、シアン、フッ素、四塩化炭素、12−ジクロロエタン、

11−ジクロロエチレン、ジクロロメタン、

シス−12−ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン、

112−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ベンゼン、

13−ジクロロブロペン、シマジン、チウラム、チオペンカルブ