< 飲料水・プール水等の水質検査法の改正について >
(オルトトリジン法の削除)


 水質検査の中で、遊離残留塩素濃度の測定法としては従来、オルトトリジン法が一般的に採用され、利用されてきました。測定で使用するオルトトリジンは0.125%で1%以下のため法律上の規制はありませんでした。 が、1%以上のオルトトリジンは労働安全衛生法上、特定化学物質の第1類に分類されその製造・使用が厳しく規制されていました。このため以前より検査後の廃液の環境中への放出が問題視されるとともに、米国では発ガン性の問題等から1980年のStandard Methodより削除されていること、学校等で毎日測定が義務づけられていることや給食室などでも使用されることから日本でも改善が求められていました。
 今回、平成12年12月26日付け厚生省生活衛生局 水道環境部長名で出された「水道水質に関する基準の制定についての一部改正について」において、残留塩素の検査方法については、毒性に関する知見等を踏まえオルトトリジン法を削除する(経過処置を設けるため実際は平成14年4月1日より)との通達が出されました。これは水道法に関するものとなっていますが、学校保健法で指定されている上水試験方法でも削除されることになっています。
 愛知県においても平成13年1月11日付けで、経過処置により平成14年3月31日まではオルトトリジン法も認められますが、現在、オルトトリジン法で飲料水等の遊離残留塩素検査を行っている学校及び学校給食共同調理場においては、DPD法等に切り替えるよう教育長名で通知がされました。
 これにより、全国の水道関係事業者・学校関係等でOT法からDPD法等への切り替えが起こると思われますので猶予期間にとらわれず早急に対応されるのが良いと思われます。
 なお以下に、オルトトリジン法とその代替え法について簡単に説明します。


1.オルトトリジンについて
2.遊離残留塩素の測定法について
3.今回の通知の内容について
        その1
        その2
< 注意 !>
 オルトトリジン法からDPD法等へ切り替えを行った場合、手持ちの
不要になったオルトトリジンは勝手に廃棄処理しないでください!
必ず専門の回収業者に委託処理してもらってください。オルトトリジ
ンは発ガン性を示すと考えられる物質です。

 小牧市薬剤師会ではオルトトリジンの毒性と環境への排出を憂慮し
平成11年度に全会員の合意を得て、遅まきながら平成12年4月より
DPD法に切り替えを行うとともに、関係機関等にも情報提供してきまし
た。


<改正に至る経緯等>
 水道水中の残留塩素の分析法については、「水質検査に当たっての留意事項について」(平成4年11月 厚生省水道環境部水道整備課長通知) により、
1.比色法(ジエチルーpーフェニレンジアミン法)(以下「DPD法」という。)
2.比色法(オルトトリジン法)(以下「OT法」という。)
3.電流法
 の3方法が定められていました。(注1 参照)
このうち、OT法に用いる試薬のオルトトリジンについては、発ガン性が疑われ、労働安全衛生法等により規制されているところです。(注2 参照)
水道事業者等においては、安価で、操作も容易であることから3法の中でOT法が最も広く用いられています。
 従来、 「OTの毒性については承知しているが水道水質検査には規制対象とならない希薄な溶液を使っており、水質検査後は塩素と反応して分解するため、問題になることはない」 として、OT法が採用されていました。
しかしながら、有害な試薬を水道水の分析法で使用することは基本的には避けるべきであると考えられ、また、代替法の利用が可能であることから、OTを用いる検査方法は削除されることになりました。
 また、吸光光度法により、残留塩素を測定することも可能であり、最近の水質検査技術の向上により、現場にて測定可能な残留塩素計も開発されていることから吸光光度法を新に加えることとなりました。

< 対 応 >
 現在、OT法で飲料水、プール水等の水質検査を行っている場合、早急にDPD法に(価格面からもDPD法が現実的と思われる)切り替えを行うよう対策をとってください。今までOT法が一般的であり比色板等の検査器具が準備出来ない可能性も考えられます。