塩化チオニル

別名:オキシ塩化硫黄、塩化スルフィニル、塩化チオニール
SOCl
劇物:(塩化チオニル及びこれを含有する製剤。)
(性状) 淡黄色透明で強い刺激臭のある液体。比重1.638。沸点76℃。蒸気圧12.8kpa(20℃)。クロロホルムに可溶。水に接触すると激しく加水分解し、塩化水素と二酸化硫黄を発生する。

措  置
漏 え い 時
風下の人を退避させる。退避する際には、水で濡らせた手ぬぐい等で口及び鼻を覆う。漏えいした場所の周辺には、ロープを張るなどして人の立入りを禁止する。作業の際には必ず空気呼吸器その他の保護具を着用し、風下で作業をしない。漏えいした液は土砂等でその流れを止め、安全な場所に導き、密閉可能な空容器にできるだけ回収し、その後、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ薬剤を用いて中和した後、多量の水を用いて洗い流す。この場合濃厚な廃液が河川等に排出されないよう注意する。
出 火 時
(周辺火災の場合)
消火作業の際には必ず空気呼吸器その他の保護具を着用する。速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能な場合には、容器及び周囲に散水して冷却する。この場合、容器に水が入らないよう注意する。
(着火した場合)
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(消火剤)
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暴 露・接 触 時
急性中毒と刺激性
(吸入した場合)
鼻、のど、気管支等の粘膜を激しく刺激し、炎症を起こす。はなはだしい場合は肺水腫を起こし、呼吸困難を起こすことがある。
(皮膚に触れた場合)
皮膚を激しく刺激し、炎症を起こす。
(眼に入った場合)
粘膜を激しく刺激し、炎症を起こす。はなはだしい場合には失明することがある。
医師の処置を受けるまでの救急方法
(吸入した場合)
直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移し、鼻をかませ、うがいをさせる。呼吸が困難な場合又は呼吸が停止している場合には、直ちに人工呼吸を行い、心臓が停止している場合には、直ちに心臓マッサージを行う。
(皮膚に触れた場合)
直ちに付着部又は接触部を多量の水を用いて洗い流した後、汚染された衣服やくつ等を脱がせる。さらに付着部を石けん水で洗浄し、多量の水を用いて洗い流す。
(眼に入った場合)
直ちに多量の水で15分間以上洗い流す。

注 意 事 項
1.水が加わると大部分の金属等を激しく腐食する。
2. 塩化チオニルは爆発性でも引火性でもないが、水との接触により各種の金属を腐食して水素ガスを発生し、これが空気と混合して引火爆発することがある。
3. 水と反応して塩化水素と二酸化硫黄のガスを発生する。ガスは有害なので注意する。
4. 火災等で強熱されると分解して塩素、二酸化硫黄等のガスが発生する。ガスは有害なので注意する。

保 護 具
保護眼鏡、保護手袋、保護長ぐつ、保護衣、酸性ガス用防毒マスク
(火災時:空気呼吸器)