ピクリン酸

別名:2、4、6−トリニトロフェノール
(OH)(NO(2、4、6−)
劇物:(ピクリン酸。ただし、爆発薬を除く。)
(性状) 黄無色ないし黄色の無臭の結晶。急熱や衝撃により爆発することがある。昇華点約105℃、融点122.5℃、発火点320℃。水にやや溶けにくい(20℃で水100mlに1.18g溶ける)。

措  置
漏 え い 時
飛散した場所の周辺にはロープを張るなどして人の立入りを禁止する。作業の際には必ず保護具を着用し、風下で作業をしない。
飛散したものは空容器にできるだけ回収し、そのあとを多量の水を用いて洗い流す。
なお、回収の際は飛散したものが乾燥しないよう、適量の水を散布して行い、また、回収物の保管、輸送に際しても十分に水分を含んだ状態を保つようにする。
用具及び容器は金属製のものを使用してはならない。
出 火 時
(周辺火災の場合)
速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能な場合には、容器及び周囲に散水して冷却する。容器が火炎に包まれた場合は爆発のおそれがあるので近寄らない。
(着火した場合)
多量の水を用いて消火する。消火作業の際には必ず保護具を着用する。
(消火剤)
水、乾燥砂
暴 露・接 触 時
急性中毒と刺激性
(吸入した場合)
鼻、のどの粘膜を刺激し、はなはだしい場合は意識不明となり、呼吸困難を起こす。
(皮膚に触れた場合)
皮膚が黄色に染まり皮膚からも吸収され、頭痛、めまい、悪心、嘔吐、皮膚疹を生じる。
(眼に入った場合)
粘膜等を刺激し、角膜障害などを生じる。
医師の処置を受けるまでの救急方法
(吸入した場合)
直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移す。
呼吸困難又は呼吸が停止しているときは、直ちに人工呼吸を行う。鼻やのどに刺激があるときは鼻をかみ、うがいをさせる。
(皮膚に触れた場合)
直ちに汚染された衣服やくつ等を脱がせる。直ちに付着又は接触部を石けん水で洗浄し、多量の水を用いて洗い流す。
(眼に入った場合)
直ちに多量の水で15分間以上洗い流す。

注 意 事 項
酸化鉄、酸化銅、硫黄、沃素などと混合した場合は摩擦、衝撃により、更に激しく爆発するので、これらのものと一緒に置かない。
また、ガソリン、アルコール類など燃焼しやすい物質と接触させることを避け、火気に対し安全で隔離された場所に貯蔵する。通常、安全のため、15%以上の水を含有させる。
また、ピクリン酸の金属塩類は更に衝撃等に敏感になることがあるので注意する。

保 護 具
保護眼鏡、保護手袋、保護長ぐつ、保護衣、防じんマスク
(火災時:空気呼吸器)