ホスゲン

別名:塩化カルボニル
COCl
毒物:(ホスゲン及びこれを含有する製剤。)
(性状) 独特の青草臭(空気中でにおいを感ずる最低濃度は、おおむね0.44ng/m3。)のある無色の圧縮液化ガス。比重1.43(0℃)。沸点8.2℃。蒸気圧75.3KPa(0℃)。蒸気は、空気より重い。トルエン、エーテルに極めて溶けやすい。酢酸に対してはやや溶けにくい。水により加水分解し、二酸化炭素と塩化水素を生成する。不燃性。水分が存在すると加水分解して塩化水素を生じるために金属を腐食する。加熱されると塩素と一酸化炭素への分解が促進される。

措  置
漏 え い 時
風下の人を退避させる。退避する際は、水で濡らした手ぬぐい等で口及び鼻を覆う。漏えいした場所の周辺にはロープを張るなどして人の立入りを禁止する。作業の際には必ず空気呼吸器その他の保護具を着用し、風下で作業をしない。漏えいした液は土砂等でその流れを止め、安全な場所に導き、重炭酸ナトリウム、又は炭酸ナトリウムと水酸化カルシウムからなる混合物の水溶液で注意深く中和する。この場合濃厚な廃液が河川等に排出されないよう注意する。
出 火 時
(周辺火災の場合)
消火作業の際には必ず空気呼吸器その他の保護具を着用し、風下で作業をしない。速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能な場合には、しゃへい物の活用等容器の破損に対する防護措置を講じ、容器及び周囲に散水して冷却する。
(着火した場合)
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(消火剤)
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暴 露・接 触 時
急性中毒と刺激性
(吸入した場合)
鼻、のど、気管支等の粘膜を刺激し、炎症を起こす。はなはだしい場合には肺水腫、呼吸困難をひき起こし、死に至ることがある。しばらくしてから症状が現われることがあるので注意する。
(皮膚に触れた場合)
直接液に触れると、凍傷を起こす。皮膚を刺激し、炎症を起こす。
(眼に入った場合)
粘膜を刺激し、炎症を起こす。
医師の処置を受けるまでの救急方法
(吸入した場合)
直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移し、酸素吸入を行う。呼吸が困難な場合又は呼吸が停止している場合には直ちに人工呼吸を行い、心臓が停止している場合には心臓マッサージを行う。
(皮膚に触れた場合)
直ちに付着部又は接触部を多量の水を用いて洗い流した後、汚染された衣服やくつ等を脱がせる。更に付着部を多量の水を用いて洗い流す。
(眼に入った場合)
直ちに多量の水で15分間以上洗い流す。

注 意 事 項
1.肺水腫発現まで無症状の潜伏期がある。少量の吸入でも危険なので注意する。
2.火災等で強熱されると分解して塩素と一酸化炭素を発生する。ガスは有害なので注意する。
3.水と徐々に反応して塩化水素ガスを発生する。ガスは有害であり、金属を腐食するので注意する。

保 護 具
保護眼鏡、保護手袋、保護長ぐつ、保護衣、空気呼吸器