弗化水素

別名:無水弗化水素酸
HF
毒物(弗化水素)
(性状) 不燃性の無色液化ガスで激しい刺激臭がある。ガスは空気より重く、空気中の水や湿気と作用して白煙を生じ、強い腐食性を示す。比重0.987。融点−83℃、沸点19.5℃。水に極めて溶けやすい。

措  置
漏 え い 時

風下の人を退避させる。必要があれば水で濡らした手ぬぐい等で口及び鼻を覆う。 漏えいした場所の周辺にはロープを張るなどして人の立入りを禁止する。作業の際には必ず空気呼吸器その他の保護具を着用し、風下で作業をしない。
漏えい容器には石こうによる閉止、木栓の打込み等により漏えいを止める。漏えいが止められない場合には布、むしろ等をあて、更に消石灰を散布してガスを吸収させる。
多量にガスが噴出した場合には遠方から霧状の水をかけて吸収させる。この場合、容器に直接散水してはならない。水と反応して有害な弗化水素ガスが発生するので注意する。
漏えいした液が少量の場合には徐々に霧状の水を多量にかけ、ある程度希釈した後、消石灰等の水溶液で処理し、多量の水を用いて洗い流す。この場合、濃厚な廃液が河川等に排出されないよう注意する。

出 火 時
(周辺火災の場合)
速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能な場合には、しゃへい物の活用等容器の破裂に対する防護措置を講じ、容器及び周囲に散水して冷却する。この場合、容器に水が入らないよう注意する。
(着火した場合)
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(消火剤)
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暴 露・接 触 時
急性中毒と刺激性
(吸入した場合)
鼻、のど、気管支、肺等の粘膜が刺激され、侵され、肺水腫を起こし、呼吸困難、呼吸停止を起こす。
(皮膚に触れた場合)
直接液に触れると激しい痛みを感じ、皮膚の内部にまで浸透腐食する。
(眼に入った場合)
粘膜等が激しく侵され、失明することがある。
医師の処置を受けるまでの救急方法
(吸入した場合)
直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移し、直ちに酸素吸入を行う。呼吸が困難な場合又は呼吸が停止している場合には直ちに人工呼吸を行う。
(皮膚に触れた場合)
直ちに付着部又は接触部を多量の水を用いて洗い流した後、汚染された衣服やくつ等を脱がせる。
(眼に入った場合)
直ちに多量の水で15分間以上洗い流す。

注 意 事 項
1.水が加わると大部分の金属、ガラス、コンクリート等を激しく腐食する。
2.水と急激に接触すると多量の熱を発生し、酸が飛散することがある。
3.弗化水素は爆発性でも引火性でもないが、水分の存在下では、各種の金属を腐食して水素ガスを発生し、これが空気と混合して引火爆発することがある。
4.直接中和剤を散布すると発熱し、酸が飛散することがあるので、ある程度希釈してから中和する。
5.弗化水素は液体で運搬されるが、皮膚若しくは衣服等に接触することにより又は外気に触れることにより急激にガス化する。ガスは有害なので注意する。
6.皮膚に接触した場合には至急医師による傷害部の皮下及び周囲に8.5%グルコン酸カルシウム液の注射を行い、更にヒアルロニダーゼと塩酸プロカイン液を用いた手当て等を受ける。

保 護 具
保護眼鏡、保護手袋、保護長ぐつ、全身保護衣、空気呼吸器