五硫化二リン

別名:十硫化四リン
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毒物(硫化燐)、劇物(硫化燐を含有する製剤)
(性状) 淡黄色の結晶性粉末で硫化水素臭がある。吸湿性がある。空気中では260〜290℃で発火、燃焼し、二酸化イオウ、五酸化リン等を含む刺激臭のある煙霧が発生する。融点290℃、沸点510℃。エタノールに溶け、二硫化炭素にやや溶ける。水、酸で分解して硫化水素とリン酸になる。

措  置
漏 え い 時
多量に飛散した場合には風下の人を退避させる。飛散した場所の周辺にはロープを張るなどして人の立入りを禁止する。作業の際には必ず保護具を着用し、風下で作業をしない。
飛散したものは空容器にできるだけ回収し、そのあとを多量の水を用いて洗い流す。
出 火 時
(周辺火災の場合)
速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能な場合には容器及び周囲に散水して冷却する。
(着火した場合)
初期の火災には粉末、乾燥砂等を用いて消火する。大規模火災の場合には多量の水を用いて消火する。消火作業の際には必ず保護具を着用する。
(消火剤)
粉末、乾燥砂、水
暴 露・接 触 時
急性中毒と刺激性
(吸入した場合)
鼻、のど、気管支、肺等の粘膜を刺激する。水や空気中の湿気により分解して発生する硫化水素を吸入すると意識不明となり、はなはだしい場合には呼吸困難を起こす。
(皮膚に触れた場合)
皮膚炎及びやけどを起こす。
(眼に入った場合)
粘膜等を刺激し、炎症を起こす。
医師の処置を受けるまでの救急方法
(吸入した場合)
直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移し、鼻をかませ、うがいをさせる。呼吸が困難な場合又は呼吸が停止している場合には直ちに人工呼吸を行う。
(皮膚に触れた場合)
直ちに汚染された衣服やくつ等を脱がせ、付着部又は接触部を石けん水で洗浄し、多量の水を用いて洗い流す。
(眼に入った場合)
直ちに多量の水で15分間以上洗い流す。

注 意 事 項
1.空気中での湿気や少量の水との接触により、硫化水素を発生し、発火することがある。
2.乾燥空気中でも融点付近まで加熱すると発火する。
3.摩擦、火花、火炎により着火する。

保 護 具
保護眼鏡、保護手袋、保護長ぐつ、保護衣、空気呼吸器