黄りん

別名:

毒物(黄燐)
(性状) 常温で白色又は淡黄色のロウ状固体。
直接空気に触れると発火、燃焼し有害な強い刺激臭のある煙霧を発生する。さらに熱により液状となって燃え拡がる。
アルカリ水溶液と反応して自然発火の有毒なホスフィン(りん化水素:PH)を発生する。
エーテル、ベンゼン、二酸化炭素に溶け易く(融点44.1℃)、水にごくわずか溶ける(15℃で水100gに3×10−4g溶ける)。

措  置
漏 え い 時
風下の人を退避させる。事故場所の周辺にはロープを張るなどして人の立入りを禁止する。
作業の際には必ず保護具を着用する。風下で作業をしない。
漏出した黄りんの表面を速やかに土砂又は多量の水を覆い、水を満した空容器に回収する。
黄りんで汚染された土砂、物体は同様の措置を採る。
出 火 時
(周辺火災の場合)
速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能の場合は、容器及び周囲に散水して冷却する。
(着火した場合)
小規模火災の場合土砂等で覆って消火する。
大規模火災の場合は霧状の水を多量に用いて消火する。
黄りん火災の際に発生する燃焼ガスを吸入すると肺水腫を起こすことがある。また黄りんが身体に触れると激しいやけど(薬傷)を起こすので必ず保護具を着用する。
棒状の水を注ぐと溶けた黄りんが細かい粒子となり、飛び散って危険である。消火後は上記漏えい時の措置を採る。
(消火剤)
水、土砂
暴 露・接 触 時
人体に対する影響
(吸入した場合)
黄りんが燃えて発生する燃霧は鼻、のど、肺を激しく刺激する。
(皮膚に触れた場合)
激しいやけど(薬傷)を起こす。
(眼に入った場合)
激しい障害を起こす。
救急方法
(吸入した場合)
直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移し、速やかに医師の手当てを受ける。呼吸困難のときは直ちに酸素吸入を行う。
(皮膚に触れた場合)
直ちに付着又は接触部を多量の水を用いて十分に洗い、水で濡らした布で覆う。汚染された衣服やくつは速やかに脱がせる。速やかに医師の手当てを受ける。
(眼に入った場合)
直ちに多量の水で15分間以上洗い流し、速やかに医師の手当てを受ける。

注 意 事 項
1.自然発火性であるので、容器に水を満たして貯蔵し、水で覆い密封して運搬する。
2. 黄りんの付着したものは、濡れている間は発火しないが、乾くと自然発火する。
3. 保護具は、すき間より黄りん粒子が飛び込まぬよう装着する。

保 護 具
保護眼鏡(顔面全体を覆うものが良い)、保護手袋(ゴム)、保護長ぐつ(ゴム)、保護衣(耐熱性又はゴム引き)、酸性ガス用防毒マスク