燐化水素

別名:ホスフィン
PH
毒物(燐化水素及びこれを含有する製剤)
(性状) 無色、腐魚臭の気体。気体は自然発火性がある。比重0.746(−90℃)。蒸気比重1.529(0℃)。融点−133℃、沸点−87℃。水に溶けにくい(17℃で水100mlに26ml溶ける)。エタノール、エーテルに可溶。

措  置
漏 え い 時
風下の人を退避させる。漏えいした場所の周辺にはロープを張るなどして人の立入りを禁止する。作業の際には必ず空気呼吸器その他の保護具を着用し、風下で作業をしない。付近の着火源となるものは速やかに取り除く。
漏えいしたボンベ等を多量の水酸化ナトリウム水溶液と酸化剤(次亜塩素酸ナトリウム、さらし粉等)の水溶液の混合溶液に容器ごと投入してガスを吸収させ、酸化処理し、そのあとを多量の水を用いて洗い流す。
出 火 時
(周辺火災の場合)
速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能な場合には、しゃへい物の活用等容器の破裂に対する防護措置を講じ、容器及び周囲に散水して冷却する。容器が火炎に包まれた場合には爆発の危険があるので近寄らない。消火作業の際には必ず空気呼吸器その他の保護具を着用する。
(着火した場合)
高圧ボンベに着火した場合には消火せずに燃焼させる。
(消火剤)
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暴 露・接 触 時
急性中毒と刺激性
(吸入した場合)
吐き気、顔面蒼白、急激な悪寒、胃痛、下痢を伴い、頭痛、めまい等の症状がある。はなはだしい場合には呼吸困難、昏睡を起こす。
(皮膚に触れた場合)
接触部位に炎症を起こす。
(眼に入った場合)
粘膜を刺激し、角膜等に障害を与える。
医師の処置を受けるまでの救急方法
(吸入した場合)
直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移す。
呼吸が困難な場合又は呼吸が停止している場合には直ちに人工呼吸を行う。
(皮膚に触れた場合)
直ちに汚染された衣服やくつ等を脱がせ、付着部又は接触部を石けん水で洗浄し、多量の水を用いて洗い流す。
(眼に入った場合)
直ちに多量の水で15分間以上洗い流す。

注 意 事 項
1.このガスは粘膜刺激性がないので急性中毒を起こしやすく、致死することが多い。
2.酸素と接触し、又は混合すると爆発的反応が起こる。塩素と接触すると激しい反応が起こる。
3.有毒で、かつ、自然発火性の気体であるので注意する。
4.火災等で燃焼すると有害な酸化リン( V )の煙霧を発生する。
5.燐化水素は少量の吸入であっても危険なので注意する。

保 護 具
保護眼鏡、保護手袋、保護長ぐつ、保護衣、空気呼吸器