硝 酸

別名:
HNO
劇物(硝酸及びこれを含有する製剤。10%を越えるもの)
(性状) 無色又は淡黄色の液体で息詰まるような刺激臭がある。不燃性であるが、高濃度のものが有機物に接触すると自然発火することがある。高濃度のものは空気中で発煙する。水とよく混和するが、その際発熱する。
比重1.50以上(98W/W%)、1.38以上(62W/W%)、1.31以上(50W/W%)

措  置
漏 え い 時
風下の人を退避させる。必要があれば水で濡らした手ぬぐい等で口及び鼻を覆う。漏えいした場所の周囲にロープを張るなどして人の立入りを禁止する。
作業の際には必ず保護具を着用する。風下で作業をしない。
(少量) 漏えいした液は土砂等に吸着させて取り除くか、又はある程度水で徐々に希釈した後、消石灰、ソーダ灰等で中和し、多量の水を用いて洗い流す。
(多量) 漏えいした液は土砂等でその流れを止め、これに吸着させるか、又は安全な場所に導いて、遠くから徐々に注水してある程度希釈した後、消石灰、ソーダ灰等で中和し多量の水を用いて洗い流す。
この場合、濃厚な廃液が河川等に排出されないよう注意する。
出 火 時
(周辺火災の場合)
速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能の場合は、容器及び周囲に散水して冷却する。
(着火した場合)
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(注)有機物等に接触して発火した場合は、水、泡又は炭酸ガス等の消火剤を用いて消火する。火に包まれると有害な窒素酸化物のガス(NO2)を発生するので消火作業には必ず保護具を着用する。
(消火剤)
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暴 露・接 触 時
人体に対する影響
(吸入した場合)
のど、気管支が侵される。濃厚なガスの場合は24〜48時間後に肺水腫を起こすことがある。
(皮膚に触れた場合)
重症のやけど(薬傷)を起こす。
(眼に入った場合)
粘膜を激しく刺激し失明することがある。
救急方法
(吸入した場合)
直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移し速やかに医師の手当てを受ける。呼吸が停止しているときは直ちに人工呼吸を行い、呼吸困難なときは酸素吸入を行う。ただし、NO2による症状発現は遅いので、一見無症状を呈するようであっても一昼夜安静にさせる。
(皮膚に触れた場合)
直ちに付着又は接触部を多量の水又は石けん水で十分洗い流す。
汚染された衣服やくつは速やかに脱がせる。速やかに医師の手当てを受ける。
(眼に入った場合)
直ちに多量の水で15分間以上洗い流し、速やかに医師の手当てを受ける。

注 意 事 項
1.可燃物、有機物と接触させない。
2.高濃度の場合、水と急激に接触すると多量の熱を発生し酸が飛散することがある。
3.直接中和剤を散布すると発熱し、酸が飛散することがある。
4.それ自体NO2を含有し、また可燃物、有機物と接触するとNO2を発生するので注意する。

保 護 具
保護手袋(ゴム)、保護長ぐつ(ゴム)、保護前掛(ゴム)、保護眼鏡、酸性ガス用防毒マスク