水素化砒素

別名:アルシン、砒化水素
AsH
毒物(砒素化合物及びこれを含有する製剤)
(性状) 無色、ニンニク臭の気体。比重2.7(空気を1として)。融点−117℃、沸点−55℃、分解点300℃。水にやや溶けやすい(25℃で水100mlに2000ml溶ける)。

措  置
漏 え い 時
風下の人を退避させる。漏えいした場所の周辺にはロープを張るなどして人の立入りを禁止する。作業の際には必ず空気呼吸器その他の保護具を着用し、風下で作業をしない。付近の着火源となるものは速やかに取り除く。
漏えいしたボンベ等を多量の水酸化ナトリウム水溶液と酸化剤(次亜塩素酸ナトリウム、さらし粉等)の水溶液の混合溶液に容器ごと投入してガスを吸収させ、酸化処理し、この処理液を処理設備に持ち込み、毒物及び劇物の廃棄の方法に関する基準に従って処理を行う。
出 火 時
(周辺火災の場合)
速やかに容器を安全な場所に移す。移動不可能な場合には、しゃへい物の活用等容器の破裂に対する防護措置を講じ、容器及び周囲に散水して冷却する。容器が火炎に包まれた場合には爆発の危険があるので近寄らない。火災時には漏えいしたガスが燃焼すると有毒な酸化砒素( III )の煙霧が発生するので、消火作業の際には必ず空気呼吸器その他の保護具を着用する。
(着火した場合)
高圧ボンベに着火した場合には消火せずに燃焼させる。
(消火剤)
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暴 露・接 触 時
急性中毒と刺激性
(吸入した場合)
鼻、のど、気管支等の粘膜を刺激し、頭痛、めまい、悪心、チアノーゼを起こす。血色素尿を排泄し、肺水腫を起こし、呼吸困難を起こす。
(皮膚に触れた場合)
しばらく後に、接触部位に湿疹、水疱、炎症又は潰瘍を起こす。
(眼に入った場合)
粘膜を刺激して結膜炎を起こす。
医師の処置を受けるまでの救急方法
(吸入した場合)
直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移す。
呼吸が困難な場合又は呼吸が停止している場合には直ちに人工呼吸を行う。
(皮膚に触れた場合)
直ちに汚染された衣服やくつ等を脱がせ、付着部又は接触部を石けん水で洗浄し、多量の水を用いて洗い流す。
(眼に入った場合)
直ちに多量の水で15分間以上洗い流す。

注 意 事 項
1.水素化砒素(アルシン)は少量の吸入であっても強い溶血作用があり、危険なので注意する。
2.引火性の気体であるので注意する。
3.火災等で燃焼すると酸化砒素( III )の煙霧を発生する。煙霧は有毒なので注意する。
4.アルシンを吸収した場合は、至急医師による交換輸血を行うことが有効である。また、砒素の解毒剤としてはジメルカプロール(BAL)が知られている。

保 護 具
保護眼鏡、保護手袋、保護長ぐつ、保護衣、空気呼吸器