★★今世紀最後の皆既日食を見る★★

は じ ま り
 1999年 8月11日、ヨーロッパから西アジアにかけて今世紀最後の皆既日食がありました。小学生の頃から一度は必ず見たいと願ってきたのですが、日本ではなかなか見られず、海外ではと思ってもなかなか思うようにはなりませんでした。気がつけば40代半ば、8月しかもヨーロッパ(お盆休みで高そうだけれど・・)これを見逃せばもう一生見るチャンスはないかも・・との思いでハンガリーへと出発しました。(望遠鏡・カメラ・ビデオ・ノートパソコン等一式を抱えていったので成田までが一番大変でした)
 ハンガリーのバラトン湖畔は東ヨーロッパのリゾート地で、とくにドイツからの観光客が多くその中に混じってホテルのプライベートビーチで観測しようと準備していたのですが、当日夜明け前の雷鳴轟く嵐で起こされ朝食時になっても雨がやまず、誰もが皆既は絶望と思われた(私自身覚悟した)のですが、ところが、ところが、奇跡的というのかドラマチックにも9時頃から雲が切れ始め第1接触が始まる11時すぎには快晴に、その後薄雲が時折横切りはしましたが、日差しも食の進みに従ってだんだん柔らかくなり、鳥がざわめき飛び回り、皆既の前には気温もさがってきたのが分かるほどでした。太陽が三日月から細い長い線を最後に隠れるとあたりは夕闇に包まれたようで金星がその下方で明るく輝いていました。皆既は薄雲越しにとなりましたがカウントダウンの最後に薄雲の向こうにコロナに包まれた黒い太陽が出現、写真撮影・ビデオと一人で頑張った(欲張った)けれど、肉眼で見たその神秘的な情景・スタビライザー付きの双眼鏡で見たプロミネンスの美しさは言葉にあらわすことが出来ないものでした。
 そして、2分22秒後のダイヤモンドリング、”この世の終わりと始まり”という言葉が心の片隅に本当に浮かんだ一瞬でした。
 
日 食 と は
東           南           西
<北半球からの図>
  ここでは部分日食が見える
  ここでは皆既日食が見える
 日食(Solar eclipse)とは、字のとおり太陽が隠される現象です。月の見かけの大きさと太陽の見かけの大きさが偶然にも、どちらも約0.5度とほぼ同じために月が太陽の前を通過するとき、その影が地球を横切り、影に入った所では日食を見ることが出来ます。上のアニメでは日食の影が西から東へ移動しています。太陽や月は東から昇って西に沈むので少し意外に思うかもしれませんが、簡単に説明すると、地球は自転速度が約1650q/hでこの速さで西から東へ自転しています。が、月は、月が地球から38万qの円周上を約1ヶ月で回っているとすると、約3300q/hで地球の自転の方向と同じ西から東へ運動していることになり地球の回転速度の約2倍の速さで月は太陽の前を横切ることになるためです。下の写真は宇宙ステーションから撮影したフランスを通過中の月影で、黒い部分では日食になっています。(下の写真は天文ガイド10月号より抜粋)

日 時 ・ 観 測 地
観測地 ハンガリー バラトン湖畔
東経 17度52分49秒
北緯 46度56分42秒
標高 250m
時 刻
(現地時間)
日食のはじまり  (第1接触)  11時26分10秒
皆既食のはじまり(第2接触)  12時48分48秒
皆既食の中心  12時49分59秒
皆既食の終わり (第3接触)  12時51分10秒
日食の終わり   (第4接触)  14時12分57秒
皆既食の継続時間  2分22秒
日食地図(皆既帯図)
 今回の日食はイギリス・フランス・ドイツ・オーストリア・ハンガリー・ルーマニア・トルコ・イランなど主要国で見ることが出来ましたが、先の3カ国では天候が悪く見ることが出来ないところもあったようです。
 
日食前のバラトン湖畔
 琵琶湖とほぼ同じ広さというバラトン湖は内陸の東ヨーロッパのリゾートビーチ(淡水湖)といったところで泳いでいる人がかなりいて、湖畔に陣取った私たちの様子を珍しそうに眺めていましたが、日食が始まると一緒に歓声を上げて見上げました。
使用機材一覧
望 遠 鏡 FS−60C(タカハシ) エクステンダーC2X使用 直焦点撮影
架  台 TG−SP(タカハシ)
三  脚 Velbon Carmagne 540 (Velbon PH−460使用)
カ メ ラ ニコン FM10 ボディー
CAMEDIA C−2000Z

ビ デ オ SONY DCR−TRV900
VCL−0552(セミフィッシュアイレンズ)
VCL−2052K(テレコンバージョンレンズ)

双 眼 鏡 Canon Image Stabilizer 10×30IS

パソコン SONY VAIO PCG−C1S
 

写 真 集
ビ デ オ
次回は?
2001年 6月21日 皆既日食 南大西洋・アフリカ・マダガスカル 皆既継続 4分57秒
21世紀最初の皆既食
2001年12月15日 金環日食 太平洋・中央アメリカ
2002年 6月11日 金環日食 東アジア・太平洋
2002年12月 4日 皆既日食 アフリカ南部・オーストラリア 皆既継続 2分 4秒
2003年 5月31日 金環日食 グリーンランド・アイスランド
2003年11月24日 皆既日食 オーストラリア・南極 皆既継続 1分57秒
2005年 4月 9日 金環皆既日食 南太平洋・中央アメリカ 継続時間    42秒
観測地によって金環食、
皆既食に分かれる
2005年10月 3日 金環日食 スペイン・北アフリカ
2006年 3月29日 皆既日食 大西洋・アフリカ・トルコ 皆既継続 4分 7秒
2006年 9月22日 金環日食 中央,南アメリカ・大西洋
2008年 2月 7日 金環日食 南極
2008年 8月 1日 皆既日食 中国・ロシア・北極海 皆既継続 2分27秒
2009年 1月26日 金環日食 インド洋・インドネシア
2009年 7月22日 皆既日食 沖縄近海・中国・インド 皆既継続 6分39秒
奄美大島でも見える
2010年 1月15日 金環日食 中国・インド洋・アフリカ 日没帯食
2010年 7月12日 皆既日食 太平洋・南米
<注意!>   皆既の継続時間は最大食地点のものです