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「企画実験室」
企画の「原動力」意欲の原動力

「企画の仕事」

  • 仕事は創造
     私の 知っている最も幸せな人たちという の は、仕事において何事かをなしをなし終えた経験、とくに自分の働きが、自分だけではなく他人の役にも立 つような仕事の経験を持った人々です。

     この仕事における創造力を示す非常にすぐれた例として、M.ダグラスの調査したオハイオ州、ク リープランドのリンカン電気があげられます。この会社の一人当たりの生産売上高は、 1950年 度で 46,152ドルでしたが、同年の他の会社の一人当たりの生産高は、22,075ドルでした。同じ 年、リンカン電気の雇用者が平均10,467ドルの至急を受けたのに対し、他の会社の平均 は 5,648ドルです。

     社 長で あるジェームス・F・リンカン氏 は、その秘訣をつぎのように語っています。
    「(1)働き手の能力に挑戦しなさい。その人間の現在の能力以上の仕事を与えなさい。
     (2)自分で決め込まない限り、あなたの可能性は無限であるということを相手に伝えなさ い。
     (3)相手の潜在能力を伸ばしなさい。
     (4)指導者に対しては、あらゆるレベルで、指導能力を最高に発揮できるよう圧力をかけ なさ い。」

     ジェネラル・モーターズの元社長H・カーティスは、「今やっている仕事の先を考えなさい。そうす れば、つぎの仕事は何なくてに入れることができる。要求されている以上に良い仕事をしなさ い。 そう すれば、つぎの時には楽々やれる。難しい仕事には、人の助けを 借りずに自 分で立ち向 かいなさい。
    逆境を利用して力を蓄え、習練によって自信を、苦労によって成功を得る機会としなさい。毎回、 前回 より も良い仕事を、また誰よりもよくやりなさい。これは古めかしい言いぐさに聞こえるかもしれない。しか し、実際世の中はこのお陰で成り立っているんですよ」と、いってます。

  • 仕事は救い
    中世期末にルネサンスをもたらした要因の一つは、仕事に対する概念が再建されたことです。1955 年 A・ト インピーは「教会とその働き」と題する論文の中で、ベネディクト派の礼典規則をつぎのように引用している。 「仕事を持たないということは精神上有害である。ゆえに兄妹達は一日のうちに何時間かは手仕事と進 学書 を読 むことに時間を割くべきである。労働は名誉ある仕事であり、霊性の扉を開くものである」

    ヒンズー教の中にも、「労働がなければこの世は滅びるであろう」とあります。プロテスタントの倫理に も、この原理は行き渡っています。
     聖書の中に出てくるタラントの例え話は、カトリックとプロテスタントの仕事に対する態度の決 め手 にな るものです。怠け者で仕事不熱心なものは罰を受け、熱心な働き者は永遠の祝福を受けるであろうと述べて います。その人の働きに対する報いは天国において約束されているのです。

  • 仕事は回復
    意欲の効果  アメリカ大リーグの野球選手が不振に陥るとよくチームを変わります。そしてたいていの場合、前より調子が 良くなります。なぜでしょう。理由の一つは、要するに型にはまっていたのが、場所を変えることによ り、 再び 仕事に打ち込めるようになり、多くのことを成し遂げるからです。楽しい仕事の経験は、我々自身のイメージと いうか自己像を形作るからでしょう。

     ゴードン・W・オルポートは「適応」という著書の中で、「適切な願望というものは人格に統一を与え る」といってます。意力喪失とは分裂症的神経衰弱のことです。人は挑戦しがいのある目的に向 かって いる とき、神経衰弱になることはありません。意力喪失は別のことを考えながら、片方で別のことをするという 心の分裂状態から起こるのです。そういうわけで、仕事に極力没頭するということは、精神衛生上 非常 に重 要です。
     仕事に生き生きと適切な食事をとり、精神的にも肉体的にも、遙か似よい健康状態を保っていま す。 そう いう人は、仕事において最善を成し遂げられるよう、上手に余暇を使っているものです。

  • 仕事は充足
     幸せは第一に職業上の名声、第二に仕事の管理能力・独創能力、第三に仲間に認められ、良い情緒関 係を 持つ ことから来ます。
     仕事には莫大な時間が割かれることを思えば、我々の職業は、これらの条件に見合ったものでなけれ ばな りま せん。さもないと我々の生活は葛藤に満ちたものになります。仕事の充足はおぼれかけている我々を、通りすが りの船に助け上げる役目をするものです。

     ヘンリー・B・デュポンは「仕事に対する唯一の基準は、その出来映えである。成功するためには、他人 がやらないような、また他人に出来ないような難しい仕事と取り組まなければならない」と言って ま す。実 際、心の満足は他人がやらなかったことを成し遂げたときに生まれるものです。他人がやらなかったことを 成就したときこそ、われわれは群衆の中から抜きんでることができます。

     人は、仕事からの挑戦をどの様に受け止めるかによって喜びも変わってきます。その人が意気揚々と仕事 を始めたときには、殆ど確実に楽しんで仕事をするでしょう。しかし、一方で、中途半端な気持ち で取 りか かったときは、疑心暗鬼に囚われ、仕事は耐えがたい重荷になります。仕事は挑戦です。挑戦を受けとめる 態度いかんによって、その人が仕事を楽しむ度合いは決まると思います。

     フォード自動車のヘンリー・フォード二世も、同じ様なことをいってます。「仕事がそれをやる人間に興 味を起こさせないようなものであるとき、満足とか喜びは殆ど得られない。ある種の仕事は、それ 自 身、大 変面白い。しかし、大抵の仕事は、面白いのではなかろうと想像する必要がある。ちょっとした気持ちの持 ち方と決心次第で、日常茶飯事の雑事も、その人の能力に対する挑戦となりうる。この種の挑戦を 生み 出 し、受け入れることのできる人は、たいてい自分の生活の中から喜びをいっぱい引き出すことが出来る」

     歴史を振り返ると、重要な発明は、経済的報酬ということよりも、ただそれをやりたいからということで 仕事をした人々によってなされたということに、深い感銘を受けずに入られません。エジソン、ラ イト 兄 弟、ベル、これら語り伝えられている人々は、この仕事への衝動をもっていた少数の開拓者達です。これら みごと実験を成功させた人々は、金銭的報酬のあるなしにかかわらず、それに勝る満足感を味わっ たの で す。

  • 仕事は冒険
     何事かを成し遂げる人々というのは、ハッキリした目的を持ち、自分の仕事を偉大なゲームであり、 素晴 らし い競争、挑戦、また、栄光に輝く冒険であると感じている人々です。
     オーストラリアの砂漠を肥沃な土地に変え、2500万ドルの財をなしたウイリアム・タイソンは、 報道 関係 者の質問に答え、「それはゲームでしたよ」といいました。「どんなゲームですか」と聞くと、タイソンは「金 儲けから出た仕事ではない。砂漠を何とかしたかったんですよ。草一本ないところに草を植え、家畜の いな いと ころに牛を放ち、垣根のないところに垣根を、道のないところに道を、木のないところに木を、湖のないところ に湖を、町のないところに町をつくりたかったんですよ。要するにゲームだったんですよ」と答えまし た。

     良い仕事の習慣をつけることは非常に大事なことです。そうすれば、こまごました仕事もあまり煩わしく なくなります。今日ではパソコンの普及によって、仕事の合理的な管理も容易に出来るようになり まし た。 急用で自分の計画を犠牲にしなければならないときも、容易にスケジュールの調整が出来ます。
     しかし、大事なことは、自分の目的に全身全霊を打ち込むことです。そのことがつまらない仕事 を も、素 晴らしい冒険に変えることになります。

     われわれに対する最大の挑戦は、最も豊かなるがゆえに肥満問題に悩まされている人々、贅沢放題に若者 を育てている人々が、目的意識のハッキリした、右肩上がりの利益向上主義に対抗して、昔ながら の働 き者 の概念を取り戻すことが出来るだろうかということです。これこそが、我々の時代に直面する真の危機であ り、この目的のために、何らかの貢献をしようとするものです。