● 企画書作成のポイント
企画書の持つ意味は、企画の内容をハッキリと「表現」、正確に「伝達」、力強く「説得」することです。企画書は、こうした企画に関わる全員の「共通言語」であり、企画内容を共有するための「コミュニケーションツール」としての役割を果たします。
企画書のポイントは、「わかりやすく魅力的」であることがもっとも大事です。分かり難い企画書は、「企画内容そのものが不明確」です。日頃から受け手を意識しての自分自身の考えを文章で表現するトレーニングも必要です。
また、企画書の果たす役割は、企画を実現するための「共通語」と「ハードル」を明示します。さらに、企画を進める上で、企画者やその受け手の関係者、意志決定者、企画を実現する大勢の実施者が企画書を必要としています。
以下に、すぐれた企画書に共通する条件を挙げてみます。
@.企画書の導入が魅力的なこと、手にとって頁をめくりたい気持ちにさせます。
A.企画の冒頭に結論が示されるので理解しやすい。
B.論理の流れが円滑で、頁同士のつながりがスムースです。
C.内容に過不足が無く、バランスの取れた構成になってます。
D.削除や合体などの無駄な頁が見つからない。
E.レイアウトが良く、視覚的に読みやすい。
F.表記が明快で簡潔、内容が理解しやすい。
G.データや画像が効果的に使われ、表現がハッキリしている。
H.企画書のボリュームは内容に見合っている。
I.受け手の立場や都合に合わせられ、内容を効率的に理解される配慮がなされている
時間をかけて単にねばり強く考えるだけでなく、文章を、「5W2H」や箇条書きスタイルにすることでかなり解決できます。
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≪企画導入≫企画の玄関口
企画書の正面入り口ですから、受け手の関心を惹きつけて、期待感が高まるように誘導します。フォームは、表紙→はじめに→目次の順です。最初に接するページですから受け手に印象面で大きい影響を与えます。
表紙の要素は、次のように集まって組立られます。
提出先:企業名だけでなく部署名までの表記もあります。株式会社が前につくか後ろにつくか。「この誤りは致命的です」
企画書タイトル:企画のテーマを正確かつ簡潔に表記します。サブタイトルは、テーマより具体的に企画の目的を示唆するものが効果的です。
提出日:西暦の表記、それとも元号での表記かは、提出先の慣行にあわせます。
提出者:企業名や部署名を表記するほか、個人名を併記する時があります。提出者は、企画者、作成者と一致するのが普通です。
ビジュアル:必要に応じて、ビジュアルを盛り込みます。テーマにあったイラストや写真を入れることで表紙の表現が豊かになります。これらの要素を良く押さえた上で、提出先の慣行や嗜好に沿った作り方をします。
「はじめに」は、つまり、前書きに相当します。企画の概略と特徴を伝えながら期待感を高めて頂きます。そして、企画者が企画に対しての思い入れを語れる唯一のページですから、どの様なスタンスで検討したとか、企画書をどういえ風に理解して欲しい等の意気込みを表明します。
作成のフォームは、前提条件の確認→問題の提起→企画の動機や目的→企画概略や特徴→企画実施後の理想状態→企画の手順→企画の方法などを、手短にまとめます。ここでは、詳しく説明は不用です。本文とは異なり、ゆったりした組み方で提示するのが効果的です。
目次は、インデックスで、受け手が知ろうとする企画内容を素早く検索するのに役立ちます。目次に目を通すことで、企画作業の流れを円滑に把握できて理解を深めさせます。目次は、各ページのタイトルとノンブルを拾って作成します。また、必要により、全体構成の位置づけや役割を補います。
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≪企画背景≫企画の必然性がスタートライン
企画の背景は、必然的な企画のスタートラインです。企画の背景と企画の意図は、企画の前段に当たります。このフォームには、「現状分析」「外部環境の分析」「環境の分析」があります。この企画では客観情報に基づくことを理解させます。情報の収集だけで不十分な場合は、企画テーマに基づいて調査をします。
現状の分析は、内外の環境の整理と分析で成り立ちます。更に企画者を取り巻く外部環境が活動へ及ぼす状況や条件の影響。その上で、企画者にとって、プラスに機能する要素とマイナスに機能する要素をそれぞれ、外部環境では、機会と脅威、内部環境では、強みと弱みとに呼称します。
手に入れた情報を客観的に整理し適格者に関わる現状を分析します。言葉を換えると、なぜ企画が必要なのか、企画者と受け手の問題意識を共通にする狙いがあります。時間を節約するため、内部資料にそれてなお不足する時は外部情報源に求めます。主な情報源の種類は、
@. 情報:ブレーン・スタッフ、同僚、上司、部下、友人、知人、家族など。
A. 街情報:通り、店舗、ショールーム、アーバンスポット、公共施設など。
B. 媒体情報:新聞・雑誌、テレビ、ラジオ、専門誌、専門紙、書籍、ビデオなど。
C. 蓄積情報:データベース、図書館、業界図書館、企業資料室など。
不要な情報は潔く捨てることも大事です。調査設計では、調査対象とその手法を重視します。インタビュー、アンケート、ウォッチングがあります。企画者が内部に抱える状況や条件です。
現状分析を行うには企画テーマに沿った関連情報を広い範囲から集めることからはじめます。企業の厚みは情報収集から生まれる質が大切だが量にもある程度比例することを理解します。仮説の検証に役立てるだけでなく、直接的な手掛かりにもなります。つぎに外部内部の環境を更に構成要素に小分けして整理します。
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≪企画方針≫方針の作成
「企画方針」は、企画のジャイロ・コンパス(羅針盤)に相当します。企画の方向性を決め、コンセプトを樹立して具体的な対策を練り上げる基本を確かにするものです。
「コンセプトの樹立」では企画の理想像が情熱をこめて受け手に提示します。方針のフォームは「コンセプトの樹立」「テーマの設定」「ターゲットの絞り込み」があります。次に続く「具体策の立案」は、樹立したコンセプトに基づいて行います。この頁は、受け手の共感を得られるだけの魅力を備えていなければなりません。課題を達成して目標を実現するためにどの様な方法をとるべきか、企画の内容を規定します。
KFSは、「Key Factor Success」の略で、企画の成功にとって"キー"となる内容です。コンセプトを樹立する前「KFS」と「ターゲット」を明確にしておきます。現状の分析から課題の抽出に至る検討作業を通じて、企画を展開する上で重点となる「対象層」です。絞り込む程に、企画の効果が高まります。なお、ターゲット像はできるだけ具体的に記します。
企画者の創造力と想像力を最大限に働かせる「コンセプト」とは、具体的対策の基本となる考えです。コンセプトを表現するに当たっては、「インパクト」が決め手です。企画の"求心力"として、具体的な対策を一色に染め上げる性格を持ちまから、企画実施後の理想的な状態を、表現したものになります。ですから、手短である程度が望ましいわけで、「企画のここの一番!」という"殺し文句"を絞り出して欲しいと思います。
「テーマ」とは、樹立したコンセプトに基づいて、具体的な対策をどの様に展開していくかという、企画の中心となる統一的な主題です。販売促進企画では、そのままキャンペーンテーマとして媒体や店頭で使われることがあります。テーマは、コンセプトをより具体化して、実際の展開イメージが湧きやすいフレーズを設定します。
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≪企画設計≫企画の施工図
「企画設計」とは、企画の施工図面を作成して企画の実現性を裏付けする作業で、具体化計画の実行に必要な時間、費用、人員などを明らかにします。
企画設計のフォームには、「実施計画の策定」「スケジュールの作成」「予算の計上」などがあります。スケジュールを作成するには、作業項目を抽出、それぞれの作業手順を考えて、スケジュール表に割り当てます。具体化計画の実現性を、「人員」の面から裏付けます。
企画の実施には、「組織力」が必要です。「実施計画の策定」は、スケジュール、予算、体制の3つの要素で構成されます。具体化計画の実現性を「時間」の面から裏付けします。「予算」の形状では、作業項目ごとに必要な費用を積み上げます。限られた予算の場合にはどの様に企画効果を最大化するかが、企画者の腕の見せ所になります。それぞれの作業の責任を明確にします。
具体化計画の実現性を「費用」の面から裏付けします。具体化計画の実行に当たって、どこに予算をあつく配分するかを決めます。スケジュールは「ガンチャート」などを用いて表現すると、作業全体の展望や進行具合が把握しやすくなります。企画書では、体制を一覧表にして提示するほかに、組織図で表すこともあります。
「実施計画の策定」は、企画の採否を最終的に判断する上で重要な目安となります。「スケジュール」の作成では、いつどの様な手順で作業を行うかを明らかにします。実際には、限られた時間を作業にどう配分するかを決めます。「体制」の編成では、具体化計画を実行するために必要となる機能を明確にした上で、誰が何を行うのか人員と役割を定めます。外部を含めて、最適な人材を確保して配置します。
つまり、企画実現の段取りを設計するわけです。そのため、シビアに詰められた綿密なものであることが望まれます。この頁には、必ずしも3要素の全てを盛り込む必要はありません。予算の枠が示されている場合は、それに照らして金額の配分を調整します。それぞれ見積もりに関しては、業者に問い合わせるとか専門家に尋ねるなどして正確を期するようにします。また、特定の人員に過大な責任や作業が集中しないように注意します。
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≪企画資料≫企画の保証資料
「企画資料」は、企画の"保証書"に代わるものです。企画資料のフォームは、「参考資料の扉」「参考資料添付」です。「参考資料の添付」は、企画内容の客観性や正当性、有効性を裏付けます。データを構成する要素は、タイトル、内容、出所などです。
企画作業が充実した情報やデータにもとづいて行われたことを示します。企画書を一通りまとめ終えたところで根必要があれば企画に関わりのある資料を巻末に添付します。更に頁がふくらむ場合は、各要約編と、データ編の2部構成にします。
資料にボリュームがある場合は、必要最小限にとどめます。数値データは「グラフ」や「表」で表現し、簡単なコメントをつけます。別冊にする場合は、1頁に1データとして、コメントは各頁の境地餒の位置に設けます。いつの時点のものか、調査データであれば調査対象の属性や数なども明らかにします。
ですから、企画の信頼性が補強されます。現状を分析するなど、具体化計画を立案する際に利用した資料を巻末に添付します。この頁は、情報やデータの単純化、ビジュアル化などの工夫を積極的におこないます。特に資料のボリュームが多い程、その意味するところが素早く伝わるようにします。
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≪企画道具≫立案作業の効率化
「企画道具(ツール)」は、企画立案作業を効率化する際に役立ちます。
@企画準備用:企画の前提条件を整理するとか、企画作業の段取り設計をする際に使います。
A現状分析用:現状分析とは、現状の構成要素や成立要因を探がしていく作業です。「データ分析シート」「特性分析シート」などがあります。
Bアイデア発想用:具体化計画の立案で、アイデアを発想するときに使います。「スタート⇒ゴール発想シート」「キーワード発想シート」「ポジション発想シート」などがあります。
企画のツールは企画書にとって"黒子役"ですから、原則として企画書の頁を構成するわけはありません。「現状分析」の根拠とした「データ分析シート」を添付して企画の客観性を増すとか、「コンセプトの樹立」を用いた「キーワード抽出シート」を添付して、企画の正当性を裏付ける等も可能です。あくまでも作業者を支援するためのフォームです。しかし、企画書の一部として、本文頁や企画資料に盛り込む使い方もできます。
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