貝がら山遊園

プジョー307SW(T6型)

<2009年11月〜2015年2月>

307XSの東京港の写真の、翌日

 家族がまた増えることになり両親も居ますから「7人乗りのカッコイイワゴンが欲しい」と考えました。トヨタのウイッシュとかホンダのストリーム、マツダのプレマシーなども考えましたが、自宅の駐車スペースの都合で長さと幅の点から結局、同じ307のマイナーチェンジ後のSWの中古車に落ち着きました(他車にくらべ意外に全長が短いんです)。同じモデルの車に買い代える・・・というのはあまり無いのでは?(笑)本当はMT車が欲しかったのですが7人乗りのスタイリッシュワゴン車でMTというのは、輸入車を含め日本市場では全滅状態で、泣く泣くAT車にしました。

(高年式の中古車なら三菱シャリオのXとかあるのですが、15年以上昔のクルマであり、独身だったら買っていたかもしれないけど、ファミリーカーとして買うのには気が引けました)

 中古ですから選択肢はあまりありません。中古車屋の情報を毎日チェックし、2カ月間ほど、毎週末中古車屋めぐりをしました。最初、T5のSWにしようかとも思いましたが、見てまわっているうちにエンジンやサスが改良されているT6を選びました。

 色は「アビサルブルー」という、かなり黒に近い紺のメタリック。もともとこのクルマに似合う色として白か黒を探していたので、まあまあ90点。紺ですが、明るいところなら黒に見えるとか、夕日にあたると緑色に見えるとか、面白い色ではあります。



総評

納車の日。親しんだ307XSとのバトンタッチ2ショット!

 さてマイナーチェンジし、ATになり、SWになったわが家の307ですが、乗って椅子に座って眺める風景や、車体感覚は、XSと全く同じです(笑)。パノラミックルーフを満喫できる後席はずいぶん新鮮ですが、ふと視界を前方に移すと、いままでと何らかわりない日常の風景があります。家族で試乗した際、後席に乗った家内は「ウチの車で○○さん(ディーラーの営業氏)を送っているように一瞬思った」そうです(笑)。

 しかし走った感触はずいぶん違っています。別のクルマといっても良いと思います。T5XS→T6SWを試乗したときにはあまり感じませんでしたが、試乗後、T6SW→T5XSに乗り換えたときには、その違いに驚かされました。

 T5と違うといえば、走行中の異音がまったく無くなったのと、ランプの球切れも購入後1年半して1コ切れただけです(T5では3カ月に1ぺんぐらいどこか切れてました)。

動力

大井川鉄道にて

 エンジンは同じ2リッターながら、可変バルブタイミング機構がつくなどして出力は3ps上がっています。これだけ見るとたいした違いに思えないのですが、低速トルクの特性がかなり改善されていて、重いSWを軽々と加速させます。

 ただしATの特性の影響もあるのか、発進初期のトルクの出方が(加えてアクセリングの具合も)唐突なように思えます。我が家を出てすぐに登り坂の終点がT字路、という場所があるのですが、一時停止後、注意してアクセスを踏まないとロケットスタートになりがちです。

 クルージング性能、追越し加速などは良好です。高速道路での料金所からの出足や、追越し加速などはむしろXSよりも速いんじゃないか?と思います。

 ところで新エンジンのせいか、オプションのマフラーカッターをつけているせいか、車体が少し長いせいかわかりませんが、室内で聞こえるエンジン音がだいぶ違います。例えば加速していくとき、T5XSでは「ブオーン!」だったものが、T6SWでは「ガオーン!」という、機械的なノイズが混じった音に代わっています。



足まわり

伊豆のキャンプ場にて

「T5」XSでは、「国際標準」を狙い世界的にシェアが高い日本車やドイツ車に倣って固めの足回りに設定されていました。が、実際乗ってみると「固い」ことをなんだか取り違えているように思われ、ショックアブソーバーとバネの両方の固さが合ってなく ドタンバタンという感覚がありました。

 それがユーザーから不評だったのか、T6ではずいぶん改善されています。具体的には時速40〜60km程度で細かい段差を乗り越えるときに、「ブルルルン」とタイヤだけが振動するものの室内は平穏のまま、という、かつてのプジョー車のネコ足が多少は復活したような感覚を受けます。ショックが柔らかくなり同時にバネ下加重がとても軽くなった感じ、と書けばクルマに詳しい方ならわかっていただけるでしょうか(ちなみにタイヤサイズはT5と同じ)。

 T6SWに試乗した際、私もまーじも実際のところ「違い」がわかりませんでした。ですがその帰路、T5XSで帰宅したときには、あまりの違いに驚いたほどです。確かに6万km乗ったT5XSのヘタリもあるでしょうが、そんなレベルで無い本質的な違いを感じたものです。

 またT5XSもT6SWも、リアサスペンションはトレーリングリンク(セミトレをちょっと改良したもの)のはずですが、セッティングが違うようです。

 T5XSでは例えばゆるやかなカーブで外側の方輪だけがマンホールの凹みを越えるとき(ぎむぎむ家の近くにそれが連続する場所があります)、お尻が「ブルン」と外側に振られる気持ち悪い動きがありました。サスペンションが突き上げられたことを、突き上げられた反対側に車体を曲げようとしていると捉え、後輪にステアリング角が発生するようなセッティングなのでしょうか。

 ところがT6SWで同じ場所を通過しても、お尻が振られる感覚が全くありません。ハッチバックとワゴンの違いはあるかもしれませんが、ここまで違うと、構造そのもの も違うのではないか、と思えてきます。

運転装置

 さて方々で賛否両論のATですが・・・ぎむぎむは「個人的には賛成」派です。このAT、ロックアップが非常に早く、シフトチェンジのときだけトルコンを利かせていてあとは直結になってる、ように思えます。実際、止まる直前になってエンジン回転がスッと落ちます。つまりは止まる直前までロックアップしていて、停止する直前になってそれが解除されてエンジンがアイドル状態になるようです。エンジンのトルクが太いこともあり、実用車としては4速でじゅうぶんに思えます。

 運転してみると加速感はまるでMT。またアクセルから足を離したときの動きも、普通のATならスー!とそのまま転がっていったりシフトアップしたりするところですが、307のATではMT車の場合と同様、エンジンブレーキがかかります。この感覚がMT車と同じで、なんだか安心できます。

宝台樹キャンプ場(臨時サイト)

(ふだんATに乗っている方は不思議かもしれませんが、MT乗りには、AT車のあの アクセルから足を離しても減速しない感覚が、まるでクルマが勝手に加速するように 感じられて恐怖さえ覚えるのです)

 ディーラー氏に聞いたところ、ATに乗っててこれに乗り換えた人は違和感を訴えることが多いが、MTに乗ってた人には評判が良いとのこと。多少のリップサービスもあるかもしれせんが、このATの特性を物語っていると思います。実際、欧州では主流はMT。ATや、日本が得意なCVTは「気持ち悪い」として不評だとか。そういった市場の声に対応した結果なのかもしれません。先に「個人的には賛成」と書いたのが、ここです。MTに慣れたぎむぎむはMTっぽい・・・と言うかクラッチっぽい挙動をするATはとてもウェルカムですが、AT、つまりトルコンに慣れた日本のユーザにはどう映るのでしょうか。


 ちなみにこのATは、ポルシェが開発したティプトロニックが搭載されています。ポルシェのティプトロニック・・・と言うとなにか特別な仕掛けのように聞こえますが、今となっては何のことは無い、手動でガチャガチャとシフトチェンジができるトルコンATのことです。

 ネットの掲示板等で「ATのシフトタイミングが日本の道路事情にあっていない」という書き込みが多くあります。なるほど、と思いました。市街地で流れているときはおおむね時速50km後半ですが、Dレンジではこの速度域では3速で、エンジンも1800rpmぐらいで回っていてなんだか燃費悪そう。時速60kmピッタリでもまだ3速。4速になるのは時速60kmを少し超えたあたり。

 なので、というわけではありませんが、長らくMTに慣れたぎむぎむは機械に勝手に変速されるのは気持ち悪いので、ほとんどMTモードで運転してます。ただ4速は完全にオーバートップで、時速60kmではエンジン回転数が1500rpm程度。時速58kmぐらいまではなんとかなりますが、それより落ちるなら3速に落とさなくてはなりません。なので時速60kmあたりで流れているときは4速と3速をいったりきたりさせなければなりません

 で、これまた同じように2速と3速の選択が時速40km強であるものですから、40kmで流れている場合、やはり2速と3速を行ったり来たりしてしまいます。


 ちなみにMTモードで運転しているときに、例えば3速で減速していてシフトダウンしたとします。減速していくと搭載システムもエンスト防止のために時速37kmあたりで自動的にシフトダウンするのですが、手作業と自動変速が同時に起きたらどうなるか?

 答え・・両方のシフトダウンが有効となり、いきなり2つ落ちて1速に落ちます。「ブウーーーン!!」と強烈なエンジンブレーキがかかってしまい、かなり驚きます(苦笑)

外装

乗鞍岳

 307がT6にマイナーチェンジしたとき、店頭で見るT6SWを「猫バスだ」と話していました(308SWはさらに猫バスですが・・・)。407に範をとった顔は大きく口を開いたユーモラスな猫に見えます。フロントグリルの上で左右に分割されたバンパーと、下側のバックアップランプとが、上下の牙にも見えます。

 T5にくらべスッキリした分、かなりあっさりとも見え、307と言えばハッチバックを連想する私は、当初T6よりもT5の顔のほうが好きでした。

 しかしこれがSWになると違ってきました。スポーツ性を押し出したハッチバックでは多少ゴテゴテしているぐらいのほうがそれっぽく見え、長くスマートな車体を演出したいSWではスッキリしているほうがキレイに見えるようです。ちなみに後ろ姿は最近の国産ワゴン車ではゴテゴテ装飾がついているのに比べて、スッキリして大人っぽくて結構好きです。スッキリしてるのにライトバンっぽくもなく、秀悦なデザインだと思っています。

 もともと307SWを選んだ理由のひとつに、全長が短い、というものがあります。ストリームもウィッシュもプレマシーも4500mmを超えていますが、307SWは4420mmです。わが家の駐車場はまーじのムーブとの縦列駐車で、しかも面した道路の道幅が2m程度しか無いために、長い車では停めるのが困難なのです。


内装

(内装写した写真があればよかったのですが、そういえば撮ったこと無かった・・・)

エコーバレースキー場近くのペンションにて

 前席から見る風景は、あたりまえですがT5XSとかわりばえありません(但しMTのシフトレバーがATのセレクターレバーに変わったのと、オーディオが純正品に変わりました。後記)。ただしシートはT5にくらべいくぶん柔らかくなったように思います。ネット等でいろいろ調べると、T5のカチッとした硬い感触がどうも不評だったようで、足まわりの修正とあわせてシートも柔らかめに変えたようです。

 2列目席は当然、T5XSとまるで変わっています。T5XSでは2−1の分割型だったものが、T6SWでは3分割となり、左右中それぞれが前後移動、リクライニングできます。1人ごとに座面と背もたれが作られているため、大柄な人が座ると窮屈に感じるかもしれません。

 この車は7人乗りのため3列目が2席分あります。大きさは2列目といっしょ。ただし足元が浅いので長時間のドライブは辛いでしょう。また2列目と3列目は椅子が外せます。私は普段3列目は外して押し入れにしまっています。もともと7人乗り前提で2列目が広くない分、3列目を外すとラゲッジがかなり広大で、キャンプ用品どかどか積んでしかしルームラーから後ろがちゃんと見えるようにできます(それが目当てでこのクルマ買ったようなもの)。

 ちなみに3列目を残して2列目だけ外すと「ストレッチリムジン」に乗ってるみたいなゴージャス感に、2・3列目両方外すとライトバンみたいに大きな荷物も入ります。

 安全面では、後中央席にも3点式シートベルトが装備されているばかりか、しかもそれはしっかりと車体に固定されているところが立派。具体的にはなんと天井から生えているのです。こんな構造、見たことないでしょう。

アクセサリ装置

 T5と同じです。以上・・・(笑)

 ・・・では寂しいので少し書きますと、SWの目玉であるパノラミックルーフが装備されています。天井がガラスでできていて、電動式のサンシェードを前席間のスイッチで開閉できます。昔乗っていたサニーがサンルーフがついていましたが、その再来っぽくて懐かしいです。全開にすると2列目席の頭の上まで開きますので、解放感はかなりあります。我が家では主にポン子(下の子)がグズり始めた時の気分転換に使っていました。1列目の頭上から開くので、2・3列目席に座ると解放感ありますが、1列目席ではあまり恩恵がありません(苦笑)。

 あとこの車にはラジオつきCDデッキがついているのですがこれがちょっとクセもので、動作モードがダッシュボード上のELパネルに表示されるばかりか、ドライブコンピュータの設定スイッチを兼ねてる、つまり307SWの機能の一部を担っていて社外品に交換できないのです。いちど調子悪くなりましたが、安い社外品に変えられないので頑張って修理しました。

 このCDデッキには、ディーラーでマイコンの設定を変更してもらう必要があるのですがAUX入力があり外部音源の接続ができます。ただしAUXはレコードプレーヤーの規格なので、一般のヘッドホン出力を繋げても電圧が足りず聞こえません。そこで簡単な昇圧回路(トランスを逆接続)を作って仕込み、MP3プレーヤーを繋いで音楽を楽しんでいました(ブログ記事参照)。

 また細かい話ですが、ダッシュボード上のドライブコンピュータ(というほど大げさなものではありませんが)の表示がT5とは変わっています。


 メータークラスタ



 ところで、これが307SWのメータークラスターですが、スピードメーターは細かいひと目盛が2km/h。で、タコメーターは・・・


 メータークラスタ



 ん・・・???ひと目盛何回転???

 ちなみに水温計と燃料計も、ひと目盛いくつか迷います(笑)


燃費

 1週間にいちど近場に出かけて帰りに近所のスーパーで買い物、1カ月にいちど高速道路。そんな使い方で、燃費はリッター10.2kmです。


AL4の故障

 4速オートマの「AL4」で有名なソレノイドバルブの不具合が起きました。走行8万kmぐらいで、特にエンブレで坂を下りているときに、突然「ドカン!!」と壁に激突したような衝撃!これが数回起き入院。有名な故障で、ソレゾイドバルブ交換やフラッシングで約6万円の出費でした。いやこの不具合が起きた数回はいずれもたまたま時速10kmぐらいで走っていたときでしたが、高速道路走行中に起きてたら確実に大事故だったよ。

想い出

乗鞍岳

 ぎむぎむ家で子供たちが幼児〜小学生の頃のマイカーということで、家族旅行が頻繁にあって大活躍した時代の車でした。その分、家族と写っている写真も多いし、T5・307の経験も踏まえて外車ならではの細かい不具合をDIYでいろいろ解決していったある意味楽しませてもらった車です。

乗鞍岳

 この写真は、次の308SWを契約して納車を1週間後に控えたラストドライブ。長野県は車山スキー場に訪れた、帰り支度を終え家路に向かうときの様子です。

 帰宅後の翌日、椅子やカーペットは外して水洗いしフロアは掃除機で掃除。エンジンルームは電装品をビニール袋でマスキングして、洗剤をぶっかけて水洗い。外装は水洗い後、9000番のコンパウンドと電動ポリッシャーで研磨。ピカピカにしました。

 手放す最終日の前日には、フランス産の赤ワインを買ってきまして車に振りかけて、私もおこぼれを頂戴しました(もちろんそのあと水洗車しました)。

 たくさんの思い出をありがとう!家族全員、楽しかったよ!



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