電気の伝わり方

 前の章の実験では、電池で電気が導線を伝わって電球を光らせた訳ですが、この章ではもう少しだけ電気の伝わり方を詳しく見てみることにしましょう。


 電池で発生した電気は導線で電球と接続すれば必ず光るかどうかを確かめることにします。まず、下記のように電池と電球を接続してみてください。

 これは前の章の実験と同じ接続です。当然、電球は下の写真のように明るく光ります。

 つぎに、下記のように電池と電球を接続してみてください。接続するというよりは、上の接続から一箇所接続をはずす感じになります。

 すると、下の写真のように電球は点燈しません。

 一箇所接続が切れているといっても、間違いなく電池と電球は導線で接続されています。にもかかわらず、電球が点燈しないということはどういうことなのでしょう?

 実は、電気は電池から出て行きっぱなしという流れ方は決してしません。電池から流れ出した電気は必ず電池に戻ってくるのです。逆に、そういう経路が無い限り電気は流れることはないともいえます。電気が電池のどちらから流れ出してどちらに戻ってくるかということは実は本質的ではないのですが、便宜上電池の飛び出た方(+極)から電気が流れ出して飛び出ていない方(−極)に電気が戻ってくると考えることにしましょう。このような電気の流れを電流と呼んでいます。電流は、+から−へ流れる、つまり、下の図のように流れるわけです。


 ところで、KamiSimを用いて上記の実験をシミュレートするにはつぎのような注意点があります。電池に電球、接地を画面上に配置して接続するところまでは前の章と同じなのですが、どこにもつながらない電球の片一方の端子(黒い四角)をどうするかが問題です。実は、この黒い四角は必ず配線しないとKamiSimはうまくシミュレーションを実行できません。どこにも接続しない端子は、「Device」メニューの中にある「開放端」を配置してこれに接続してください。開放端はどこにも接続されていないことを示す架空の部品です。これで、下のように回路を作成してください。

[Aug.1, 2001]※KamiSimのバージョンアップに伴って、画像を差し替えています。

 これで、シミュレーションを実行する(「Simulate」メニューから「直流解析」を選択する)とシミュレーションが実行されます。といっても、実験で確かめたように、電池から流れ出した電流が電池に戻る経路が無い限り電流は流れませんので当然電球は点燈しません。ですから、特に画面に変化は現れないことになります。(直流解析が終わったことを示すためにステータスバーに「DC解析」と表示されますが)

 ちなみに、どこにも接続されていない端子があるとKamiSimはエラーメッセージを表示しますが、これもちょっと不親切でしたね。すべての端子を接続しなければならない旨を表示するように、近いうちに改めるようにします。宿題が、2章連続できてしまいました。

[Aug.1, 2001]KamiSimのバージョンアップに伴う修正: どこにも接続されていない端子があると、KamiSimはすべての端子を接続するようにメッセージを表示しますので、もしどこにも接続したくない端子がある場合には開放端を配置してこれに該当する端子を接続して再度解析を実行してください。


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