電気の伝わるもの・伝わらないものの働き

 前回は電気をよく流すもの(金属)、多少流すもの(鉛筆の芯)、流さないもの(ゴム)があることを確かめました。今回は、電気をよく流すものとか流さないものがいったい何をしているのかを考えてみましょう。すこし、ごちゃごちゃしているので難しく感じられるかもしれませんが、冷静になれば決して難しくありません。落ち着いて実験してください。


  前回は電気をよく流すもの(金属)、多少流すもの(鉛筆の芯)、流さないもの(ゴム)があることを確かめました。今回は、電気をよく流すものとか流さないものがいったい何をしているのかを考えてみましょう。すこし、ごちゃごちゃしているので難しく感じられるかもしれませんが、冷静になれば決して難しくありません。落ち着いて実験してください。

 実験は、シャープペンシルの芯をつかって行います。まず、普通に豆電球と電池を接続するとこれまで何度も行ったように豆電球は明るく輝きます。

 次に、シャープペンシルの芯を一本電池と豆電球の間に挿入します。豆電球は暗いながらも点灯します。

 シャープペンシルの芯をさらに一本追加して見ましょう。豆電球はさらに暗くなりますが何とか点灯しているようです。

 こんどは気分を変えて、シャープペンシルの芯を二本並べて挿入してみましょう。シャープペンシルの芯を挿入しないときにはかないませんが、かなり明るく点灯します。

 以上の実験結果をまとめてみましょう。カッコ内は明るさの順番です。

芯無し 芯一本 芯二本を順番に接続 芯二本を並べて接続
最も明るい(1) 暗い(3) とっても暗い(4) それなりに明るい(2)

 シャープペンシルの芯にどのような働きがあれば上のような実験結果になるか分かりますか?しばらく考えてみましょう。

 実は、シャープペンシルの芯には「電気が流れるのを邪魔しようとする」働きがあるのです。電池には電気を流そうとする働きがあるので、これを妨害する働きがあると理解してください。これをもとに、上の実験結果を説明してみます。

1)シャープペンシルの芯なし

 電気が流れるのを妨害するものを余分にいれていないので、電池の電気を流そうとする働きのおかげで多くの電気が流れて豆電球は明るく輝きます。

2)芯一本

 電気が流れるのを妨害するものが入ったので、電池の電気を流そうとする働きが妨害されて電気が流れる量が減ってしまいます。当然、豆電球は1と比べて暗くなってしまいます。これは、電流が通る道がシャープペンシルの芯の部分では非常に細くなっている(どちらかといえば、ぬかるんでいて通りにくいというイメージのほうが正確かも...)ので電流が通りにくくなっていると考えていただいてもかまいません。

3)芯二本順番に接続

 電気が流れるのを妨害するものが2本も入っています。まず、1本目の芯で電気の流れが妨害されて、さらに2本目でもっと電気の流れが妨害されるので、流れる電気は非常に少なくなります。結果として、豆電球は非常に暗くなってしまいます。これは、シャープペンシルの芯という細い(または、ぬかるんでいる)電流の通り道が2倍の長さあるのでますます電流が流れにくくなっていると考えればよいのです。なお、このように順番に2つ以上のものをつなぐことを直列(in series)に接続すると呼んでいます。

4)芯二本並べて接続

 電気が流れるのを妨害するものが並んで2本入っているという状況では何が起こるのでしょう?実は、片一方の芯に妨害されても、もう片方を通れば良いやというわけで、何も無いときよりは電流は流れにくいのですが、シャープペンシルの芯が1本だけのときと比べると電流が流れやすいというややこしい結果になります。結果として、豆電球は何も入れないときよりは暗いものの、シャープペンシルの芯1本の時よりは明るくなります。これは、細い電流の通り道でも2本あれば多少通りやすくなると考えてください。なお、このように並べて2つ以上のものをつなぐことを並列(in parallel)に接続すると呼んでいます。

 次回は、豆電球を2つ用いてもう少しだけ直列接続と並列接続を調べてみることにします。


 ところで、KamiSimを用いて上記の実験をするにはどうすればよいのでしょう。電池、電球はKamiSimに用意されていますが、問題はシャープペンシルの芯ですね。もちろん、KamiSimにはシャープペンシルの芯などというデバイスは用意されていません。やはり、前の章と同じく、シャープペンシルの芯をResistor(抵抗器)とデバイスを用いて表現することにします。実験のシミュレーションでは、次のようなデバイス設定をして下さい。

電池: VDC(直流電源)に3を設定。(3Vの電源の意味)

電球: Lamp(電球)に3と0.5を設定。(3V・0.5Wの電球の意味)

[Aug.1, 2001]訂正: 電球: Lamp(電球)に3と1を設定。(3V・1Wの電球の意味)

シャープペンシルの芯: Resistor(抵抗器)に2を設定。(2Ωの抵抗の意味)

電球のみを接続した場合のシミュレーション結果

[Aug.1, 2001]※KamiSimのバージョンアップに伴って、画像を差し替えています。

シャープペンシルの芯1本を挿入した場合のシミュレーション結果

[Aug.1, 2001]※KamiSimのバージョンアップに伴って、画像を差し替えています。

シャープペンシルの芯2本を直列に挿入した場合のシミュレーション結果

[Aug.1, 2001]※KamiSimのバージョンアップに伴って、画像を差し替えています。

シャープペンシルの芯2本を並列に挿入した場合のシミュレーション結果

[Aug.1, 2001]※KamiSimのバージョンアップに伴って、画像を差し替えています。

 2章に続けて、Resistor(抵抗器)デバイスに2という数字を入力して使用しました。この数字の意味を解説しなければならないのですが、これは後の章でおいおい説明していく予定ですので、気持ち悪いと思いますがしばらくはこういうものだと思っておいてください。


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