スイッチ

 今までは、電気回路を作ってしまった状態、つまり、電流が流れるときには流れっぱなし、流れないときには全く流れないままという状態を実験してきました。実際の私たちの身の回りの電気製品は大抵、使うときには電流を流し、使わないときには流さないようになっています。このように電流を流したり流さなかったりを切り替える部品はご存知のとおり、スイッチと呼ばれています。

 では、早速スイッチの仕組みを見ていくことにしましょう。


 すでに、大まかに言って金属は電流を流し、大抵のプラスチックやゴム、木などはほとんど電流を流さないことを確かめています。もちろん、金属と金属が離れていない場合−間に空気が挟まっていると考えられます−には当然電流は流れません。ということは、電流を流したいときには金属同士が接触し、電流を流したくないときには金属同士が離れるようにすればスイッチとして働くことになります・・・というか、一般にスイッチというと大抵はこういう仕組みになっています。これらの具体的な仕組みは、回路記号を見れば一目瞭然です。次の図は、一般のスイッチの回路記号です。

 左がスイッチオフの状態、つまり電流が流れない状態を示しており、右がスイッチオンの状態、つまり電流が流れる状態を示しています。要は、黒い線が金属片を表していて、丸が接点の金属を現しているわけです。オフの状態では金属片と接点が離れているので電流が流れない、オンの状態では金属片と接点が接触しているので電流が流れるというわけです。スイッチには、次のような回路記号も使われます。実は、前出のものと多少違う概念も含んでいるのですが、今のところは同じ意味と考えていただいて結構です。もちろん、右がスイッチオン状態です。

 ところで、スイッチオンの状態をスイッチが閉じている(closed)といいます 。また、スイッチオフの状態をスイッチが開いている(opened)といいます。接点部分の様子を見れば、確かに閉じているときがスイッチオン、開いているときがスイッチオフなのは明らかなのですが、なんとなく紛らわしいので注意してください。

 さて、単にオン/オフを切り替えるだけではなく、もう少し凝ったスイッチが良く使われています。そのスイッチは次のようなものです。

 一番左の状態では、左側の接点と右側の上側の接点が接続しています。一番右の状態では、左側の接点と右側の下側の接点が接続しています。そして、真ん中の状態ではどこにも接続していません。このようなスイッチは、電流を流す・流さないだけではなく、電流をどこに流すかということも切り替えることができるので、いろいろと便利な使い方ができます。この場合は1対2の場合でしたが、1対3とかそれ以上のものもつくられており、マルチプレクサと呼ばれることもあります。

 さて、このスイッチの便利な使い方は後で考えるとして、まずはこのスイッチを作ってみることにしましょう。

   

 仕組みは分かっていただけるでしょうか?木の板にレバーになる木片を回転できるようにネジで取り付け、木片をゴムで引っ張ることによってレバーが左や右に押し付けられるようにします。そして、接点になるネジ(金属製なので電流が流れるのです)とレバーの接触するところに針金を巻いて、電流が流れるようにしてあります。次の図を見ればよりはっきりするでしょう。

 さて、このスイッチを使って、電球をつけたり消したりしてみましょう。

 

 説明は不要ですね。スイッチを操作することで電球をつけたり消したりできています。さて、せっかく2接点のスイッチを作ったのですから、この特徴を活かした実験をしてみましょう。

   

 この結果も説明不要でしょう。スイッチのレバーを左にするか、右にするかで別の電球を点燈させることができるわけです。もちろん、真ん中にすれば電球はどちらも消燈というわけですね。

 さて、スイッチの接点で操作すると閉じる(電流が流れる)ものをメイク(make)接点、操作すると開く(電流が流れなくなる)ものをブレイク(break)接点といったりするのですが、今回作ったスイッチは、操作すると片方の接点は閉じ、もう一方の接点は開くので、メイクブレイク(make-break)接点ということができます。これを用いると、2ヶ所のスイッチのどちらを操作しても電燈をつけたり消したりすることができます。たとえば、1階と2階の両方にスイッチがついていて、どちらを操作しても階段についている電燈をつけたり消したりできるようになっている建物がありますが、こういう場合にメイクブレイクスイッチが使われています。ところで、メイクブレイクスイッチをどのように使えば、こういう建物の電気配線をつくることができるか分かりますか?次回までに、考えておいてください。


 ところで、いつもならKamiSimで実験をシミュレートしてみるのですが、スイッチが開いているときは電気的には回路が途中で切れているだけなので開放(Open)デバイスを接続するだけ、スイッチが閉じているときは電気的には回路がつながっているだけなのでまさに配線するだけです。つまり、スイッチが開いているとき、閉じているときの状態はすでにシミュレートしてきたとおりですが、スイッチを操作するということは回路を変化させるということなので、おのおのの状態をシミュレートすることはできます。しかし、スイッチ操作そのものはKamiSimでシミュレートする類の内容ではないのです。というわけで、今回はKamiSimによる実験はお休みです。


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