黒部川源頭部縦走     平成20年8月10日ー14日

コースタイム
10日、折立登山口6;50〜10;40太郎小屋
11日、太郎小屋5;30〜9;50黒部五郎岳〜12;30黒部五郎小舎
12日、黒部五郎小舎5;20〜7;00三俣蓮華岳〜8;30三俣小屋8;40〜9;40鷲羽岳〜11;40水晶小屋
13日、水晶小屋4;50〜5;25水晶岳5;35〜7;55赤牛岳8;10〜11;40奥黒部ヒュッテ12;20〜13;40平ノ渡14;00〜14;40平ノ小屋
14日、平ノ小屋6;10〜ロッジくろよん8;35〜8;55黒四ダム


有峰湖展望台
8月10日 
前夜の22:30新宿都庁駐車場で、さわやか信州号に乗り有峰口駅前まで行く。一台のタクシーが待っていて、4人ならバス代と同じくらいで折立に行くというので声を掛けて4人を集めた。ゲート前にはもう10台ほどの自家用車が待っている。ゲートの開くのを待って通過する。有峰湖展望台で写真撮影のため停まってくれた。タクシーならではのサービスです。登山口で軽く朝食を食べ足回りを整え、日焼け止めをたっぷり塗って出発する。

樹林帯を抜けて三角点のベンチで休憩を取る。日差しが強くなってきたのでバンダナを帽子の間に挟み首筋にたらす。薬師岳を眺めながら広い木段道を登り五光岩のベンチで休憩。ゆっくり歩いたが10;40ころには太郎小屋に着いてしまった。

今日はここで泊まりなので早速ビールとカレーライスも買って1日目の終了祝いをする。タクシーで一緒だった人としばらくベンチで話し込んだ。テン場まで行きツエルトを張ってみたが快適ではないので小屋に戻って申し込みをした。今回は昨年の重装備に懲りたので夕食だけの小屋泊まりと、決めてきたがもし混雑がひどいような場合はツエルトにしようと思っている。この日は一人一枚の布団を確保でた。昨日は倍ぐらいの人だったそうです。

太郎小屋を目指し、木道歩き

左から笠ヶ岳、乗鞍岳、御嶽山
8月11日
今日の行程は黒部五郎小舎までと、短いので遅出でよいが、暑さを避けるため早く歩き出す。朝食はゆで時間3分のペンネに明太子を混ぜるだけ、オニオンスープとコーヒーで済ませた。歩き出して10分池塘とチングルマの白い痩果が咲き広がるところに雷鳥の親子が5匹歩いていた。

朝から快晴これから進む稜線がくっきりと見える。更におくには槍ヶ岳がはっきりと尖鋭を見せている。神岡新道を分けて北ノ俣岳に着く。笠ヶ岳、乗鞍岳、御岳とが見えてきた。赤木沢の源頭部を興味深く覗きながら赤木岳を通過、黒部五郎岳に着く。山頂名の書かれた板を持って記念撮影をする。

これだと好きな背景に出来るし、逆光にならなくて好都合だ。相当時間を山頂で過ごし、すこし戻ってカール道で巻くようにして下ると、まもなく冷たい水の流れに出会い、のどを潤し、昼食のラーメンを食べ、コーヒーを淹れてしばらくのんびりと過ごす。まもなく黒部五郎小舎に着いた。小屋前のベンチで定番の缶ビールで時間をすごす。この日も一人一枚の布団にありつけた。

笠ヶ岳を後に、黒部五郎岳

黒部五郎岳
8月12日
バターロールパンをすこし焼き、ソーセージをスライスしてこれもすこし焼いてパンにはさんで朝食にした。コーンスープとコーヒーを飲む。五郎カールに朝日が差込み輝き始めたのを眺めて出発した。樹林をすこし登り、振り向くと、池塘の端に黒部五郎小舎の赤い屋根が見える。ハイマツのなだらかな尾根に出ると笠ヶ岳が目に付く、やがて三俣蓮華岳の山頂だ。北アルプス、立山の最深部に到達した。

絶好の展望日和に恵まれた。槍ヶ岳が一気に近づき憧れの北鎌尾根、未踏の西鎌尾根をしっかりと確認する。象の頭のように鷲羽岳が見え、その鼻の先の鞍部に三俣山荘が見えている。ワリモ岳〜水晶岳も近くなった。祖父岳を頭になだらかな台地、雲の平が広がり、中央には雲の平山荘が見える。祖父岳の左肩の先には赤牛岳が小さく見え、はるか遠くの感じだ。やや赤みを帯びて薬師岳がどっしりと居座り、そのすそが緩やかになった付近が今回の歩き出しだ。

黒部五郎岳はカールを抱いて実に華麗な姿だ。見飽きることの無い展望に満足して、三俣小屋に下った。小屋でカップラーメンを買って食料の補充をした。小屋前の水場で冷やしたりんごをひとつ食べてみた、まだりんごの季節ではなく、下界では食べる気になれない代物だった。鷲羽池越しに硫黄尾根、北鎌尾根、大天井岳から東鎌尾根の一部が槍ヶ岳に向かって幾重にも伸びて様相は見事だ。忘れないでほしいと、常念岳が頭を出して、存在感を誇示していた。鷲羽岳の頂上は今までのピークでは一番の人たちがいて、とても賑やかだった。三俣蓮華に勝る展望です。

三俣蓮華では写真を撮るのに忙しく、あまりの展望に圧倒されされてしまったが、ここではコーヒーを飲みながら落ち着いて展望を満喫することが出来た。水晶小屋で泊まりの申し込みをしたら3番目でした。布団一枚に2人の割りで詰めていたが5時ころには2枚に3人と変更され、予想していた混雑では無く助かった。読売新道に向かう人には1リットル余分に水を分けてくれる。寝るときに聞くと4人が同じコースと言うことだった。偶然、隣の方が読売新道を下りるというのでご一緒してもらうことになり安心して休んだ。


中央雪渓のある祖父岳
右奥に水晶岳、左に小さく赤牛岳が見える

迫力ある薬師岳
8月13日
小屋の出口でパンとスープの軽い朝食を済ませて水晶岳に向かう。途中、野口五郎岳より登るご来光を拝む、黒部五郎が光を受けて最初に光りだした。五郎が対峙しているのを興味深く眺めた。

水晶岳にいた若い男女ペアーが読売新道に下りるとのこと、これで水晶小屋からの4人そろったことになる。今日は長い道中なので、早々にピークを後にした。左下に高天原山荘を見るとまもなく温泉沢ノ頭で、平地はビバークできる。温泉への道は薄い、ここにはザックがデポされていた。ほぼ稜線を行くが一部で左に外し下に向かっていたので少し下ると踏み後が消えた。

上から「こちらですよ」と声を掛けられトラバースで稜線に戻った。ハイマツが消え、賽の河原のようなところに出ると、そこからは大石のゴーロと岩場の急登になった。赤牛岳には先ほど声を掛けてくれた人がいた。デポザックの持ち主で、ここから戻って高天ヶ原温泉に下るそうです。薬師岳をこれだけアップで見ると迫力がる。黒部湖の左岸に立山、右岸には針ノ木岳、その奥には白馬連峰とここならでは展望だった。

同行者の方は下りが苦手というので先行させてもらった。テント泊の単独女性に抜かされた。岩岳乗越から来たという、今日はロッジくろよん迄行く予定と聞きびっくりした。ザレた急下降に痩せ尾根、岩場のトラバースを過ぎると樹林帯の入る。5人の登りの人と会った。この道を登りに使うにはかなりの気合が要るだろう。奥黒部ヒュッテには意外と早く着いてしまった。同行の御仁とここで泊まろうと約束していたので冷えたビールを飲みながら小屋番の若者と話しながら待つことにした。

40分以上待っても来ない、小屋番さんはまだ早いので先に進んだほうがいいとアドバイスしてくれるので平の小屋まで行くことを言伝して先に進んだ。アルミの階段で上り下り、この繰り返しで嫌気がさす巻き道を歩く。すれ違った人は10人を超えるが皆さん上の廊下か東谷沢へ入る人たちでした平の渡に着くと赤牛岳で抜いていった単独女性が船を待っていた。平の小屋には東谷沢に明日から入るいう6人パーティーがいた。半分は香港から来たそうです。ここまでくるとハイキングや釣り人もいて今までの小屋とは雰囲気が変わる。

左に立山、右に針ノ木岳中央に黒部湖
中央奥に白馬岳

うんざりする梯子
8月14日
昨夜の天気予報は午後から雨の予報でした。計画では針ノ木谷を登るつもりだったがまたの機会にすることにした。小屋の庭で朝食を作っているとかなりの年配の方が針ノ木谷を登るといって船着場に向かっていった。同行者がいると心強いとも思ったがまだ出かける準備も出来ていないし,昨日までの疲れがピークになっていて気力が不十分で諦めた。

地形図では想像がつかないはしごのアップダウン道を嫌というほど歩き、ようやく、ロッジくろよんに着いた。ここからは舗装された平坦道で観光船のキップ売り場に着くと一気に都会の雑踏が押し寄せてきた。小雨の降るダム上を放流を眺めながら対岸に移動してトロリーバスに乗って扇沢駅に着くとこちらは天気もよく明るい空だった。

大町温泉薬師の湯で汗を流して帰路に着いた。昨年のテント泊より数段楽ができ、小屋は有難さを知る。テン場で知ったが夕食だけ小屋で食べて、テントに泊まる人もいて、今度試してみようと思った。夕食だけ1500円ほどだったと思う。

かんば橋
渡ると人、人、人