大峯奥駆 南部    平成22年9月23日ー27日   TOP  BACK

コースタイム
1日目 東京=新大阪=大阪阿部野橋14;40=15;50大和上市16;25=17;00杉の湯17;10=18;36池原民宿(泊)
2日目 池原5;30=6;05小中坊ゲート6;10〜太古の辻8;35〜地蔵岳10;35〜涅槃岳11;50〜13;00持経ノ宿(泊)
3日目 持経ノ宿5;10〜平治ノ宿6;00〜行仙宿山小屋8;40〜笠捨山10;40〜地蔵岳11;45〜21世紀の森分岐14;20〜13;00上葛川民宿(泊)
4日目 上葛川民宿5;10〜花折塚7;20〜玉置山8;20〜五大尊岳11;55〜七越峰15;35〜16;45本宮=17;15湯峯温泉民宿(泊)
5日目 湯ノ峯温泉8;03=8;19本宮9;25=11;26紀伊田辺12;40=14;49新大阪15;00=17:45東京
 

 
大和上市
ここから始まる
1日目
5連休にして、室堂〜仙人池 〜阿曽原温泉を計画した。裏剣を見て、うまくいったら、下ノ廊下で黒部ダムに出る予定にしたところ、22日に室堂に電話すると、大雨と濃霧で明日はもっと悪いといわれた。25日と26日はよさそうだが出だしが大雨じゃ気乗りしない。23日は全国的に雨模様でその後、南が比較的よさそうだったので春に撤退し虫食い状態の奥駆けの続きに挑戦した。23日は雨なので移動日に当てた。新幹線で新大阪に着くと在来線が大雨のため遅れていた。
1時間ほど余裕を持って出てきてよかった。大阪阿部野橋から特急吉野行きで大和上市駅に降りた。大台ケ原に行ったとき降りた駅だ、杉の湯行きのバスで終点まで行き、下桑原行きに乗り換えた。乗客は二人だけでした。池原というところで降りた。今年の春に奥駆けを実施したとき、あまりの暑さと疲れのため、前鬼口に下山した。そのときバスの運転手さんのアドバイスで泊まった民宿「カーブのお店」に泊まることにした(素泊まり2500円)。この民宿は下がコンビニで食べ物は買えるが、小中坊で自炊の予定だったので荷物軽減のため、お米をたいて夕食を作った。食後、梨を買って食べてた。
 
小中坊の宿舎
2日目
翌朝、タクシーで小中坊の手前のゲートまで行ってもらった(タクシー代7500円)本当の代金は3500ほどだが、往復料金が普通らしい。でも、長い退屈な林道歩きが 30分ですむのには代えられない。泊まる予定だった宿坊を覗いて、
で水を補給し、合計3Lを背負って出発した。前回、下った道だが意外と覚えてないものでテープを頼りに登る。二つ岩で休憩、太古ノ辻で稜線に出ると冷たい風が吹き寒かった。穏やかな笹薮のトレースで小さなアップダウンを繰り返して天狗山に着く。奥守山山頂付近はつつじの紅葉が始まっていた。
いい雰囲気のブナ林があったりして癒されながら歩くことができる。ガスが出てきたと思ったら雨が降り出してきた。般若岳に着くと4人パーテーが休憩中でした。夕べ小中坊に泊まったとのこと、一緒になっていたかもしれない。


紅葉の始まり
 
持経の宿に着く。広く、囲炉裏があってなかなかよさそうな雰囲気だった。
問題は水だ、ここまで林道が来ている、その林道を400mほど下ると水場の標識があったが岩に張り付くような細い流れで笹の葉を使って3Lを集める。小屋に戻ると、先ほど抜いた4人パーテーがやってきた。
皆さん、明日が玉置神社に予約したので平治ノ宿まで進むといって小休憩をして出て行った。13時とまだ早いので先に行きたいところだが水を得られる確証はなく、今年は特に渇水で水が少ないと聞いていたので早々と泊まりに決定した。その後誰も訪れることもなく、一人広い小屋に泊まった。豊富な薪のおかげで盛大に焚き火ができ、退屈も、寂しいこともなかった。ただ、煙が充満した部屋は人間燻製の状態で衣服は帰るまでにおいが残った。
毛布がたくさん備えられていて快適な一夜を過ごせた。

 
 
持経の宿
ありがたい囲炉裏火

 行仙宿山小屋
登山道の整備の準備
3日目
5時すこし過ぎると薄明るくなってきたが曇りのため懐電をつけて出発した。林道を僅か進んだところから尾根道に入る。大峯巨樹ナラの木を通り過ぎて、平治の宿に着いたころにはすっかり明るくなった。小屋の名前が平治宿山小屋となっていた。持経の宿より小さいが囲炉裏はあった。朝から強風が吹き荒れ、この日は一日風が強かった。
クサリ場をひとつ超えると倶利伽羅岳に着いた。開けて展望の良いところを通過したが馴染みのない山域でわからなかった。大きなパラボラアンテナが立つ、行仙山に着き小休憩をする。行仙宿山小屋は3棟ほどあって大きな宿です。中も囲炉裏と煙突があり快適そうなところでした。写真を撮って通り過ぎようとすると裏のほうで音がするので顔を出してみると管理人さんが登山道修理の丸太を切断していた。話好きな方でコーヒーをご馳走になってつい長居をしてしまった。ここも今年は水が涸れているといっていた。平治の宿も落ちる水滴を貯めているそうで持経の宿が一番流れているということで泊りが正解だった。
杉の老木、変形し奇妙な姿のブナなどを見ながら歩く。雨の多い地域のため樹木の生育がよく、たくましい木が見られる。
 
しぶとく生きるブナ
 
笠捨山
笠捨山に着いた。山頂はすこし開けていて、道祖神の石像があった。ここで今晩の宿にと、考えていた上葛川の民宿に電話を試みたが圏外だった。大和上市駅でバスを待ったとき、もし水が取れなかったときにはと、民宿「うらしま」に電話をしてみたところ笠捨山から通じるのでそこに着いたとき電話をくれと言われた。通じないので先に進む。
送電線の管理道と思われるところが2〜3箇所あり心配しながら歩く。槍ヶ岳を巻くようにクサリ場が続き、木の根につかまりながら地蔵岳に着く。ここでも携帯は圏外だった。
地蔵から25分ほど下ったところに水場10分の案内があったがたぶん涸れているだろうと通過した。上葛川への分岐を過ぎて香精山についた。塔ノ谷峠を過ぎたところでもう一度携帯を開けてみると通信可能だった。民宿に電話をしてみると宿泊OKだった。通じないときは上葛川と反対側に降りると21世紀の森公園に水道があるのでそこにテントを張るつもりだったがこれで一安心です。上葛川への分岐には民宿「うらしま」の標識がありました。反対側には21世紀の森と吉野宿の水の案内があった。上葛川のバス停からだらだらと車道を登るが意外ときつい道だった。
民宿はおばさん一人でやっていて、お世辞にもきれいではない。領収書ももらえなかった。しかし、奥駆けの人にとってはお助け宿の存在で大変ありがたいところです。本宮大社で奥駆けを終了した人が昨日「うらしま」に泊まって1日で本宮まで来たと聞いていたのが役に立った。夕食のとき奈良から来た御夫婦が一緒になり山談義が楽しかった。明日、笠捨山に登るとのことでした。

 
 
上葛川 左奥が民宿

玉置山展望台
 
 4日目
早めに起きだし、カップラーメンで朝食を済ませて、夕べ作ってもらったおにぎりを持って出る。まだ民宿の人も起きていない、月明かりで意外と明るい。今日は天気はよさそうです。昨日、喘ぎながら歩いた車道も意外と短いものだった。
奥駆道に戻ると大音量の音楽が聞こえてきた。21世紀の森の辺りで音楽のイベントが行われているらしい。昨日、テント泊をしてたらとても寝られなかったと思う。如意宝珠岳を過ぎると車道にいったん出る。奥賭道は車道と接近しながら伸びていて里に近い感じがする。玉置山展望台によって休憩をした。カツエ坂を登って玉置山山頂に着く。
急坂を下ると玉置神社の裏手に出て社務所に着いた。この先、テント泊をするなら水を余分に補給して進もうと思うが天気もよくここまで快調に来ているので一気に本宮まで飛ばすことにして水の補給はしなかった。
ここからは今春に通った道でいくらか気が楽です。
 
熊野川と大鳥居
五大尊岳を過ぎるころにはばて気味になって、足の上がりが鈍くなってきた。暑さも増してきて水の補給が午前中より頻繁するようになった。玉置神社で補給すればよかったと悔いる。熊野川が見下ろせるようになると気分も楽になるがまだ先が長い。この先の何気ないアップダウンが厳しい。電波塔のある展望台から熊野川と大鳥居を見下ろす。春のときはちょうど田植えの時期で水面が光っていたが今は稲は刈り取られその後に何か作付けされたか緑の畑が見える。4ヶ月しかたたないが季節が変った実感がする。七越峰で最後かと思うとまだ何回もの小ピークがあって、最後まで奥賭の厳しさを 味わうのでした。熊野川のかわらに下りた。5月のときより水量は少ないが今回は備崎橋を渡って車道を歩いて本宮に着いたのはほぼ5時でした。


大社で完了の記念 
12時間の歩きで大社に着いた充実感に浸る余裕はなく、宿探しをしなくてはと思う。タクシー乗り場には1台もいない、お土産やさんで聞くとこの時間は帰ってしまうとのこと。
急いで、観光案内所に走るとまだ開いていた。湯ノ峰温泉で一番安く泊まれるところを紹介してほしいとお願いしたら、2軒が本日はお休み、3件目は食事が出せない、4件目でようやくOKが取れた。民宿「やまね」の場所を教えてもらいバス停に走った。バス停には見た顔が並んでいた。なんと山中でお会いした4人パーテーの人たちで、偶然、泊まるところも同じでした。皆さんはネットで調べて、よさそうだったので予約したそうです。
鄙びた感じの民宿、明るい母娘が迎えてくれた。早速、公衆浴場に行く、歴史を感じるいい雰囲気のお風呂はやや熱めだが疲れた足にはやさしかった。
夕食は4人パーテーと一緒、特別料理を追加したとのこと我輩より豪華だ。彼らも奥駆の完歩ということで一緒に乾杯させてもらった。聞くと「比良雪稜会」の人たちとのこと山の話を聞きながら楽しいひと時を過ごした。本日はこの5人が貸切だった。
お料理も、地物、自家製野菜をふんだん使い、私の口に合うものばかりでうれしいもてなしでした。お風呂も良かった。
 
 
湯ノ峰温泉
入れなかったつぼ湯
5日目
今日は帰るだけ、でも紀州は遠い。帰りも1日がかりだ。朝湯は有名な「つぼ湯」にと出かけてみたが先客がいて45分待ちと言われ、諦めて、宿のお風呂に入った。さて帰りは日本一長い路線バスで十津川村を縦断して八木駅まで行きたい思いがあるが5時間の乗車と聞き止めた。
紀伊田辺から紀伊本線で新大阪に行くことにした。バスには時間があるので本宮に戻り、昨日参拝する時間がなかったのでお参りして行く。平日なのに団体バスが結構いてにぎやかです。本殿が修理中で一部はテントで覆われていた。やた烏の手ぬぐいを土産に購入した。
大峯奥駆道をなし終えてみて、これという山はなく、ただ平凡な山並みを限りなく上下する。この変哲のない道がじわじわと体力を奪い、精神的にも重圧を与え、人を追い込むそんな道だ。修行とは自分を究極に追い込むことで何かを悟るのだろう。2回に分けてしまったが一回で行う意義は大きいと思う。もう一度挑戦したいものだ。