'52 TELECASTER Blond/Maple SOLD

世界初の量産型ソリッドボディ・エレクトリック・スパニッシュ・ギター (当時,抱えて弾くスタイルのギターをそう呼んだ)として知られる“テレキャスター”の前身モデルは, '50年春にカタログに登場したのち,同年7月のNAMMショーに新製品として市場に公開された。 それは1ピックアップ仕様の“エスクワイヤー”で,2ピックアップ仕様は'50年の秋に登場する。 当初はこのモデル名も「エスクワイヤー」だったが,販売戦略上, 1ピックアップ仕様とモデルを区別するために“ブロードキャスター(Broadcaster)” とモデル名が変更されたのだ。 しかし,このモデル名は“グレッチ”社で1字違いの同発音モデルのドラムが登録商標されていたため (Broadkaster),再度のモデル名変更を余儀なくされたのは有名な話。 そうした関係で,'51年2月頃から同年中期に生産されたものには, モデル名を切り取られ“Fender”のブランド・ネームのみのデカールがヘッドに貼られて出荷された。 このデカールの特徴から,この期間のモデルは俗に”ノーキャスター”と呼ばれる。 “テレキャスター”というモデル名に再変更されたのは4月頃からであったが, 実際にテレキャスターのモデル名の加えられたデカールが貼られるようになったのは, '51年8月頃からのようだ。
この'52年モデルのネック・デイトは'52年4月9日,ボディ・デイトは'52年3月20日。 シリアル・ナンバーは,もちろんブリッジ・プレートに刻印されている。 全体的に使用感のある外観であるが,細部に至るまでオリジナル・パーツをとどめているという 貴重なテレキャスターだ。
コントロール部の配線も,ブロードキャスター〜テレキャスター最初期のバージョンが, オリジナル配線として残されている。実用性を重視され配線変更されてしまうものがほとんどなので, これは非常に珍しい。 この最初期配線バージョンは, 3ウェイ・スイッチのネック側からフロントのハイカット/フロント単独/フロント,リアのブレンド と切り替わる。トーン・コントロールは備えられておらず, ふたつのポットは,マスター・ボリュームとフロント・ピックアップ・ブレンダーとなっている。 後者のコントロールは,スイッチをブリッジ側にセットした際の フロント・ピックアップのブレンド量を調整する。 つまり,フロントとリアの普通のミックス・サウンドからリア単独サウンドまでを調整できるわけだ。
ネジ類はマイナス型とプラス型が混在しているが, これは'52年という年が,マイナスからプラスへ切り替えられていくちょうど過渡期に当たるためだ。 オリジナル・ハードケース(通称プードル・ケース)付属。


HISTORIQUE GUITARS ホームに戻る