'50年代に生産が開始された“レスポール・スタンダード”および“レスポール・カスタム”は,
人気の低迷や生産性の問題などの理由から,
'61年にダブル・カッタウェイ・ボディに仕様変更された。
こうして誕生したのが“SG”(SOLID GUITARの略)である。
ただし,当初の正式モデル名はそれぞれレスポール・スタンダード,レスポール・カスタムであり,
正式にSGというモデル名が与えられたのは,'63年後期になってからだ。
'61年からのSGモデルは,ピックガードはボディの1弦側のみが覆われたタイプであったが,
'66年には写真の'70年モデルのように,
ボディの左右を大きく覆う通称“ラージ・ピックガード”仕様になっている。
SGスタンダードは,'71年までラージ・ピックガード仕様で生産されたが,
同年には一旦,新製品の“SGデラックス”に統合されたことで,
モデル名スタンダードは製造中止となった。
しかし,翌'72年にはふたたびラインナップの見直しが行なわれ,SGスタンダードが復活する。
その後の仕様は'61〜'66年スタイルのスモール・ピックガード仕様であった。
この'70年製モデルのヘッド裏つけ根部分には,
“ボリュート”と呼ばれる補強目的のコブ状の膨らみがある。
これは一部モデルを除き,'69年後期には現われるギブソン・ギターの特徴だ。
しかし,'70年の前期からのギブソンの特徴として存在するはずの
ヘッド裏シリアル・ナンバー下側の“MADE IN U.S.A.”という刻印はない。
これらの仕様から,この'70年製モデルはポット・デイトこそ'70年18週だが,
本体木部は'69年後期から'70年初頭にかけて製造されたものと推測できる。
この'70年モデルは,最上級と言えるほどのコンディションを保っている。
この時期のブリッジ・サドルは耐久性の低いナイロン製であるため,交換されているものが多いのだが,
この'70年モデルには,そのオリジナル・ブリッジが残っている。
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