レスポール・スタンダードの後継機種として'61年に登場したのが,SG(SOLID GUITARの略)スタンダードだ。
ただし,当初の正式モデル名は“レスポール・スタンダード”で,
'63年から正式に“SGスタンダード”にモデル名が変更された。
'60年代前半のSGは,標準装備のトレモロ・ユニットの仕様は時期により変更されていくものの,
この'65年モデルのように,
ボディには1弦側だけを覆うスタイルのピックガードが取り付けられていた。
しかし'66年になると,ピックガードがボディ左右に大きく広がったスタイル
(通称“ラージ・ピックガード”)になるため,
外観的イメージが大きく変わることになる。
'65年中期にほとんどのギブソン・ギターで共通してふたつの特徴的仕様変更がある。
ひとつは,ネックのヘッド角だ。
それまでのヘッドはネック本体に対して17度の角度が付けられていたが,同時期に14度に変更される。
もうひとつは,ピックアップ・カバーやブリッジなどの金属パーツのメッキだ。
それまではニッケル・メッキされていたものが,
'65年前半から徐々にクローム・メッキに変更されていく。
この'65年モデルのヘッド角は14度,パーツはすべてクローム・メッキであるので,
'65年後半に製造されたモデルだ。
ポット・デイト(ポットに刻印された製造コード番号)は,
1376529(137=ポット・ブランドのCTS,6529は65年の第29週製造を意味している)であることからも,
'65年後半製造ということが裏付けられる。
この'65年モデルに搭載されたハムバッキング・ピックアップは,
俗に“ナンバードPAF”と呼ばれるものだ。
裏側に貼られたステッカーこそ'63年頃までの評価の高い“PAF”ハムバッカーとは異なり
(PAFには“PATENT APPLIED FOR” と記されている),
“PATENT NO. 2.737.842”と記されたものだが,
PAFと同様にボビンに“スクエア・ウィンドー”と呼ばれる小さな四角い穴があり,
コイルにエナメル被膜のワイアーが使用されているなど,
PAF”ハムバッカーとは基本構造が同一と言われているものだ。
この'65年モデルは,最上級と言えるほどのコンディションを保っている。
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