RG400/500γのTT−F1レーサー







TT−F1というのは
ヨーロッパの耐久ロードレース用に開発された、”パフォーマンスカワサキ”や、”ホンダRCB”などの
主に市販車ベースのプロトタイプレーサーを追認的にレギュレーション化したもので、
制定当初は1000ccまで、84年からは750ccまでの排気量で競われるようになりました。

アメリカ主導で制定され、いまや世界標準のレースカテゴリーとなった、
”スーパーバイク”の前身的な存在にあたり、
日本では、国際格式の鈴鹿8時間耐久ロードレースや、鈴鹿200キロなどの全日本ロードレースが
このカテゴリーで競われていました


87年全日本第6戦のTT−F1クラス鈴鹿200kmのスタート風景
当時のTT−F1クラスの勢力図を端的に表している一ショットかと思います

トップグループ左から、#3島田進(スズキRG500γ/スガヤ、おそらくXR70フレーム+HM31Aエンジンのハイブリッドガンマ)、#19喜多祥介(ホンダRVF/RTK)#2大島行弥(ヨシムラスズキGSX-R/ヨシムラ)、#80樋渡治(モリワキZero−Z750)、#81宗和孝宏(カワサキZXR-7/チームグリーン)#72徳野正樹(ホンダVFR750F(RC24)/HRC)#04ギャリーグッドフェロー(スズキGSX−R750)、#8平塚庄司(ヤマハYZF/YRT)#11宮崎祥司(ホンダRVF/ブルーフォックス)#71三浦昇(ホンダRVF/HRC)#01ケビンマギー(ヤマハYZF/YRT)#23大島正(ホンダVFR750R(RC30)、#91町井邦生(ヤマハYZF/YRT)

レギュレーションはおおまかに言うと、FIMおよびMFJ公認の市販車のエンジン使用を義務づけられていて
4ストローク3〜4気筒 400ccを超え750ccまで
4ストローク2気筒 550ccを超え1000ccまで
ターボ 200ccを超え375ccまで
2ストローク 250ccを超え500ccまで
という排気量制限がありましたが、
車体は、GPフォーミュラに準じる自由さで
日本の4大メーカーの威信をかけた競争の場となっていました。

姉妹カテゴリーには、TT−F3、TT−F2(日本では開催されず)などがありました。
レーサーレプリカ人気華やかなりし頃で、これをベースにしたTT−F3クラスでは、
鈴鹿4時間耐久や、ノービスの地方選手権などが盛んに開催されました。

全日本TT−F1からは
ヨシムラスズキの辻やんこと辻本聡選手や、カワサキのタイガー宗和こと宗和孝宏選手
ヤマハの永井康友選手、ホンダの宮崎祥司選手などのスターが多数輩出し、
全日本ロードレースの花形的な存在でしたが、
開発コストの高騰などの理由で、
94年を期により改造範囲の狭いスーパーバイクに移行していくこととなります。

RG400/500γは、
「スガヤ」、「KENZ」、「JIN PRIZE」、「オートボーイ」等々
いくつかのプライベートチームから全日本ロードレースに出場し
ワークス勢に準ずる活躍でそのポテンシャルを遺憾なく発揮しています。         

以下はその主要チームのご紹介です         
        



SRSスガヤRG400/500γ

レーシングカートのチューナーとしても有名な「チームスガヤ」は
当時RG250γでTT−F3クラスに出場していた有力プライベーターだったということもあり
400/500γの発売当初からセミワークス的な活動を行っていました

TT−F3仕様のスガヤRG250γ

国内向け500が公認されるまでは、唯一の公認車両である400γで出場していました
エースライダーは国際A級のベテラン島田進選手です

85年第7戦筑波
#3喜多祥介(ヨシムラスズキGSX−R750)と#26島田進(スガヤRG500γ)
のトップ争い

85年の全日本TT−F1選手権での島田選手の年間ランキングは5位でした
1st 辻本聡 ヨシムラ ヨシムラスズキGSX−R
2nd
3rd
4th
5th 島田進 スガヤ スガヤRG400γ

島田進
1953年9月25日埼玉県生まれ

スガヤ400/500γの戦績上のピークは86年でしょう
優勝こそなかったもののコンスタントにポイントを稼ぎ
全日本TT−F1選手権で島田選手の年間ランキング3位というみごとな戦績を残しました

86年BIG2&4でのスガヤRG400γ
 
1st 辻本聡 ヨシムラ ヨシムラスズキGSX−R
2nd
3rd 島田進 スガヤ スガヤRG400/500γ
4th
5th

島田進選手は、87年の日本GP500ccクラスにワークスγ(XR70)で出場を果たしています
ちなみにエントラントは「チームスガヤ」、Tカー(予備車両)はスガヤRG500γでした

一周目のカシオトライアングル
手前からピエールフランチェスコキリ(ホンダ)#21平忠彦(ヤマハ)#33河崎裕之(ヤマハ)
#27木下恵司(ホンダ)#4マイクボールドウィン(ヤマハ)#31水谷勝(スズキ)#5ロブマッケルニア(ヤマハ)
#38島田進(スガヤ)

86年の鈴鹿8時間耐久に出場したスガヤRG500γです

ライダーは島田進/伊藤巧組で予選17位、決勝53位でした

87年型スガヤRG500γは、
ワークスγのフレームにスガヤチューンのエンジンを載せるという
思いきった手法で作られました。
当時のレギュレーションで考えられる限りの究極のチューンといえるでしょうか?
当初のフレームはXR45型γだと思われます。
工事中
最終的には、XR70型ウォルターウルフγのフレームが使われたようです。
しかし、ホンダRVF750や、ヤマハYZF750などワークスマシンの大量投入で
4スト勢が底上げしてきたこともあり、前年ほどの成績を上げることはできませんでした。
 
1st 大島行弥 ヨシムラ ヨシムラスズキGSX−R
2nd
3rd
4th
5th
島田進 スガヤ スガヤRG500γ

 



KENZ! RG400/500γ

川島賢三郎選手のプライベートチーム、「KENZ RACING RIDERS」は、
鈴鹿8時間耐久レースに、奥さんでもある川島知子選手とペアを組んで出場するなど、
精力的な活動を行いました。

86年の鈴鹿8耐、川島賢三郎/川島知子組のマシンです

KENZの87年型500γはメインフレームを、角パイプ等で補強しているのが特徴です

88年のビッグ2&4、GP500にKENZ・RG500γで出場した篠崎選手

篠崎勝則
1964年9月15日神奈川県生まれ

87年に特筆すべきは篠崎勝則選手の活躍でしょう。
鈴鹿8時間耐久での上位完走や、
TBCビッグロードレースでの表彰台など目覚しい活躍を示しました。


89年の日本GP500ccクラスにはKENZからRGV−γ500で出場を果たしています
 
 

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