1枚目のアルバムからいきなり人によっては番外編的なアルバムの紹介なのですが、私の中では、ジョン・マクラフリンは誰が何と言おうとブリティッシュジャズロックの最重要人物なのです。そして、そのジョン・マクラフリンがもっともハードコアな演奏を繰り広げていた時代の一番の人気作でもあるこの「火の鳥」を紹介しないと個人的な怨念は消化し切れません。そんな我が儘な理由からまずはこのアルバムの紹介です。
イギリス人ギタリストのジョン・マクラフリン率いるジャズ界ロック界混成ユニットのマハビシュヌ・オーケストラの2ndアルバムである「火の鳥」は1972年に発表されました。当時の状況は私にはよく分からないのですが、ロックファンからは、熱狂的な支持があったと聞きます。ここからも分かるように、内容は表面的にはハードロッキンな大ロック大会アルバムになっています。そこに、随所にジャズやブルースやフォークやカントリーなどの要素がまぶしてあるという印象です。少なくとも私の第一印象はそうでした。
刺激的なサウンドを求めて止まなかった若手のミュージシャンがニューヨークに集まり、自由奔放な変幻自在のサウンドを聴かせる。これがこのアルバムの魅力でしょう。1stアルバムは少し八方破れな所があるのですが(またそこが破壊力という点ではこのアルバムより勝るものだからこのアルバム以上に熱狂的に支持する人も多い)、このアルバムはコンパクトに纏まっていて聴き易い。そして前の段落でも書いたように様々な要素がまぶしてあるので、バラエティに富んでいる。つまり一本調子ではないので、聴いていて飽きないのです。これは大きな特徴でしょう。
後半の流れ(レコードでいうところのB面)は、全編ベースサウンドがブルースハードロックで、その手の音楽が好きな人には堪らないでしょうし、おおよそ、ポップとは無縁のアルバムなのですが、随所に見られるリフのメロディの洗練具合とか、ポップなサウンドが好きな人にもアピールできる要素もあります。が、やはり全編にわたる刺激的なサウンドが耳に付くでしょうから、それは聞き分ける必要があるかもしれません。
このアルバムは、アメリカのジャズシーンの流れの中で紹介されるアルバムなのですが、私にとってはイギリスのロックシーンの流れの中で余り語られないのが不思議でなりません。間接的とはいえ、ジョン・マクラフリンのイギリスのロックに果たした功績の大きさも相当ありますし、マハビシュヌ・オーケストラはロックファンに支持されたということもありますから、もう少し、立ち位置をはっきりさせてあげたいと考えています。それには、ジャズロック畑で紹介するのが一番だということもあり、今回紹介させて貰いました。
Created: 2002/06/09
Last update: 2003/12/02
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