アルバムジャケット、インナーとも表記無し。
今回は極端に古いアルバムですが、いわばブリティッシュジャズロックの老舗バンドとして紹介しておくべきだということで、今回紹介です。
さて、マンフレッド・マンは、一般的にはビートルズ、ローリングストーンズを頂点とするブリティッシュビートの人気バンドの一バンドというのが通例ですが、私のような天の邪鬼な人間には、このバンドのジャズっぽさを抽出して聴きますから、このバンドはジャズロックバンドなのです。彼らは、ブルージーでジャジーなサウンドが有ってのポップサウンドだと思っています。
そしてアルバムの話に移りますが、このアルバムはそのマンフレッド・マンが1964年に発表した1stアルバムです。一曲目がハウリン・ウルフの「スモークスタック・ライトニング」から始まるなど、当時の音楽業界の実情を如実に表している例ですが、メンバーはロンドンのクラブシーンで叩き上げてきた猛者ばかりなので、内容は「推して知るべし」といった所です。メンバーを無理矢理ジャンルで分類するなら、リーダーのマンフレッド・マントマイクハグ、そしてサックス兼ギターのマイク・ヴィッカーズがジャズ寄りで、ベース兼ギターのトム・マクギネスがR&R寄りで、ボーカルのポール・ジョーンズがブルースやR&Bよりといった所です。そんな多彩なバックボーンを持ったメンバーが勢いに乗っている時期に作ったアルバムですから悪いはずがありません。その勢いの様に身を委ねるのが楽しみ方の一つだと思います。
個々の曲の話をしますが、このアルバムの白眉といえば何といっても「サック・オ・ウォー」です。この曲のオリジナルは、アメリカ人サキソフォン奏者キャノンボール・アダレイ作のジャズの有名曲です。原曲はどちらかというとゆったり目の雰囲気を楽しむ曲のように私は感じますが、このマンフレッド・マンのバージョンは強気にポップにロックしているのです。コンパクトに纏めてあるので、非常に聴き易く、この曲がマンフレッド・マンのジャズロックバンドとしての素晴らしさを余すことなく伝えていると思います。
1964年は、まだまだイギリスのジャズロックシーン自体が成熟を迎えていませんでした。しかし、その時期にこれだけの冒険的かつ野心的なサウンドを出すアルバムはまさに宝と言えるでしょう。
Created: 2002/06/29
Last update: 2003/12/02
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