アルバムジャケット、インナーとも表記無し。
マンフレッド・マンの1stアルバムに続き、今回は2ndアルバムの紹介です。このアルバムはジャズロックだけで語るのはあまりに多彩すぎるアルバムなのですが、そこを敢えてジャズロックという視点で紹介したいと思います。この自由度こそ、この時代の音楽の最大の魅力なのですね。
このアルバムは1965年に発表されたのですが、この年のイギリスの音楽業界は転換の年だったそうです。マージービートの連中とロンドンのクラブシーンの連中がごちゃ混ぜに音楽誌のチャートを賑わし、昨日流れていた音楽が直ぐに古くなるほどだったようです。その中で発表された当時トップバンドのマンフレッド・マンのアルバムですから中身は時代を的確に表した多彩な内容になっています。
ジャズロックという色眼鏡で聴いてみると2曲目の「YOU'RE FOR ME」が注目されます。シンプルなR&Bのバックにソウルフルなボーカル。そしてそこにシンフォニックなブラスアレンジ。1970年前後にジャズロック専門のバンドが必死な思いをして獲得したサウンドを既にもう持っていたということです。しかも、それをコンパクトなポップ作品に纏めているのだから並大抵のセンスではないということが分かります。
前段落では集中的に一曲を紹介しましたが、全体的な話としてはヴァイヴやフルートの多用で他のバンドとの差別化は計られているようです。間奏のソロも、例えば、ヴァイヴ、フルート、オルガンと各人で回したりして、まるでジャズを聴いているような雰囲気を醸し出しています。1stより、サウンドがポップになった分、アレンジの面でジャズっぽさを出せるようになったのでしょうね。このアルバムはじっくり聴くと全体的なトーンがジャズなのです。
このアルバムの発表後、マイク・ヴィッカーズが脱退し、ジャック・ブルース、リン・ドブソン、ヘンリー・ローザーというジャズロックの重要人物が加入しよりジャズ色を強めますが、惜しいことにその後ポール・ジョーンズの脱退によりこのフュージョン路線からの方向転換を余儀なくされたようです。故にこの路線での3rdアルバムは作られなかったので、その分このアルバムは後のマンフレッド・マンやイギリスのジャズロックの、まさにマイルストーンのようなアルバムに思えるのです。
Created: 2002/06/29
Last update: 2003/12/02
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