MILSE DAVIS
THE COMPLETE JACK JOHNSON SESSIONS

曲目

演奏者

寸評

今回は「番外編」ということで、アメリカ人ジャズトランペッターであるマイルス・デイビスのCDのボックスセットを紹介します。これは、ある時期のマイルス・デイビスに焦点を当てその時期のセッションで演奏された曲をもれなく収録するというまさに「コンプリート」なボックスセットです(注1)。さて、今回紹介するボックスセットはマイルス・デイビスが1971年の初頭に発売した「ジャック・ジョンソン」というアルバムを中心としたセッションのボックスセットです。今回は「MILSE DAVIS / THE COMPLETE IN A SILENT WAY SESSIONS」、「MILSE DAVIS / THE COMPLETE BITCHES BREW SESSIONS」に引き続きジョン・マクラフリンやデイヴ・ホランドの活躍するセッションということでの紹介です。

このボックスセットはマイルス・デイビスが「イン・ア・サイレント・ウェイ」以降顕著になってきたロック的なサウンドをより突き詰めた内容になっています。1970年の初頭から1970年の初夏にかけての録音で、より鋭くなっていくマイルスとそのセッションメンバー達のサウンドの変化(「純化」と表現した方が分かりやすいですね)を楽しめるボックスセットです。

また、ブリティッシュジャズロックの色眼鏡で見ると、ジョン・マクラフリンが間違いなくこのボックスセットの主役です。マイルス・デイビスのセッションの記録で、彼のトランペットが一番目立ってはいますが、ジョン・マクラフリンのギター無くしてこのボックスセット全体に漂うハードロック的な雰囲気は説明出来ないでしょう。

「ビッチェズ・ブリュー」から一転、同パートに複数配置は極力しなくなり、シンプルなベースサウンドになっています。それ故に、ロックっぽく感じるのだと思います。特に、「ライト・オフ」でのジョン・マクラフリンを中心としたザックザクと刻むサウンドはロックファンには堪らないと思います。俗に「ジャック・ジョンソンのテーマ」と呼ばれている「ライト・オフ」後半のジョン・マクラフリンの個性的なギターフレーズはロックの名ギターリフとして名高かったりします。全体的にはデイヴ・ホランドがベースの曲と、マイク・ヘンダーソンがベースの曲で、グルーヴ感が全く違うモノの、基本的にハードな曲なので、妙に統一感があることはあります。

とにかくあらゆる音楽を飲み込んでハードロック的な音の下に純化したような印象のボックスセットになっているので、あまりに激しすぎる内容ではありますが、一度「はまる」と病み付きになること請け合いです。

注1:本当に「コンプリート」かどうかは、マイルスデイビスの研究をしている訳でもないので分かりません。


Created: 2002/10/28
Last update: 2003/12/02

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