別誌かもめ通信 2000年12月号
確定拠出型年金
確定拠出型年金とは、法律により制度化(平成12年12月時点では法律になっていません。)される、時代に対応した新しいタイプの(原則)年金型退職給付制度といえます。

概要

今までの退職金制度は、原則的には、退職金規程に定められた計算式に勤続年数等を当てはめ計算された定額の退職金が支給されました。
つまり退職金額は確定され、その原資は、企業の責任で確保しなければなりませんでした。
ところが、確定拠出年金は、その名の通り、拠出金(支払保険料)は確定しているが、退職給付(制度上は「老齢給付」等という)の金額は確定していません。 つまり、退職給付の原資は、確定した拠出金をもとに、社員各人が、運用の指図をし、退職時に、いくらの給付があるかは社員の自己責任となります。
「確定拠出」という制度は現存する退職給付制度にもありました。(「中小企業退職金共済制度」等)
しかし、今回の確定拠出年金は、「雇用の流動化」「自己責任」「世界から求められる会計基準への変革」「退職給付債務の軽減」などを踏まえ誕生するものであり、新しい時代に対応したものとなっています。

企業にとっての確定拠出型年金

経済低迷の中、退職給付の原資が足りない上、企業は、退職給付債務についてもきちんとした表示が求めらるようになりました。
そのため退職給付債務をできる限り軽減したいところです。
確定拠出型年金では、退職給付に対する企業の責任は拠出金(保険料)の負担をもって終了するので、退職給付債務は発生しません。
企業会計上、発生主義そのものですので、社員の業績等に応じて拠出金の負担をするなど、企業経営にとって人事戦略のひとつとして活用できるでしょう。又、企業財務の健全性を保持する要素にもなると思います。

社員にとっての確定拠出年金

・メリット
1.転職に不利益でない退職給付制度である。
2.保険料は給与所得とならない。
3.勤務する会社に制度がなくても、個人の意思で加入できる。

・デメリット
拠出金(保険料)運用の指図は社員自身が行うので、社員個人が拠出金(保険料)運用についてのリスクを負う。

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