中国は焦っている。
            河井洋
(初めに)
近年、中国政府のやり方に焦りを感じる。それも半端なものではない。チベット問題もそうだったが、今回の日本との尖閣諸島を廻る摩擦もそうだ。
この尖閣列島問題では、この国は北朝鮮を大きくした程度の国であることを世界に晒してしまった。 さらに、レアアースの禁輸問題とか、元ドルレートの問題とか、本来敵にまわしては損な欧米諸国も敵にまわしてしまった。
フランスからエアバスを購入するに当たっても、「ノーベル平和賞問題」を交換条件にしたとか。ようは、そういう国であることを晒してしまったのである。
商売を純粋に商売の話として成立させえない前近代国家であることを自ら宣言してしまったのである。 では、面子の国が、こんな恥ずかしい面を晒してまで無理を貫こうとする背景に何があるのだろう。 残念ながら、マスメディアの伝えるところからは覗えないのである。ではインターネットの世界にもあるかと言うとそれもない。すくなくとも、この問題を「焦り」と捉えたものはない。たいがいは、「戦略」と言うような立派な言葉で綴っているのである。

まあ、立派な文に、断片的なものはないわけではない。
それらは別々の記事、解説に別々に登場してくる。ただ、それぞれ一つでこうまで子供じみた振る舞いをする国ではないのではなかろうかと、私は思うのである。

とにかく、それらを列記してみよう。

(中国の困った現状と未来)
1. 世代交代を前に、醜いところを自分の代でひきうけ、次世代に良い状態で引き渡したいと言う現指導層の意志。
2. 国内政治勢力の対立、特に軍強硬派をなだめるためのポーズ。
3. 1千万人の富民の奢りと、11億の貧民の不満、(2億の沈黙も)のはけ口。
4. 経済成長をしたと言っても人口が11分の1、面積30分の1の日本と、チョボチョボ、考えてみればあまりにもみすぼらしい。と言う現実。
永遠に先進国にはおいつけないのではと言う焦り。いや追いついたとしたら地球がつぶれると言う知識。
5.資源の買いあさりがあまり巧くいっていないのではないか。
6.画期的な発明発見を何一つできないこと。 できる人材は国籍離脱。
7.北朝鮮、イランなどを除けば、同盟できる国が皆無。特に先進国ではゼロ。ロシアとも今ひとつ。
8.沿岸部の繁栄の陰で、公害で死ぬか、飢えて死ぬかと言う二択の線上に何億もの国民が居ると言う現実を解決できないこと。
9.元安維持に伴う国内インフレの高進、特に土地バブル。(株は弾けた)
10.元安バブル高インフレか、元高容認高失業の二択。
11.土地バブルの崩壊と高インフレへの突入への恐怖。(暴動、内乱への発展への危惧)
12.経済規模が日本なみで、物資消費量、特にエネルギー消費量がアメリカの2倍、内石炭の消費量はアメリカの4〜5倍。と言う非能率国と言う現状。その石炭が国内生産では間に合わなくなってきている。
13.一人っ子政策の結果でもあるが、超老人国家のそう遠くない誕生。(7億人が65歳以上と言う悪夢。)
 それも、十分ゆたかになる前にそれがやってくるという恐ろしい事実。
一人っ子夫婦に四人の親世代の面倒などみれるはずがないのである。老人ホームの利用など大都市の一部裕福層だけである。6億の老人の大半が死ぬまでの歳月、町に野に徘徊するのである。
14.近世以降、西洋と日本にボロボロにされた、帝國の威信。(の回復)
15.ひょっとして、資本主義は、西洋型民主主義の上にしか巧くいかないのではないか、いや、俺たちの体制だからこそここまでやってこれたのだ、とかの自信のゆらぎ。

(結論)
では、これらのうち日本と共通なものは何かといえば、13.の老人問題のみである。しかしながら、日本のは中国の11分の1の規模でしかない。

かように深刻な問題が桁違いでかつ山のようにあるのが中国なのである。しかも、ソフトランディングなどは、まあありえないのである。しかも巧くいったらそのお駄賃は「6億の老人」と言う悪夢なのである。
つまり、もうやけくそになっているのではないか。
これで、焦らない指導者がいたら凄い冷血と思う。
つまり、今中国の指導層は、多少は人間の心を持っているから焦りまくっているのである。