消化管内視鏡検査

極細径内視鏡を使った経鼻的上部消化管内視鏡検査

はじめに

上部消化管検査と聞くと、あの嘔吐反射の苦しさから毛嫌いする方が多いと思います。以前はそれを抑えるために鎮静剤の使用などが行われていましたが、最近になって経鼻的に挿入する手技が開発され、当院でも平成18年3月より経鼻的に挿入する上部消化管内視鏡検査(経鼻的内視鏡検査)を行っています。

経鼻的に挿入すれば経口的に挿入した場合の舌根部への刺激が原理的に無くなるため咽頭反射がほとんど起こりません。さらに被検者は検査中も会話が可能です。

以前、経口的内視鏡検査を受けて苦しい目にあった方で、経鼻的内視鏡検査を受けてその楽さを経験した方は絶対にこの経鼻的内視鏡検査の方がいいと言われます。実際、私自身は内視鏡検査の実習で被検者になった時には、咽頭反射が強く挿入できませんでしたが、自分で挿入可能でした。また当院の看護師も既に2名ほどこの検査を受けて(この2名も経口的内視鏡検査が苦しく、今までは絶対に検査はしないと言っていた者です)、その楽さに驚いています。

経鼻的内視鏡検査の器具

当院ではフジノン東芝ESシステムのEG-530Nを平成18年3月より設置し、経鼻的内視鏡検査を実施しています。

メーカーの解説ページも参考にして下さい。

経鼻内視鏡
EG-530Nの径は5.9mmと今までの一般的な上部消化管内視鏡の半分から2/3程度の極細で、鼻腔からの挿入が可能となっています。さらに4方向のアングル操作ができ、画面もさらに精細になっています。

経鼻内視鏡検査の実際

検査は午前(朝9時)か午後(2時~3時)のどちらか。

朝9時からの検査の場合は、前日の夕食は普通に食べていただき、その後は水分のみとします。当日も絶食にする必要はなく水分は飲んでかまいません(逆に、水を飲んでいただいた方が胃内がきれいになります)。
また、降圧剤などの常用薬は7時前くらいに服用してしまっておいて下さい。
午後の検査の場合は、朝食は軽くとってかまいません。常用薬も服用しておいて下さい。その後は水分のみで、昼食はとらないで下さい。

検査前処置
胃内をきれいにする薬の入った水分をコップで飲んでいただきます。
その後、鼻の麻酔と拡張を行います。
鼻の粘膜を収縮させる薬を左右の鼻腔内に注入します。これでどちらかよく通る方の鼻腔を選んでいただき、その方に麻酔作用のあるゼリーを注入します。その後、ネラトンカテーテルを鼻腔に通し、内視鏡を通りやすくしたら前処置の終了です。
なお、消化管の蠕動運動を止める注射はしません。また、経口的挿入の場合によくされていた鎮静剤の注射もしません。する必要がないからです。

内視鏡の挿入

鼻腔から内視鏡を挿入していきます
鼻の入り口鼻腔
鼻腔鼻腔

時に鼻腔に入って行かないこともあります。中には鼻腔が狭いとか変形しているなどのために挿入できないことがあり、その場合には無理をせず、反対側の鼻腔より挿入を試みます。それでも挿入できないときは経口的に挿入することになります。経口的挿入になっても、内視鏡の径が細いですので、かなり楽です。経口的挿入になっても、ほとんどの方が、これなら最初から経口的にやっていてくれたら良かったのにと言われるほど楽です。

鼻腔から咽頭へ喉頭が見える
咽頭喉頭

ここまでくればまず挿入ができないことはありません。経口的挿入の場合は、この喉頭が見えるまでに強い咽頭反射がおこることが多いのですが、経鼻的挿入の場合はそういうことはありません。

正面に見えているのは気管の入り口
奥に逆V字に白く見えるのが声帯
この喉頭の背側(画面の下側)より食道へ挿入します
喉頭

この後は、一般の経口的内視鏡検査と全く同じです。被検者用のモニターを見ながらくつろいでいただいておれば終了です。

検査終了後

外来にてモニター画面を見ながら、検査のご説明をします。
検査で撮影した画面をプリントしたものをお渡しします。
経鼻的挿入の場合は、咽喉頭の麻酔はほとんどしていませんので、すぐ食事などしていただいても、まず問題ありません。もし、不都合な場合は、この時、ご説明します。

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著作者
医療法人 橋本医院
院長:橋本 公昭