ふじみの水は今・・・ <水道の水が変わる> 〜県央第二水道訪問〜 |
前回、富士見の水道水がまずいとの友人からの話を聞き、水道かを訪ねたところ、利根川からの水を水道水としているという意外な事実が明らかになりました。
村の水道課への訪問の後、利根川の水を取水し県央部へ供給している県央第二水道の事務所へアポイントメントを取り、その日のうちに見学させていただくことになりました。
北橘村大字箱田。湧水で有名な箱田神社の北側に位置する場所に真新しい建物が建っている。そこが県央第二水道上水場です。お忙しい中、急なアポイントメントに快く対応していただいたのは、寺沢さんです。
この施設は、年々増加する生活用水の需要に対応するため、また地盤沈下や地価水質の悪化のため水供給できない地域への安定した供給をするため昭和53年に「県央地域広域的水道整備計画」を策定し、平成5年から上水道設備と送水管の工事に着手し、平成10年に一部給水を開始しました。全体完成は平成17年の予定で、現在は処理場の半分が空き地となっています。
水源は利根川の表流水を群馬用水を通じて取水し、計画後は1日あたり186,500平方メートルの水を供給する能力を備える予定だそうです。
上水場平面図・・・図の左側に流れる群馬用水から取水して、左から右へと流れていくうちにだんだんときれいになり、飲料水へと変わる。 | |
浄水場のしくみ・・・県央第二水道での取水から給水までの工程表です。上図の上水道平面図とほぼ同じ配置で描いてあるので分かりやすいと思います。 |
供給地図を見ると、遠くは堺町や玉村町へ何十kmもの水道管を伝って送水されます。日本の法律では、水道水の末端塩素残留量が0.1ppm残っていないといけないので、遠くまで供給する理由から、上水道施設からは0.5ppmという高い濃度で塩素を混ぜて水道水を供給します。富士見村は上水道施設から近いので、その分残留塩素も高い数値を示し、水がまずく感じる原因となっています。
県央第二水道用水供給事業のパンフレットには「未来につながる水と緑を」というフレーズとともに清流の写真が載せてあり、この水道水は清らかな水を使っていますと言うような印象を与えます。しかし、実際は農業不振で供給過多になりつつある群馬用水の新たなる使い道を模索した結果の事業に見えるのは私だけではないと思います。
今年の夏は初夏の猛暑で水不足が心配されています。そんなときでも富士見の水道は井戸水のおかげで給水制限等は行われず、安全で安定した水を使うことができました。県央第二水道からの供給割合が増加するとどうなるでしょう?おそらく、東京と同じ給水制限が起こり、群馬県北部の天気に一喜一憂するでしょう。私には今のところ県央第二水道ができたことによるメリットより、デメリットのほうが多く目に付いてしまいます。群馬県としては早く完成させて、立派な施設を作りたいと考えているようですが、各市町村への供給量が指定され、たとえ使わなくてもその指定された供給量分の水道代を県に支払い続けるのはどうかと思います。
今回の取材で、生活に一番身近な水について考える機会を得られました。普段何気なく使っている水道ですが、水道水が変わりつつある現在にこの特集が書けてよかったと思います。水道水がまずくなったのを機会に、都会の人たちも同じ思いで飲んでいるのかと思うと、せめて自分たちはなるべく水を汚さない工夫をしなければと思います。川にごみを捨てたり、道路にタバコの吸殻を捨てることをやめて、都会の水が少しでもおいしくなれたらと思います。