柳井シリーズ第6戦

1997/09/14(Sun)


PVクラス決勝

 午後からは、決勝ヒートが始まる。
 昼食の休憩の間に、天気の状況をみて決勝の前にタイヤの選択が行われるのであるが、オフィシャルからの発表はドライレースということであった。確かに、PVクラス予選ヒート2に波乱を呼んだ雨もすっかりとやんでいた。ただし、風が少々強くなってきたが。
 SDクラス、SO86クラスと決勝が終わり、いよいよPVクラスであった。

 スターティンググリッドに7台のマシンが並び、選手紹介。セトウチレーシングのメンバーは、3番グリッドに武居(和)選手。5番グリッドに武居(利)選手。そして、6番グリッドが落合選手である。
 雨の心配もなさそうで、スタートの合図が。各マシンともスターティンググリッドから押し掛けしながら飛び出していく。落合選手もマシンも問題なくスタート。オイラはすぐにピットに戻った。


 しかし……。
 各マシンがスタートしていったのであるが、武居(和)選手のマシンのエンジンが掛からないまま、ストレートエンドまで押しがけをしていたのであった。フォーメーションラップは武居(和)選手が加わらないため隊列が整わず、競技長からは「もう1周」のサインが出る。そして、各マシンはスタート体勢で減速していた状態からアクセスを全開にして、もう一度のフォーメーションラップへ。

 何とかスタートしたい武居(和)選手は、他のマシンが通り過ぎるのをまち、再度スタートを試みたが、なかなかエンジンに火が入らない。自力でのスタートをしないとレースには参加できない。コースからマシンをパドックに運び、そこから必死にスタートを試みたのである。そして、ようやく武居(和)選手のマシンがエキゾーストノートを響かせてコースへ飛び出し、他のマシンを追いかけた。

 その時、すでに他のマシンは隊列を整え最終コーナーを過ぎようとしていたが、競技長からは「もう1周」のサインがでた。

 必死に隊列に加わろうとした武居(和)選手であったが、その距離が有りすぎ、1周のラップでその差を完全につめることができなかった。競技長の判断で次のラップで日章旗が振られる。ただし、武居(和)選手は、隊列とはかなり後ろに位置していたがそのままスタートという形でレースへは参加できたのである。


 そして、20周の決勝ヒートがスタートを切った。
 落合選手は、1コーナーへの飛び込みで、ポジションをあげ4位になる。武居(利)選手が5位のポジションに。そして、出遅れた武居(和)選手は、少しはなされて最後尾の7位を走る。

 トップを走る長岡選手(エンドレス)と西本選手(エンドレス)の2台は他のマシンを徐々に離しながら、トップ争いを繰り広げる。

 3位に位置する佐々木選手(トクミツ企画)を猛烈に追う落合選手。目の前に迫るマシンに果敢に攻め、一時は3位に上がった落合選手であるが、実力は五分五分。その後すぐに3位の座を奪われることになったが、それでも2台のマシンの差はわずか、いつでも順位を上げれる状態でレースが進行していった。

 その頃、最後尾から追い上げていた武居(和)選手は、必死な追い上げを見せ、まずは最後尾のマシンを楽々パス。6位にUP。そして、5位の武居(利)選手の後ろを脅かしていた。
 その後、武居(利)選手をZコーナーで追い抜き、落合選手のマシンを追いかけていった。このときレースはまだ8週目であった。

 ホントに手に汗を握るレース展開であった。トップの2台は他マシンをかなり離して独走状態であるが、ホントにテール・ツー・ノーズの状態で目が離せない。3位争いも、熾烈であり、いつ順位が変わってもおかしくない状態である。そして、最後尾から目覚ましい追撃を見せる武居(和)選手がどこまで追いついてくるのか。ピットで見ていても、どこを見ていたら良いか分からず、コースのあちこちに目をやる状態であった。
 緊張の張りつめたレース展開になり、何が起こっても不思議ではないと思われたとき、3位の位置をねらっていた落合選手のマシンが3コーナーの出口で左リアタイヤが、ゼブラゾーンに乗り上げグリップを失った。そして、マシンが大きく揺れる。必死にマシンの挙動を押さえ込みスピンを免れはしたが、完全に失速し後続のマシンに先に行かれてしまったのだった。
 レースは中盤、まだチャンスはある。落合選手の追い上げが始まった。

 すぐに、6位のマシンに追いつき、Zコーナーでインを取り抜いたのあるが、最終コーナーを抜けストレートでのマシンののびが違い再度抜き返される。コーナーの速度は落合選手の方が早いが、ストレートでののびは6位のマシンの方があり、抜きつ抜かれつを繰り返したのであるが、若干落合選手の方のスピードが勝って、徐々に6位のマシンを離していったのである。そして、5位の武居(利)選手の背中をとらえたのであった。

 しかし、レースはすでに終盤。
 そのままチェッカーを受けることになり、順位はそのときのままで変動なく、長岡選手がわずかに西本選手を押さえゴール。3位は佐々木選手。そのあとを、セトウチレーシングの3台が続いたのであった。


 そして、第6戦は全てのスケジュールを終えた。
 ピットでは、各マシンの片づけが始まり、熱戦を繰り広げたマシン達を綺麗にしてやっていたのである。そろそろリザルトが発表される頃……と待っていたのであるが、なかなか発表されなかった。

 と、その時、落合選手のところに柳井スポーツランドの橋本さんがやってきた。「落合さんはコンピュータやっていたよね。」と。

 何か操作をしたら、画面が変になったけど見てもらえないか……ということであった。橋本さん自身もコンピュータには詳しくないし、説明を聞いていてもどうなったのか分からないし、使ってるソフトを聞くとExcelであるというので、オイラがコントロールタワーに上がってみることになった。

 そこには、Excelのシートがあったが、VBA(VisualBasic for Application)のフォーム画面が出ていたのである。集計表は単純なものであるが、誰でもが簡単に車検結果やT.T.の結果などを簡単に印刷できるように、VBAでマクロが組まれており、ボタン一つでいろんな操作画面がでるように作られていたのである。
 そして、PVクラスだけ、印刷をしようとするとマクロエラーとなってしまっていたようだ。デバッグしてみると、集計印刷をしようとするオブジェクトが見つからない……ということで、マクロが中断されていたようである。が、かなり膨大なVBAをソースを追ってみても、オブジェクト自身はちゃんと定義されているし、どこが間違っているのかは瞬間的には判断できない。
 その場でソースを解析しても時間が掛かるだけであるから、マニュアル操作で集計結果だけを印刷することでその場をしのいだのであった。

 そして、無事、全ての集計結果が印刷されたのであった。

柳井シリーズ第6戦 その5